宵崎家 キッチン
奏
——よし、できた
奏
お父さーん。
朝ご飯、できたよ!
朝ご飯、できたよ!
奏の父
ありがとう、奏。
今日も美味しそうだ
今日も美味しそうだ
奏
えへへ、今日は玉子焼きが上手く焼けたんだ。
食べてみて
食べてみて
奏の父
この前は甘めだったけど、今日はだし巻きなのか。
奏はいろいろ作れてすごいな
奏はいろいろ作れてすごいな
奏
ちょっとだけ頑張ったんだ。
ねえ、お父さんどっちが好き?
ねえ、お父さんどっちが好き?
奏の父
奏の作るものならなんでも好きだよ
奏
それじゃわかんないよ。
お父さんの好みのほうを作りたいから聞いてるのに……
お父さんの好みのほうを作りたいから聞いてるのに……
奏
あ、お父さん……クマが出来てるよ。
もしかして、また徹夜してたの?
もしかして、また徹夜してたの?
奏の父
ああ、キリのいいところまでと思っていたら
朝になってしまっていてね
朝になってしまっていてね
奏
もう……。
体壊しても知らないよ?
体壊しても知らないよ?
奏
でも……お父さんの曲を待ってる人、たくさんいるもんね。
聴くと幸せな気持ちになれるって
聴くと幸せな気持ちになれるって
奏の父
奏……
奏
わたしもいつか、お父さんみたいに
誰かを幸せにできる曲を作りたいな
誰かを幸せにできる曲を作りたいな
奏の父
奏なら、きっと作れるよ
奏の父
そのためにも、勉強は頑張らないとね
奏
もう、わかってるよ。
いろんな知識を持ってると、作曲の幅が広がるんだもんね
いろんな知識を持ってると、作曲の幅が広がるんだもんね
奏
テスト勉強は、やっぱり嫌だなって思うけど……
奏の父
はは。それじゃあ、もし良い点を取れたら
何かご褒美をあげようか
何かご褒美をあげようか
奏
ご褒美?
奏の父
うん、奏が欲しいものをなんでも言っていいよ
奏
やった……!
お父さん、約束だからね
お父さん、約束だからね
奏
あ……もうこんな時間……。
じゃあ、行ってくるね
じゃあ、行ってくるね
奏の父
うん、行ってらっしゃい。奏
宮益坂女子学園 2年A組
教師
——今読み上げた箇所では、
登場人物の心情を、言葉を巧みに使って表現しています
登場人物の心情を、言葉を巧みに使って表現しています
教師
それぞれの人物が、どんな心情なのか
ノートに書き出してみてください
ノートに書き出してみてください
奏
(この表現……夢が叶わなくて悲しい感じがするけど、
二度と会えないと思ってた友達とまた会えて、
嬉しい気持ちの方が強いんだろうな)
二度と会えないと思ってた友達とまた会えて、
嬉しい気持ちの方が強いんだろうな)
奏
(いつも泣かない子が、思わず泣いちゃうくらいに……)
奏
(……そうだ)
奏
(この瞬間の、この子の気持ちを曲にしたら…………)
教師
……宵崎さん?
何を書いているのかしら?
何を書いているのかしら?
奏
あっ……
奏
えっと、その、これは……
教師
ちゃんと授業に集中してくださいね
奏
はい……
奏
はあ……
クラスメイトA
奏~! なになに、また曲作りしてたの?
奏
あ、うん……。
いいメロディーが浮かんできて、つい……
いいメロディーが浮かんできて、つい……
クラスメイトA
あはは、相変わらずだね~!
クラスメイトB
この前も、同じようなことで注意されてなかったっけ?
奏
う、そうだったかも……。
集中しないと駄目だよね
集中しないと駄目だよね
クラスメイトA
でもでも、奏の曲っていいよね!
聴いてて前向きな気持ちになるっていうかさ
聴いてて前向きな気持ちになるっていうかさ
奏
え、本当?
クラスメイトA
本当だよ。私、登校前に絶対聴いてるもん。
憂鬱だな~って思ってても、元気出るから!
憂鬱だな~って思ってても、元気出るから!
奏
……よかった
クラスメイトB
そういえば、宵崎さんの曲って
動画サイトで何万再生もされてるんだよね
動画サイトで何万再生もされてるんだよね
クラスメイトA
そうそう! すごいよね~!
奏
そんなに有名ってわけじゃないと思うけど……
奏
……でも、たくさんの人が聴いてくれてるのは嬉しいな
クラスメイトB
ふふ、いつも言ってるもんね。
お父さんみたいに、たくさんの人を幸せにする曲を作りたいって
お父さんみたいに、たくさんの人を幸せにする曲を作りたいって
奏
うん。わたしの曲は、まだまだだと思うけど
クラスメイトA
そんなことないよ!
私はもう幸せになっちゃったし♪
私はもう幸せになっちゃったし♪
奏
ふふ、ありがとう
午後
奏
うう、移動教室なのに忘れ物しちゃうなんて……
奏
(勉強も頑張らなきゃって思ったばっかりなのにな——)
奏・???
『わっ!』
まふゆ
あっ……
奏
ご、ごめんなさい!
ちょっと考え事してて……
ちょっと考え事してて……
奏
あの、怪我してない……ですか?
まふゆ
うん、大丈夫だよ
まふゆ
えっと、宵崎さん……だよね?
奏
えっ? わたしのこと知ってるの?
まふゆ
ふふ、だって隣のクラスだもん
まふゆ
私は朝比奈まふゆ、よろしくね
奏
あ、う、うん……!
まふゆ
あ、次の授業始まっちゃうね。急がなきゃ
まふゆ
じゃあ、また今度
奏
う、うん。また……
奏
(朝比奈さん、か……)
奏
(みんなから噂はよく聞いてたけど……
わたしのこと、知ってもらえてるなんて思わなかった)
わたしのこと、知ってもらえてるなんて思わなかった)
奏
……また、話せるかな
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