スクランブル交差点
司
鬼島さん、今日は付きあっていただき、
ありがとうございました!
ありがとうございました!
司
すり合わせだけでなく、結局自主練まで見ていただいて……
本当に、助かりました
本当に、助かりました
鬼島
構わない! いい舞台にするために
できることを全てやりたいという君の気持ちは、
よくわかるからな
できることを全てやりたいという君の気持ちは、
よくわかるからな
鬼島
それに今回、俺達はダブル主演だ。
息を合わせるのは大切だろう
息を合わせるのは大切だろう
司
そうですね……幼い頃に生き別れてしまった兄弟が、
新政府軍と旧幕府軍にわかれて戦う
この『維新伝』——
新政府軍と旧幕府軍にわかれて戦う
この『維新伝』——
司
クライマックスの殺陣が
全体の出来を左右すると言っても過言ではないと思うと、
ますます気合いが入ります!
全体の出来を左右すると言っても過言ではないと思うと、
ますます気合いが入ります!
司
ただ——
司
まだまだ工夫する余地があるというか、
何かが足りない気もしていて……
何かが足りない気もしていて……
鬼島
……なるほどな
司
……すみません。
こんな抽象的な話をしてしまって
こんな抽象的な話をしてしまって
鬼島
いや、謝る必要はないぞ。
考え続けるのは、大事なことだからな!
考え続けるのは、大事なことだからな!
鬼島
だが——そうだな。
その答えは、自分で辿り着かなければ意味がない
その答えは、自分で辿り着かなければ意味がない
鬼島
そしてきっと、それに気づけた時——
天馬くんは今よりも大きく成長できるだろう
天馬くんは今よりも大きく成長できるだろう
司
……! 今よりも……
司
……わかりました。
この天馬司、必ずや答えに辿り着いてみせます!
この天馬司、必ずや答えに辿り着いてみせます!
鬼島
はっはっは、その意気だ!
鬼島
そういえば天馬くん。
メッセージはちゃんと返せたのか?
メッセージはちゃんと返せたのか?
司
メッセージ?
鬼島
すり合わせの最中に、昔の仲間から連絡が来たと
言っていただろう
言っていただろう
鬼島
そのまま自主練に入ってしまったから、
まだ返せていないのではと思ってな
まだ返せていないのではと思ってな
司
はっ、そうでした……!
練習に集中するあまり、つい頭から抜け落ちて……!
練習に集中するあまり、つい頭から抜け落ちて……!
司
急いで返信します!
鬼島
うむ、思い出せたようで何よりだ!
鬼島
しかし……解散しても連絡を取り合うとは、
その子達とはとても仲がいいんだな
その子達とはとても仲がいいんだな
司
……そうですね
司
実は……海外行きを決めたのは
その仲間に背中を押されたからというのも、理由のひとつなんです
その仲間に背中を押されたからというのも、理由のひとつなんです
鬼島
そうなのか?
司
はい。仲間のひとりから
夢を追いかけて、アメリカトップレベルの
ショーユニットの一員になると報告されて——
夢を追いかけて、アメリカトップレベルの
ショーユニットの一員になると報告されて——
司
負けられない、そう思ったんです
司
オレの実力は、まだまだです。
海外に行くには早いことも、理解しています。しかし——
海外に行くには早いことも、理解しています。しかし——
司
仲間に、先を越されてばかりではいられない……
オレは、ワンダーランズ×ショウタイムの座長ですから!
オレは、ワンダーランズ×ショウタイムの座長ですから!
司
『世界中を笑顔にするスターになる』という夢を、
一番に叶えなければいけないんです
一番に叶えなければいけないんです
鬼島
……そうか。
天馬くんらしい、まっすぐな想いだな
天馬くんらしい、まっすぐな想いだな
鬼島
夢に向かって一直線に向かう
その心意気やよし!
その心意気やよし!
鬼島
堂々と走っていくといい。
壮大な君の夢に向かってな!
壮大な君の夢に向かってな!
司
鬼島さん……
司
はい! ありがとうございます!
???
きっとできるよ。だって君は、
みんなに笑顔をあげる未来のスターなんだろう?
みんなに笑顔をあげる未来のスターなんだろう?
司
(……今のは、一体……)
司
(わからんが、誰かに背中を押されたような……
そんな気分だ)
そんな気分だ)
司
(……いよいよ、最後の公演か)
司
(あいつらに負けないように……
最後まで気を引き締めていかねばな!)
最後まで気を引き締めていかねばな!)
1週間後
神社の境内
六郎
『なぜ……なぜお前がここにいる!』
六郎
『あの時、俺が逃したはずだろう!』
勘助
『……!』
司
(よし。動きのタイミングはバッチリだ!
このまま鍔迫り合いから、打ち合いに——)
このまま鍔迫り合いから、打ち合いに——)
観客達
うわっ!
あの人、壁を蹴って飛んだ……!?
あの人、壁を蹴って飛んだ……!?
司
(アドリブか……!
正面から受けて飛ばされたあと、受け身をとれば——)
正面から受けて飛ばされたあと、受け身をとれば——)
勘助
『うぐっ……!』
勘助
『くっ……兄上……!』
観客達
わあ、すごい迫力……!
