Part 1
フェニックスワンダーランド
ワンダーステージ
森の少女
『あたし、森も、町も、守りたいの!
みんなでちゃんと仲直りしたい!』
みんなでちゃんと仲直りしたい!』
森の少女
『だからあたしが、今からそっちに行って
将校さんを助けるよ!』
将校さんを助けるよ!』
将校
『こっちに——? まさか、跳びうつる気か!?
落ちたら大ケガをするうえに、見回りの兵士につかまるぞ!』
落ちたら大ケガをするうえに、見回りの兵士につかまるぞ!』
森の少女
『絶対落ちない!
あたしを信じて!』
あたしを信じて!』
森の少女
『あたしは絶対——跳び越えてみせる!』
類
お疲れさま、ふたりとも。
セリフと演技はもうバッチリみたいだね
セリフと演技はもうバッチリみたいだね
えむ
えへへっ♪ 今のシーン、
家でいっぱい練習したんだっ☆
家でいっぱい練習したんだっ☆
えむ
このあと、クライマックスのジャンプするシーンもあるし、
しっかり森の少女の気持ちを伝えなくちゃって思って!
しっかり森の少女の気持ちを伝えなくちゃって思って!
寧々
うん。表情もすごく良かったし、
ちゃんと伝わると思う
ちゃんと伝わると思う
えむ
ほんと!? やったー!
寧々ちゃんに褒められた~♪
寧々ちゃんに褒められた~♪
司
となると次は、例のジャンプのシーンだな
類
ああ。あのシーンが成功するのとしないのとでは、
観客が受けるその後のストーリーの印象が変わってしまう
観客が受けるその後のストーリーの印象が変わってしまう
類
えむくんにはプレッシャーを掛けてしまうことになるが、
絶対に成功させたいシーンなんだ
絶対に成功させたいシーンなんだ
えむ
大丈夫だよ! あたし、絶対絶対ぜ~~~ったい!
成功させる!!
成功させる!!
えむ
(類くんが、ずっとずっとやりたかった、
夢のショーなんだもん!)
夢のショーなんだもん!)
類
ずっと昔のことだから、
今はもう気にしていないけれどね
今はもう気にしていないけれどね
類
ただ——自分がやりたいことは、
多くの人の嫌がる、理解されないものだということは、
その時強く実感したよ
多くの人の嫌がる、理解されないものだということは、
その時強く実感したよ
類
だから今まで、このショーは封印していたんだよ
類
でも今は、あの日夢見たショーをもっといい形にすることが
できると思うんだ
できると思うんだ
類
ここにいるのはみんな、面白いショーのためなら
どんなことでもやってやろうと思っているメンバーだからね
どんなことでもやってやろうと思っているメンバーだからね
えむ
(類くんのためにも、見にきてくれるお客さんのためにも
絶対、成功させなくっちゃ!)
絶対、成功させなくっちゃ!)
えむ
あっ……!
えむ
お兄ちゃん達だ~~~っ!!
わんだほーいっ!
わんだほーいっ!
えむ
ええー! なんで避けちゃうの!?
晶介
あ? 突撃されるのわかってて避けねえっつう選択肢が
あるわけねえだろ
あるわけねえだろ
寧々
えむのお兄さん達が来るっていう連絡、あったっけ?
類
いや、なかったと思うけれど……
司
何かあったのか?
慶介
出先の会議が思いのほか早く終わったものでな。
少し様子を見に来させてもらった
少し様子を見に来させてもらった
慶介
練習中のようだったから、
見るだけにしようと思ったのだが……
見るだけにしようと思ったのだが……
えむ
わぁ……!
あたし達の練習を見にきてくれたの!?
あたし達の練習を見にきてくれたの!?
晶介
だからそう言ってんだろ。
俺達は勝手に見て勝手に帰るから、気にせず続けろ
俺達は勝手に見て勝手に帰るから、気にせず続けろ
慶介
ああ、そうだ。
何か必要な物や足りない物があれば言ってくれ。手配する
何か必要な物や足りない物があれば言ってくれ。手配する
類
ありがとうございます。
ですが、今のところは特にありませんよ
ですが、今のところは特にありませんよ
慶介
そうか
えむ
ねえねえ、お兄ちゃん聞いて聞いて♪
あたし今度、木から窓に、とりゃーってジャンプするの!
あたし今度、木から窓に、とりゃーってジャンプするの!
寧々
説明になってるような、なっていないような……
慶介
……木から窓に、とりゃー?
類
鳳邸の庭の木の枝から、
窓に向かってジャンプするアクロバットシーンがあるんですよ
窓に向かってジャンプするアクロバットシーンがあるんですよ
晶介
は? あそこは建物も庭も含めて文化財だぞ。
建物はもちろん、木の枝を折ったり
傷つけたりしないだろうな?
建物はもちろん、木の枝を折ったり
傷つけたりしないだろうな?
類
もちろん。建物も木も、そして妹さんも、
安全は保障します
安全は保障します
司
まあ、ステージに雷を落とすのと比べれば、
万が一のフォローもしやすいしな
万が一のフォローもしやすいしな
晶介
雷?
類
フフフ。興味がおありなら具体的に何をどうしたか、
ご説明しましょうか?
ご説明しましょうか?
晶介
い、いやいい!
それより本当に大丈夫なんだろうな!?
それより本当に大丈夫なんだろうな!?
類
ええ、もちろん。必要であれば、
対応の仕方についてのご説明のほうをしましょうか?
対応の仕方についてのご説明のほうをしましょうか?
慶介
その話は屋敷の管理者や、当日の現場の責任者と
してもらうほうが建設的だろう。
それに、そろそろ時間だ
してもらうほうが建設的だろう。
それに、そろそろ時間だ
司
む? もう行くのか?
慶介
まだ次の仕事が残っているからな
慶介
だが、今日の夕食は久しぶりに家族でとれそうだ
えむ
本当!?
慶介
ああ。食べたいものがあれば
シェフに連絡しておくが、どうする?
シェフに連絡しておくが、どうする?
えむ
わーい! じゃあハンバーグとエビフライと
スパゲッティとオムライス♪
スパゲッティとオムライス♪
晶介
……お前それ、お子様ランチじゃねえか
晶介
ああそうだ。
『えむ』って書いた旗も立てるように言っておいてやるよ
『えむ』って書いた旗も立てるように言っておいてやるよ
えむ
いいのっ!? ありがとう、お兄ちゃん!!
晶介
……あのなあ。
高校生が喜んでんじゃねえよ
高校生が喜んでんじゃねえよ
慶介
……では、また夜にな
慶介
君達も、
えむと、次のショーのこと頼んだぞ
えむと、次のショーのこと頼んだぞ
司
おう、任された!
えむ
えへへっ……
寧々
えむ、すごく嬉しそうだね
えむ
うん! だって、お兄ちゃん達もあたし達のショーを
応援してくれてるんだもん!
応援してくれてるんだもん!
えむ
司くんや寧々ちゃんや類くん、
ミクちゃん達だって応援してくれてるし——
ミクちゃん達だって応援してくれてるし——
えむ
今のあたし、無敵かもっ☆
司
では、その無敵パワーで例のシーンの練習を始めるか!
えむ
おーっ!!