瑞希の部屋
1
瑞希の声
ただいま〜
2
瑞希
はあ……疲れた〜
3
瑞希
(ま、小テストもちゃんと受けたし
これでしばらくは大丈夫かな)
4
瑞希
(放課後は、杏と弟くんにも久しぶりに会えたし……
今日は顔出した甲斐があったかも)
5
瑞希
ん〜、晩ごはんまではまだ時間あるし
ちょっと作業しようかな
6
瑞希
昨日、絵名があげてくれてたラフ確認して——
7
瑞希
って、あれ? 絵名、ログインしてるじゃん
8
瑞希
『やっほー。お疲れ、えななん!
作業してたんだね』
9
絵名
『あ……Amia、お疲れ。
絵画教室の課題終わって、ちょっと時間できたから
ラフのパターン出してたとこ』
10
絵名
『Amiaは何してたの?』
11
瑞希
『ふっふっふ。
なんと今日は、学校行ってたんだ! 偉いでしょ♪』
12
絵名
『偉いって……どうせ、いつも通りお昼からでしょ』
13
瑞希
『あはは、バレてる〜』
14
瑞希
『そういえば、学校で弟くん達に会ったんだけどさ、
アメリカ行ってた分の補習が大変だってぼやいてたよ』
15
絵名
『まあ、そういう約束だったんだし、仕方ないでしょ』
16
絵名
『でも、帰ってきてからまた練習に力入ってるみたいだし……
いい刺激になったんじゃない?』
17
瑞希
『へえ……』
18
瑞希
(いい刺激に、かあ……)
19
瑞希
(それって——)
20
冬弥
だが、凄まじいステージを前に、
何万という人々が熱狂する姿を
目の当たりにして……実感したんだ
21
冬弥
『世界を獲る』とは、こういうことなんだと
22
寧々
——でも、全部吸収したいんだ。
この経験も、絶対、夢に繋がるって思うから
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瑞希
(……弟くんも、ふたりみたいに
夢に向かって頑張ってるってことなんだろうな)
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瑞希
『……みんな、すごいなあ』
25
絵名
『え?』
26
瑞希
『弟くん達もそうだけど
みんな“これだ!”ってものに、一直線に走ってる感じがして』
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瑞希
『ほら、えななんも! 美大に行くって決めて、
絵画教室とかめちゃくちゃ頑張ってるじゃん?』
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絵名
『何、急に。
褒めても何も出ないけど』
29
瑞希
『いやいや、本当にそう思っただけだって!』
30
瑞希
『ボクは夢とか将来やりたいこととか、
あんまりないな~って感じだし』
31
絵名
『ふーん……そうなんだ』
32
絵名
『まあ、別にいいんじゃない? 特になくても』
33
瑞希
『え〜、ちょっと適当すぎない?』
34
絵名
『そんなんじゃないってば。
今やりたいことがわかんなくても、そのうち見つかるでしょ』
35
絵名
『Amiaだったら、やろうと思えば
なんでもできると思うしね』
36
瑞希
『え?』
37
絵名
『器用だし、センスもいいし……
どんなことでも上手くできそうっていうか』
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瑞希
『ふ~ん♪
えななん、ボクのことそんな風に思ってくれてるんだ?』
39
絵名
『うわ……なんかウザ。
さっきの、やっぱなし』
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瑞希
『え〜!?』
41
絵名
『あ……そろそろ学校行かなきゃ。
また夜にね』
42
瑞希
『はーい! いってらっしゃい!』
43
絵名
『今やりたいことがわかんなくても、そのうち見つかるでしょ』
44
瑞希
…………
45
瑞希
そのうち見つかる、か……
46
瑞希
どうなんだろ。そもそも、夢とかそういうの
今まで考えたことなかったしなあ
47
瑞希
ずっと、今が楽しければそれでいいって思ってたし……
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瑞希
(やりたいこと、か……)
49
瑞希
(好きなことだったら、いっぱいあるんだけどなあ)
50
瑞希
(アニメ見たり、服のアレンジしたり……
ニーゴで動画作るのだって好きだし)
51
瑞希
(それが絵名達みたいに
“絶対にこれだ!”って思えるものかって言われると……
わかんないけど)
52
瑞希
(あ、でも……なんとなくだけど)
53
瑞希
(こうなれたらって思うものなら——)
54
瑞希
(ん〜。でもこれは
みんなの言う夢とかとは、全然違うもんね)
55
瑞希
夢、か……
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瑞希
……あんまり想像つかないや
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