教室のセカイ
1
ミク
…………一歌、みんな
2
ミク
…………! 一歌!?
3
一歌
ん……
4
一歌
あ、あれ……?
5
咲希
ここって……
6
リン
よ、よかったー! みんな、起きてくれたー!
7
咲希
わっ! なになに?
起きてくれたって、どういうこと?
8
リン
覚えてないの?
ほら、いっちーが木についた黒いのを取ろうとしたでしょ?
9
リン
でも、急に黒いのがぶわーってなって!
みんな、眠っちゃったんだよ!
10
咲希
立ったままで!?
11
志歩
気にするとこ、そこじゃないでしょ
12
KAITO
……とりあえず、元気そうだね
13
穂波
はい。心配してくださってありがとうございます
14
一歌
……あ、そうだ。木は?
木はどうなったの?
15
MEIKO
木? そうだね、特に変化は——
16
ルカ
いえ、待って……。
黒いものが、全部消えているわ
17
リン
あっ、ホントだ!
それに、なんか光が集まって——
18
ミク
強い、想いの力……
19
ミク
みんな! 木から離れて!
20
一歌
わっ……!
21
志歩
びっくりした……。
何が起きたの?
22
穂波
えっと、キラキラしたものが
木に吸い込まれたように見えたけど……
23
咲希
……って、あーーーっ!!
木が……!
24
KAITO
……大きくなってる
25
ルカ
ミク、やっぱりあれは……
26
ミク
あのキラキラした光は、きっと一歌達の想いの欠片だよ
27
ミク
きっと——木についていた黒いものの、正体だと思う
28
一歌
え? あの黒いのって、想いの欠片だったの?
29
志歩
しかも、私達の?
30
ミク
……ねえ、みんな。
眠ってた間のことは覚えてる?
31
ミク
それを聞けば、もっといろいろわかるかも
32
一歌
覚えてるよ。えっと——
33
ミク
……そっか
34
ミク
4人とも、夢の中では
今とは全然違う生活を送ってたんだね
35
咲希
こっちじゃアタシ、中学時代ほとんど入院してたのに、
夢だとちゃんと通えてたもんね
36
咲希
行けなかったはずの修学旅行も、みんなと一緒に行けて……。
すごく楽しかったな
37
ルカ
……もしかしたら
38
ルカ
あの黒い欠片は、4人がバラバラだった時に感じていた
寂しさや辛さだったのかしら
39
穂波
え……
40
MEIKO
可能性はありそうだね。
雰囲気的にも、ポジティブな感じの想いではなさそうだったし
41
一歌
えっと、どういうこと?
42
ルカ
そうね——例えば、4人が一緒にいられなかった時、
こう考えたことないかしら?
43
ルカ
『どうして、こんなに苦しい思いを
しなくちゃいけないんだろう』——
44
ルカ
『もっとみんなと、一緒に居られたら』
『みんなが、そばにいてくれたら』って
45
ルカ
そういう想いが積み重なって、
黒い想いの欠片になったんじゃないかと思うの
46
レン
だから……あの黒い欠片に触ったみんなは、
『一緒にいられる』夢を見たってことだな
47
志歩
なんとなくわかったけど……
48
志歩
私達、あのまま夢の世界にいたら
結局一緒にはいられなくなってたよね?
49
穂波
うん……
50
咲希
でも……なんか、悔しいな
51
咲希
一緒にいられる時間がどんなに大切か、
夢の中のアタシは、全然わかってなくて……
52
咲希
アタシ、みんながずっと一緒にいてくれることが——
それが当然だって、思っちゃってた
53
咲希
そんなこと——絶対にないのに
54
一歌
咲希……
55
穂波
……わたしは
56
穂波
……わたしは、あの夢を見れてよかったなって
ちょっとだけ思ったよ
57
咲希
え……
58
穂波
……どこでどんな風に過ごしていても
やっぱりわたし達は『一緒にいたい』んだなって
59
穂波
その気持ちだけは、絶対に変わらないんだって思えたから
60
志歩
……たしかに、それがわかったのは
いいことだったのかも
61
一歌
それに……
62
一歌
今の私達は、つらいことも苦しいことも
たくさん経験して、大変だったけど
63
一歌
それでも——
64
一歌
こうやって4人で一緒に居られて、バンドもできて
65
一歌
すごく、幸せだなって思う
66
咲希
うん! アタシもそう思うよ!
67
一歌
——ねえ、ミク
68
ミク
ん?
69
一歌
……ありがとう
70
一歌
さっきも話したけど、私達が夢の世界で
もう一度バンドをやろうってなったのは、ミクのおかげなんだ
71
一歌
また、ミクが私達を繋ぎとめてくれたんだよ
72
ミク
それは少し違うよ
73
ミク
一歌が、その想いを一生懸命形にして、
『私』に歌わせてくれたから、みんなに届いたんだよ
74
ミク
だから、私からも言わせて
75
ミク
——ありがとう、一歌
76
ミク
大切な想いを、『私』に託してくれて
77
一歌
…………
78
一歌
うん……
79
穂波
……一歌ちゃん
80
穂波
ありがとう、わたし達をもう一度繋いでくれて
81
志歩
ありがとう、一歌
82
咲希
ありがとう! いっちゃん!
83
一歌
うん……!