Part 1

ファミリーレストラン
1
——そして、鬼の一撃をかわして、刀を一閃!
2
華麗でありながらも、力強く迫力に満ちた殺陣だったな!
3
あの迫力こそが、鈴蘭組にはない桔梗組ならではの魅力だろうね
4
えむ
うん! 空気がビリビリ〜!ってしてた!
ハラハラドキドキで、ずーっと目が離せなかったよ!
5
寧々
殺陣のシーンはセリフも多くないのに、
感情の動きが伝わってきたのもすごかったな
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そうだね。アクションだけで、
多くのものを表現できる……そんな自信を感じたよ
7
ああ。だが、迫力といえば他のシーンでも——
8
店員
お待たせしました
9
おっと、料理が来たようだ
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デミグラスオムライスはこちらです
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えむ
普通のオムライスはこっちにお願いしまーす!
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店員
はい。それではごゆっくりどうぞ
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まだまだ語り足りんが……
まずは腹ごしらえといこう!
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寧々
だね、おなか空いちゃった。
けど……まさか全員オムライスなんてね
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えむ
オムライスフェアしてるから、食べたくなっちゃった♪
付け合わせの野菜も美味しそうだよね〜!
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トマトとブロッコリーか……
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そういえば、司くん。来月のフェア情報は見たかい?
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フェア?
19
そっちのメニューに載っているんだけど……
次は各都道府県をイメージしたご当地ハンバーグを出すらしいよ
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ほう、どれどれ……
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おお、チーズたっぷり北海道ハンバーグに、
味噌バターの愛知ハンバーグ、いろいろあるようだな!
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——うん。どれも実に美味しそうだね
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変わり種のハンバーグも楽しめるみたいだよ。
僕が気になるのは、そっちのページにある大阪の——
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待てい!
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よそ見している隙に、人の皿にほいほいと……!
勝手に野菜をのせるんじゃあない!
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よく周りを見ているじゃないか、司くん……
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寧々
もう、何やってんの……
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えむ
わわ、司くんのお皿、野菜が増えてる!
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まったく、そろそろ野菜を克服しようという気はないのか
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野菜を? どうしてだい?
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ええい、そんなことする必要ないだろうって顔をするな!
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前にも言った気がするけど、
栄養は野菜じゃなくても摂取できるんだ
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それで支障はないし、こんなに背も伸びたんだよ?
僕には必要ないんじゃないかな
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寧々
そう言うと思った……
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しかし、この先どうしても
食べなければいけない状況になったらどうする?
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たとえば、野菜が自慢の土地で公演するとなった時、
もてなしに野菜が出てきたら困るだろう?
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ああ、たしかにあるかもしれない状況だね
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寧々
もしそんな状況で嫌いだなんて言ったら、
地元の人達が気を悪くしちゃうんじゃない?
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もちろん、僕もそんなことは望んでいないよ
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それならば……
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うん。万全の対策で乗り越えるつもりだよ
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寧々
万全の対策って……?
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様々な状況を考慮して、
失礼がないように断るパターンを考えてあるんだ
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楽屋への差し入れパターン、
訪問先で突然ふるまわれるパターン、
食事会に招待されるパターン……
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どこでどう僕の人生に野菜が立ちはだかるかわからないからね。
思いつく限り対策を準備したんだ
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だから、どこから野菜がきても問題なく対処できるよ
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その熱量、野菜を克服することに活かしたらどうなんだ……?
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えむ
じゃあじゃあ、もしかして
野菜を食べる役になった時のことも考えてるの?
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野菜を食べる役?
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えむ
うん。お芝居でそういう役に
なっちゃうこともあるかもしれないでしょ?
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ああ、それは想像してなかったな。
そんな役を僕がやるはずないと思ってたから
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でも、どうしてもと指名を受けて
出ることになる可能性もゼロではないだろうね
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今のうちに、食べてるように見せかけて
食べない演技を考案しておいたほうがよさそうだ
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えむ
わあ! マジックみたい!
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いや、みたいじゃなくて、ずばりマジックだ
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寧々
相変わらず、野菜が相手だと
がんばる方向おかしくなるんだから……
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寧々
克服するのは当分先になりそうかな……