司
(観客も乗ってきているな!
それなら、次はオレが……)
それなら、次はオレが……)
三日月組団員C
いや、すまない……。
まさか回転を加えるとは思わなくてね
まさか回転を加えるとは思わなくてね
司
(しかし——今は鬼島さんの見せ場だ)
司
(ここは、練習通り踏み出して——!)
勘助
『それでも……
それでも俺は……この道を選ぶ!』
それでも俺は……この道を選ぶ!』
六郎
『……そうか』
六郎
『それならもう、戦うしかないんだな。
たったひとりの、家族であっても……!』
たったひとりの、家族であっても……!』
勘助
『兄上、俺は……』
勘助
『俺は、後悔してない。
あの時、あなたと道を違えたこと……』
あの時、あなたと道を違えたこと……』
六郎
『ああ、俺もだ。だからこそ……』
六郎
『——最後は、俺の手で終わらせてやる』
勘助
『……ああ。頼む』
終演後
観客達
最初はちょっとコメディだったのに……
最後、まさかあんな結末になるなんて……!
最後、まさかあんな結末になるなんて……!
観客達
三日月組って、こんな切ない演目もできたんだ……
めちゃくちゃ面白かったな〜!
めちゃくちゃ面白かったな〜!
鬼島
はっはっは!
観客の反応も上々といったところだな!
観客の反応も上々といったところだな!
司
これまでにない、拍手の大きさでしたね……!
司
最後まで、鬼島さんには勉強させていただくことばかりでした。
あのアドリブも、観客がすごく盛り上がっていましたし!
あのアドリブも、観客がすごく盛り上がっていましたし!
鬼島
そう言う天馬くんも、よく対応したな!
鬼島
——天馬くん
鬼島
改めて、今日までありがとう。
団員も、俺も。君にはいろいろと刺激を受けた
団員も、俺も。君にはいろいろと刺激を受けた
鬼島
きっと、ひとりで世界に飛び出せば
つらいこともあるだろう。
だが、天馬くんなら大丈夫だ!
つらいこともあるだろう。
だが、天馬くんなら大丈夫だ!
鬼島
君がスターになる日を、楽しみにしているぞ
司
……はい!
司
三日月組の皆さんと一緒に修行してきた日々は、
オレにとって、かけがえのない財産です
オレにとって、かけがえのない財産です
司
みんな、オレの背中を押して、夢を応援してくれた。
そんな皆さんの想いに応えるためにも……
そんな皆さんの想いに応えるためにも……
司
必ず、夢を叶えてみせます
司
オレは——未来のスターですから!
鬼島
うむ!
鬼島
胸を張って、進んでいくといい!
君だけの、夢への道をな!
君だけの、夢への道をな!
三日月組スタッフ
——鬼島さん!
施設のスタッフの方が、ご挨拶をしたいと
施設のスタッフの方が、ご挨拶をしたいと
鬼島
おお、そうか!
それなら、向かうとしよう。またあとでな、天馬くん!
それなら、向かうとしよう。またあとでな、天馬くん!
司
はい!
鬼島
…………
鬼島
(……俺では、彼の全力を引き出すことはできなかったか)
司
(……舞台上での立ち回り、殺陣の動き。
どれも、練習以上のものを出せたはずだ)
どれも、練習以上のものを出せたはずだ)
司
(だが……)
司
(しかし——今は鬼島さんの見せ場だ)
司
(ここは、練習通り踏み出して——!)
司
(あそこで遠慮してしまったのは、
少しもったいなかったか……)
少しもったいなかったか……)
司
(だが、結果的に公演は——)
鬼島
その答えは、自分で辿り着かなければ意味がない
司
(もしや、あれは……そういうことか——?)
司
(……まだまだ、役者として足りないものばかりだな)
司
(より素晴らしい舞台のために、
役者は常に全力であるべきだというのに……)
役者は常に全力であるべきだというのに……)
司
(こんなことでは、あいつらに笑われてしまう)
司
(……そういえば、今日の公演の前に
類とオレが海外に行くなら送別会をしよう、と
えむからメッセージが来ていたな)
類とオレが海外に行くなら送別会をしよう、と
えむからメッセージが来ていたな)
司
…………
司
(もし、今日の芝居をあいつらが見ていたら……
どんな感想を言うだろうか)
どんな感想を言うだろうか)
司
(えむは、『ドドドドガーーンって感じで面白かった☆』とか
言いそうだな。
寧々には、細かい動きのズレを指摘されそうだ)
言いそうだな。
寧々には、細かい動きのズレを指摘されそうだ)
司
(類はおそらく、
追加の演出プランを延々と語ってくるだろうし——)
追加の演出プランを延々と語ってくるだろうし——)
司
(いずれにせよ、
こんな未熟なままではダメ出しばかりだろうな)
こんな未熟なままではダメ出しばかりだろうな)
司
(オレは……もっと成長しなくてはならん)
司
(ワンダーランズ×ショウタイムの座長として——
あいつらに負けないためにもな)
あいつらに負けないためにもな)
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