Part 1
宵崎家 キッチン
奏
——いただきます
まふゆ
…………いただきます
奏
……望月さんが作ってくれる煮物、
さっぱりしてるから食べやすいな
さっぱりしてるから食べやすいな
奏
あ、このたけのこ、すごくシャキシャキしてる
まふゆ
……そうだね
奏
……あっ。汁がたれちゃった
奏
ごめん、まふゆ。
そこのふきん、取ってくれる?
そこのふきん、取ってくれる?
奏
……まふゆ?
まふゆ
……ごめん、何?
奏
あ、煮物の汁がたれちゃって、
そこのふきん取ってほしかったんだけど……
そこのふきん取ってほしかったんだけど……
まふゆ
……はい
奏
ありがとう
数時間後
奏の部屋
奏
『……えななん、イラストのラフ確認したよ』
奏
『方向性はよさそうだけど……。
今回はもう少し細かく、
イメージをすり合わせておきたいな』
今回はもう少し細かく、
イメージをすり合わせておきたいな』
絵名
『じゃあ、Kの作業が落ち着いたら呼んで?
それまで別のことやってるから』
それまで別のことやってるから』
奏
『うん。わかった』
瑞希
『ねえねえ、雪。ちょっとこの素材、見てくれる?
もらった歌詞のフレーズからイメージして、探してみたんだ♪』
もらった歌詞のフレーズからイメージして、探してみたんだ♪』
まふゆ
『わかった。こっちの作業にキリがついてからでもいい?』
瑞希
『うん、大丈夫! じゃあ、送っておくね~!』
奏
(……夕食の時よりも表情が明るい気がする。
みんなと作業できてるからかな……)
みんなと作業できてるからかな……)
奏
(でも……きっと、不安だろうな)
奏
(お母さんと話す日も近いし……)
奏
(わたしも、緊張してないっていったら嘘になるから)
まふゆの母
2年間もまふゆと一緒に音楽を作ってきたんだもの。
あなたも、まふゆも——離れ離れになってしまうのは
とてもつらいと思うわ
あなたも、まふゆも——離れ離れになってしまうのは
とてもつらいと思うわ
まふゆの母
だけどこの際、率直に言うとね
まふゆの母
音楽もサークル活動も……
あの子の人生には必要ないと思うのよ
あの子の人生には必要ないと思うのよ
奏
…………!
まふゆの母
だから、まふゆのことを想うのなら——
あの子にサークルをやめるよう勧めてもらえないかしら
あの子にサークルをやめるよう勧めてもらえないかしら
まふゆの母
あなたの口から聞いたなら、
きっと、あの子も——納得してくれるはずよ
きっと、あの子も——納得してくれるはずよ
奏
(あの時は、『このままじゃ、まふゆはこの人に壊される』
って感じて、どうにかしなくちゃって思ったけど……)
って感じて、どうにかしなくちゃって思ったけど……)
奏
(でも、まふゆにもお母さんとのあたたかい思い出がある)
奏
(だから——)
奏
(……まふゆのお母さんを、信じよう)
奏
(それで————見守ろう)
奏
(まふゆの気持ちが、ちゃんと伝わるように)
奏
(わたしに、できることをするんだ)