Part 1
誰もいないセカイ
KAITO
…………
瑞希の声
——やっほー! ミクー、みんなー!
絵名の声
あ、奏とまふゆも来た。
ふたりとも、こっちー!
ふたりとも、こっちー!
KAITO
……うるさい奴らだ
KAITO
(そういえば、曲のデモを聴かせに来るとか言ってたな)
KAITO
(理由はわからないが、
あいつの作る曲だけがまふゆに届く……)
あいつの作る曲だけがまふゆに届く……)
KAITO
……たまには聴いておくか
KAITO
(……早速、流してるみたいだな)
KAITO
(……今回はバラードか)
奏
……聴いてくれてありがとう。
ふたつ目の候補がこれ
ふたつ目の候補がこれ
絵名
……あ、さっきの曲も優しい感じの曲だったけど、
こっちの方がなんていうかもっと柔らかい感じ?
こっちの方がなんていうかもっと柔らかい感じ?
レン
うん。わかる気がする……
瑞希
んー、さっきのとどっちがいいか選ぶなら、
ボクはこっちの方が好きかも
ボクはこっちの方が好きかも
ルカ
……まふゆはどう?
まふゆ
……好きかは、わからない
まふゆ
でも……こっちの方が、何かを感じる気がする
奏
そっか……
奏
じゃあ、こっちの曲をもっと詰めてみようかな
KAITO
(何かを感じる気がする、か。
その“何か”とはなんなのかが重要なんだが……)
その“何か”とはなんなのかが重要なんだが……)
KAITO
(いや、感じるだけまだいいほうなんだろう。
あいつの曲以外では、それすらないんだからな)
あいつの曲以外では、それすらないんだからな)
KAITO
……ん?
瑞希
……絵名? しぶ~い顔してどうしたの?
絵名
うん……。
今描いてるイラストのこと思い出して
今描いてるイラストのこと思い出して
絵名
今回、なかなか思うように描けなくて
かなり時間もらっちゃったでしょ
かなり時間もらっちゃったでしょ
絵名
みんなが『いい』って言ってくれたラフも、描いていくうちに
曲の世界観をちゃんと表現できてるのかって気になっちゃって、
結局、構図からやり直させてもらっちゃったし……
曲の世界観をちゃんと表現できてるのかって気になっちゃって、
結局、構図からやり直させてもらっちゃったし……
奏
そのこだわりのおかげで
すごくいいイラストになったし、わたしは助かったよ
すごくいいイラストになったし、わたしは助かったよ
絵名
でも、納得いくイラストに仕上げるために、
あんなにやり直さないとたどり着けないなんて……
あんなにやり直さないとたどり着けないなんて……
絵名
今度こそ、もっとちゃんと最初から
奏達の曲の世界観を表現してみせるから!
奏達の曲の世界観を表現してみせるから!
奏
ありがとう、絵名
KAITO
(……あいつはわかりやすくていい)
KAITO
(こうありたいという“自分”が、見えてるんだろうな)
KAITO
(それに——)
絵名
『——奏、聞いて』
絵名
『……お父さんのことは、大変だと思う。
自分のせいだって責めちゃうのも……仕方ないと思う』
自分のせいだって責めちゃうのも……仕方ないと思う』
絵名
『でも……でも、それと奏の幸せは別じゃない?』
絵名
『ていうか、そうじゃないと私が嫌……!』
絵名
『奏は、こんなにみんなのために頑張ってるんだから……!
奏自身が幸せにならなきゃ、絶対おかしい』
奏自身が幸せにならなきゃ、絶対おかしい』
KAITO
(……思ったこと感じたことを、言葉にして主張できる。
自分が嫌なことなら、なおさらだ)
自分が嫌なことなら、なおさらだ)
KAITO
(どうやら、かなりお節介らしいからな。
そういう性格的なところもあるんだろうが……)
そういう性格的なところもあるんだろうが……)
KAITO
(なんにせよ、感情的な言葉による主張は
明らかにまふゆに足りていないものだ)
明らかにまふゆに足りていないものだ)
KAITO
(あれだけそばにいるんだ。
少しでも影響されてくれれば、こっちが楽なんだがな)
少しでも影響されてくれれば、こっちが楽なんだがな)