Part 1
奏の部屋
奏
……サビ、だいぶ固まってきたけど、
入りがまだ弱い気がする
入りがまだ弱い気がする
奏
曲調的には、シンプルにサビ前の音を減らすのがいいかな。
あとはベタだけど、サブベースをフェードインさせるとか——
あとはベタだけど、サブベースをフェードインさせるとか——
絵名
『……ごめん。思ったより遅くなっちゃった』
まふゆ
……奏、絵名きたよ
奏
うん、聞こえた
奏
『えななん、絵画教室の課題は終わった?』
絵名
『うん。なんとかね……』
瑞希
『うわ、ヘロヘロじゃん。
今回の課題も相当しんどかったとか?』
今回の課題も相当しんどかったとか?』
絵名
『それもあるけど、
何パターンも描いてたから、普通に疲れたっていうか』
何パターンも描いてたから、普通に疲れたっていうか』
奏
『そうなんだ……』
奏
『作業、もし大変なら休んでもらっても大丈夫だよ。
順調に進めてもらってるみたいだし』
順調に進めてもらってるみたいだし』
絵名
『ありがとね、K。
課題がやばそうな時は相談させてもらうね』
課題がやばそうな時は相談させてもらうね』
奏
『うん』
1週間後
奏
(……動画、まだほとんど仮素材の状態だけど、
方向性はズレてないし、この調子で作業進めてもらって——)
方向性はズレてないし、この調子で作業進めてもらって——)
絵名
『……K。まだ作業してる?』
奏
『……えななん?
今日は絵画教室の課題でこれないんじゃなかった?』
今日は絵画教室の課題でこれないんじゃなかった?』
絵名
『そのつもりだったんだけど、
ちょっと落ち着いたから顔出しておこうかなって』
ちょっと落ち着いたから顔出しておこうかなって』
絵名
『雪とAmiaは? もう寝ちゃった?』
奏
『うん。雪は1時間くらい前に。
Amiaは10分くらい前だったかな……。眠さの限界だって』
Amiaは10分くらい前だったかな……。眠さの限界だって』
絵名
『そっか……。でも、ちょうどよかったかも』
絵名
『K、今日は……あー、もう昨日だけど、
カフェに誘ってくれてありがとね』
カフェに誘ってくれてありがとね』
絵名
私は……絵画教室に行って、帰るところ
奏
……元気がなさそうだね。
大丈夫?
大丈夫?
絵名
あー……うん。ちょっとね
奏
……もしよかったら、少し話していかない?
絵名
え?
奏
『……誘ったのはいいけど、あんまり役に立てなかったね』
絵名
『そんなことないから!』
絵名
『ていうか、Kから誘ってもらえるなんて思わなくて……。
私、そんなに元気なさそうだった?』
私、そんなに元気なさそうだった?』
奏
『……そうだね。
先週も課題で疲れてそうだったし』
先週も課題で疲れてそうだったし』
奏
『だから……こういう時、えななんやAmiaなら、
カフェでお茶して気分転換しようって言うかなって』
カフェでお茶して気分転換しようって言うかなって』
絵名
『そっか……』
奏
『でも、わたしはえななん達みたいに
気の利いた話はできないから、
本当に聞くだけになっちゃったけど』
気の利いた話はできないから、
本当に聞くだけになっちゃったけど』
絵名
『ううん。聞いてもらえるだけでも気分変わるから』
絵名
『それに、Kが話してくれた
“失敗でしか見えないものがある”っていうのも、
そういう考え方もあるんだってわかって、おもしろかったし』
“失敗でしか見えないものがある”っていうのも、
そういう考え方もあるんだってわかって、おもしろかったし』
奏
『本当?』
絵名
『うん』
奏
(慣れないことしちゃったなって思ったけど……)
奏
(役に立てたなら、よかった)
絵名
『……あ、そうそう。
あの後、ちゃんと休んでくれた?』
あの後、ちゃんと休んでくれた?』
奏
『え……。ああ、うん』
奏
『えななんと別れた後も、ミクとカイトは
わたしがベッドに横になるまで帰らないって言って、
ずっとこっちにいて……』
わたしがベッドに横になるまで帰らないって言って、
ずっとこっちにいて……』
奏
『特に、カイトの視線が痛かったな』
奏
『スマホ、移動中はポケットに入れてたはずなのに、
無言の圧を感じたっていうか……』
無言の圧を感じたっていうか……』
絵名
『圧かけられるのも当然でしょ。
Kは前にも倒れてるんだから』
Kは前にも倒れてるんだから』
奏
『う……』
絵名
『本当に気をつけてよ?
もしまた倒れたら、今度こそ家に押しかけるから!』
もしまた倒れたら、今度こそ家に押しかけるから!』
奏
『うん。気をつけるよ』