Part 1

宵崎家 キッチン
1
——いただきます
2
まふゆ
…………いただきます
3
……望月さんが作ってくれる煮物、
さっぱりしてるから食べやすいな
4
あ、このたけのこ、すごくシャキシャキしてる
5
まふゆ
……そうだね
6
……あっ。汁がたれちゃった
7
ごめん、まふゆ。
そこのふきん、取ってくれる?
8
……まふゆ?
9
まふゆ
……ごめん、何?
10
あ、煮物の汁がたれちゃって、
そこのふきん取ってほしかったんだけど……
11
まふゆ
……はい
12
ありがとう
数時間後
奏の部屋
13
『……えななん、イラストのラフ確認したよ』
14
『方向性はよさそうだけど……。
今回はもう少し細かく、
イメージをすり合わせておきたいな』
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絵名
『じゃあ、Kの作業が落ち着いたら呼んで?
それまで別のことやってるから』
16
『うん。わかった』
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瑞希
『ねえねえ、雪。ちょっとこの素材、見てくれる?
もらった歌詞のフレーズからイメージして、探してみたんだ♪』
18
まふゆ
『わかった。こっちの作業にキリがついてからでもいい?』
19
瑞希
『うん、大丈夫! じゃあ、送っておくね~!』
20
(……夕食の時よりも表情が明るい気がする。
みんなと作業できてるからかな……)
21
(でも……きっと、不安だろうな)
22
(お母さんと話す日も近いし……)
23
(わたしも、緊張してないっていったら嘘になるから)
24
まふゆの母
2年間もまふゆと一緒に音楽を作ってきたんだもの。
あなたも、まふゆも——離れ離れになってしまうのは
とてもつらいと思うわ
25
まふゆの母
だけどこの際、率直に言うとね
26
まふゆの母
音楽もサークル活動も……
あの子の人生には必要ないと思うのよ
27
…………!
28
まふゆの母
だから、まふゆのことを想うのなら——
あの子にサークルをやめるよう勧めてもらえないかしら
29
まふゆの母
あなたの口から聞いたなら、
きっと、あの子も——納得してくれるはずよ
30
(あの時は、『このままじゃ、まふゆはこの人に壊される』
って感じて、どうにかしなくちゃって思ったけど……)
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(でも、まふゆにもお母さんとのあたたかい思い出がある)
32
(だから——)
33
(……まふゆのお母さんを、信じよう)
34
(それで————見守ろう)
35
(まふゆの気持ちが、ちゃんと伝わるように)
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(わたしに、できることをするんだ)