Part 1

鳳邸庭園
1
司くん、必要な物はすべて準備完了だ。
いつでもリハーサルを始められるよ
2
よし! では……一度集合!!
3
これから、ショーのリハーサルを始める。
時間も限られているので、テキパキと進めるぞ
4
えむ
おー!
5
リン
『えへへ~☆ リンも
ネネロボちゃんと一緒に応援するね!』
6
ネネロボ
応援シマス!
7
寧々
ありがとう。
じゃあ、さっそく最初のシーンから——
8
いや、待て
9
寧々
え……?
10
リハーサルを始める前に、
皆に渡しておかねばならない物がある
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えむ
渡す物? あ、ひょっとしておやつ!?
12
このタイミングでおやつなど渡すわけがないだろう
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ショーに関係がある物……いや、
今回のショーに必須な物だ!
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というと……?
15
この、虫よけスプレーだ……!!
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あー、なるほど
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えむ
ほえ?
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リン
『虫よけスプレー? それがショーに必要なの?』
19
そのとおーりっ!
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これほどまでに見事な緑の庭園だ。
つまり、それだけヤツらが潜んでいる可能性が
高いということでもある!
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寧々
司、虫がすっごい苦手なの。
……わたしも人のこと言えないけど
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リン
『あ、そっか! それで虫さんに会いたくないんだ』
23
えむ
司くん、虫さん見つけるとすぐギャーってなるもんね
24
ネネロボ
ハイ。90デシベル、犬の吠エル声ニモ負ケナイ騒音を
響カセテ逃走シマス
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苦手なものは仕方がないだろう
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とにかく! ヤツらは時に無音で現れ、
時に不快な羽音でその存在を主張し、
オレ達を混乱の渦に叩き落す——
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しかーし! この虫よけスプレーを駆使すれば、
ヤツらの侵攻を阻止することができる!
28
寧々
まあ、わたしもどちらかと言えば
見たくないほうだし、それはいいと思うけど
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お客さんの中にも、虫が苦手な人はいるだろうしね
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そうだ! 特に、ショーの最中にヤツらが現れてみろ!
観客の注意がヤツらに持っていかれるかもしれん!
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最悪、ヤツらの出現によって観客が混乱し、
それまでに作った空気が台無しに……いや、
ショーが中断される可能性も高い!
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えむ
ほえ!? そうなの!?
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高くはないけれど、ゼロでもないかな
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出てきた虫がハチみたいな人を刺す可能性がある虫だったら、
ショーの途中でも、
お客さん達が席を立たざるを得なくなるかもしれない
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だろう!?
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リン
『そうなんだ! 司くん、
そんなことまで考えてるなんてすごーい!』
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やっとオレの主張の正当性が伝わったようだな
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いいか? もしもヤツらを1匹でも見かけたら、
すぐオレに報せろ
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今日のために集めた
各虫に対応するスプレーですみやかに追い払う!
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寧々
類かネネロボにやってもらったほうが
いいんじゃない? 司、絶対うろたえそうだし
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ふっ。なめてもらっては困る
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ショーの最中であれば、たとえヤツらが現れようが、
服に入ろうが鼻に入ろうが、
幕が下りるまで演じきってみせる!
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そう! オレはスターだからな!
44
観客と団員の安全と笑顔は、このオレが守る!
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えむ・リン
『おお~っ』
46
えむ
司くん、かっこいいーっ!
47
フフ。たしかにね
48
じゃあ、念のための備えとして、
司くんが持ってきてくれたスプレーを
当日、セットの近くにも置いておこうか
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ああ! 備えあれば、憂いなしだ!
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ネネロボ、お前にもいくつかスプレーを渡しておこう!
ヤツらを見つけたら、すみやかに排除だ!
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ネネロボ
了解デス!
見ツケ次第、デストロイデス
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寧々
デ、デストロイまではしなくていいから
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フフ、では司くんの言うとおり、
ひとまず全員、虫よけスプレーをしておこうか
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ああ。それが終わり次第、リハーサル開始だ!
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えむ
はーい!