ワンダーランドのセカイ
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なぜ全員いるんだ?
今夜は各自で自主練だったはずだが……
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寧々

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うん。
だから、わたしも類も家で練習してたんだけど——
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寧々

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えむから連絡が来てさ
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えむから?
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えむ

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うん!
あのね——
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えむ

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あたし今日、司くんが旭さんを見てる時、
ギューってしてるなあって思ったの

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えむ

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それできっと、司くんは
『もっともっとがんばろう!』って思ってるんじゃないかなぁって
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えむ

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電話で寧々ちゃんにその話をしたんだ。
そしたら……寧々ちゃんも、類くんと帰り道に
同じ話をしてたって教えてくれて
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それで、僕達にできることはなんだろうと思ってね。
会って話をしようとここに来たら——
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なんと先客がいたというわけさ
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……まったく。
お前達はなんでもお見通しだな
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寧々

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ま、そこそこ長い付き合いだからね
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えむ

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——司くん!
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えむ

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あたし、なんでもやるよ!
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な、なんでもとはまた大きく出たな……
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寧々

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わたしはさすがに、なんでもは無理だけど……
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寧々

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……でも、ダメ出しならいくらでもするから言って。
いつもそうしてもらってるしね
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ああ。
——とはいえ、これは僕達の勝手な希望だ
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自分の力だけでやり遂げたい、と司くんが願うなら
僕達はそれを信じて待つよ
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寧々、類……
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ただ、覚えていてほしいな。
君が望む限り、僕達はどこまでも応える
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えむ

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うん!
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えむ

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だってあたし達、自分の夢と同じくらい——
司くんの夢が叶ってほしいって思うから!
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(……オレはまだ、
先を行く旭さんの背を見ることしかできない)
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(想像力も、表現力も、何もかも……
まるで追いついていない)
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(だが——)
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(オレにはこいつらがいる)
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感謝するぞ、お前達!
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では早速相談に乗ってほしい。
少し長くなりそうだが、いいか?
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類・えむ・寧々

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『ああ!』
『うん!』
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……やはり、ラストの最も絶望するシーンで悩んでいたんだね

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寧々

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難しいもんね。
正直、わたしもイメージできないし……
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えむ

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ん~……!
ぜつぼう、ぜつぼう……
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えむ

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う……う~!!
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ど、どうしたえむ!?
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えむ

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もしフェニックスワンダーランドがなくなっちゃったら、
って想像したら、悲しくなっちゃって……!!
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寧々

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ああ……えむにとって一番大切なものだもんね
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寧々

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あんまり無理しないで、えむ。
これって結構しんどい作業だから
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えむ

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うん……
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辛いだろうけれど……
やはり、『大切なものを失う』という考え方で進めたほうが
掴みやすそうだね
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しかしさっきも言ったとおり、オレにとっての大切なものは、
オレ自身の夢だからな……
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そうなると、失うイメージがつかない。
……堂々巡りだな
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えむ

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そういえば、旭さんはどうやって想像したんだろう?
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寧々

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あ、たしかに。
もしかしたら、それを聞いてみれば——
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旭さんのイメージは、
僕らの参考にはならないんじゃないかな
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……彼は、紛争を経験しているからね
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……!
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寧々

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あ……そっか。そうだよね……
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たしかに、以前話していたな。
争いに巻き込まれて、親ともはぐれ……
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(そう考えると、
ブレス王子は旭さんに近いのかもしれないな)
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(絶望に触れながらも、
世界の平和と人々の笑顔を心から願い——)
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……ん?
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ミク

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あれ?
どうしたの司くん?
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……いや……何か、繋がりそうな気が……

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『俺が何をしようと、
人は憎み合い、国は争い続ける』
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アナウンサー

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『先週から本格化した軍事侵攻により、
現地では深刻な影響が出ています』
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(当たり前の日常が一変し、
そこでは笑顔も消え失せ——)
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……そうか……
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これならば……
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寧々

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何? 何かわかったの?
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……ああ
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お前達のおかげで、ヒントが見つかった
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——オレにとっての絶望。
それを、どうイメージすればいいのか
1カ月半後
THE CENTER THEATRE

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……ええと、
たしか、ワンダーランズ×ショウタイムの席は——
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あ、いた!
おーい、みんな!

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旭さん!
本日はよろしくお願いします
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こちらこそ、よろしく!
お互い、全力を出し切って頑張ろう!
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けど——まさか、司くん達が
今回のコンテストのトリになるとはね
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ええ。くじを引いた時は驚きました
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しかも旭さん達が、オレ達のひとつ前ですしね
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ああ。はは、ちょっと運命を感じるな!
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……結構有名な劇団も参加してるから、
トリは緊張するかもしれないけど——
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……いや、そんなことはなさそうだな。
だいぶ自信がありそうだ
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はい
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仲間のおかげで、
オレなりの絶望を掴むことができました
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ですから——今までで一番の演技を見せられる自信があります
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そうか! それは楽しみだ!
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スタッフ

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『皆さま、ご着席ください。
まもなく開演いたします』
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おっと、もう始まるみたいだ
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話せてよかったよ! それじゃ、またあとで!

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……フフ。今までで一番の演技を見せる、ね
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寧々

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言い切ったじゃん、司
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む? それがどうした?
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えむ

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えへへ♪ 司くんがシャキシャキピカーン!で嬉しいな!
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当然だ!
オレは未来のスター・天馬司だからな
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(みんなをショーで笑顔にするスターになる——)
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(その夢を追い続けてきたからこそ……
この役作りはとても苦しかった)
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(何冊も本を読み、何本も映像を見て、話を聞き——
想像のし過ぎで悪夢まで見た)
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(しかし……だからこそ確信がある)
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(最高の演技ができると)
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(演じ切ってみせる。
オレが掴んだ一番の“絶望”を——!)
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