Part 1

フェニックスワンダーランド
ワンダーステージ
1
森の少女
『あたし、森も、町も、守りたいの!
みんなでちゃんと仲直りしたい!』
2
森の少女
『だからあたしが、今からそっちに行って
将校さんを助けるよ!』
3
将校
『こっちに——? まさか、跳びうつる気か!?
落ちたら大ケガをするうえに、見回りの兵士につかまるぞ!』
4
森の少女
『絶対落ちない!
あたしを信じて!』
5
森の少女
『あたしは絶対——跳び越えてみせる!』
6
お疲れさま、ふたりとも。
セリフと演技はもうバッチリみたいだね
7
えむ
えへへっ♪ 今のシーン、
家でいっぱい練習したんだっ☆
8
えむ
このあと、クライマックスのジャンプするシーンもあるし、
しっかり森の少女の気持ちを伝えなくちゃって思って!
9
寧々
うん。表情もすごく良かったし、
ちゃんと伝わると思う
10
えむ
ほんと!? やったー!
寧々ちゃんに褒められた~♪
11
となると次は、例のジャンプのシーンだな
12
ああ。あのシーンが成功するのとしないのとでは、
観客が受けるその後のストーリーの印象が変わってしまう
13
えむくんにはプレッシャーを掛けてしまうことになるが、
絶対に成功させたいシーンなんだ
14
えむ
大丈夫だよ! あたし、絶対絶対ぜ~~~ったい!
成功させる!!
15
えむ
(類くんが、ずっとずっとやりたかった、
夢のショーなんだもん!)
16
ずっと昔のことだから、
今はもう気にしていないけれどね
17
ただ——自分がやりたいことは、
多くの人の嫌がる、理解されないものだということは、
その時強く実感したよ
18
だから今まで、このショーは封印していたんだよ
19
でも今は、あの日夢見たショーをもっといい形にすることが
できると思うんだ
20
ここにいるのはみんな、面白いショーのためなら
どんなことでもやってやろうと思っているメンバーだからね
21
えむ
(類くんのためにも、見にきてくれるお客さんのためにも
絶対、成功させなくっちゃ!)
22
えむ
あっ……!
23
えむ
お兄ちゃん達だ~~~っ!!
わんだほーいっ!
24
えむ
ええー! なんで避けちゃうの!?
25
晶介
あ? 突撃されるのわかってて避けねえっつう選択肢が
あるわけねえだろ
26
寧々
えむのお兄さん達が来るっていう連絡、あったっけ?
27
いや、なかったと思うけれど……
28
何かあったのか?
29
慶介
出先の会議が思いのほか早く終わったものでな。
少し様子を見に来させてもらった
30
慶介
練習中のようだったから、
見るだけにしようと思ったのだが……
31
えむ
わぁ……!
あたし達の練習を見にきてくれたの!?
32
晶介
だからそう言ってんだろ。
俺達は勝手に見て勝手に帰るから、気にせず続けろ
33
慶介
ああ、そうだ。
何か必要な物や足りない物があれば言ってくれ。手配する
34
ありがとうございます。
ですが、今のところは特にありませんよ
35
慶介
そうか
36
えむ
ねえねえ、お兄ちゃん聞いて聞いて♪
あたし今度、木から窓に、とりゃーってジャンプするの!
37
寧々
説明になってるような、なっていないような……
38
慶介
……木から窓に、とりゃー?
39
鳳邸の庭の木の枝から、
窓に向かってジャンプするアクロバットシーンがあるんですよ
40
晶介
は? あそこは建物も庭も含めて文化財だぞ。
建物はもちろん、木の枝を折ったり
傷つけたりしないだろうな?
41
もちろん。建物も木も、そして妹さんも、
安全は保障します
42
まあ、ステージに雷を落とすのと比べれば、
万が一のフォローもしやすいしな
43
晶介
雷?
44
フフフ。興味がおありなら具体的に何をどうしたか、
ご説明しましょうか?
45
晶介
い、いやいい!
それより本当に大丈夫なんだろうな!?
46
ええ、もちろん。必要であれば、
対応の仕方についてのご説明のほうをしましょうか?
47
慶介
その話は屋敷の管理者や、当日の現場の責任者と
してもらうほうが建設的だろう。
それに、そろそろ時間だ
48
む? もう行くのか?
49
慶介
まだ次の仕事が残っているからな
50
慶介
だが、今日の夕食は久しぶりに家族でとれそうだ
51
えむ
本当!?
52
慶介
ああ。食べたいものがあれば
シェフに連絡しておくが、どうする?
53
えむ
わーい! じゃあハンバーグとエビフライと
スパゲッティとオムライス♪
54
晶介
……お前それ、お子様ランチじゃねえか
55
晶介
ああそうだ。
『えむ』って書いた旗も立てるように言っておいてやるよ
56
えむ
いいのっ!? ありがとう、お兄ちゃん!!
57
晶介
……あのなあ。
高校生が喜んでんじゃねえよ
58
慶介
……では、また夜にな
59
慶介
君達も、
えむと、次のショーのこと頼んだぞ
60
おう、任された!
61
えむ
えへへっ……
62
寧々
えむ、すごく嬉しそうだね
63
えむ
うん! だって、お兄ちゃん達もあたし達のショーを
応援してくれてるんだもん!
64
えむ
司くんや寧々ちゃんや類くん、
ミクちゃん達だって応援してくれてるし——
65
えむ
今のあたし、無敵かもっ☆
66
では、その無敵パワーで例のシーンの練習を始めるか!
67
えむ
おーっ!!