THE CENTER THEATRE
榊
……これは驚いたな
榊
(名前は……なんだったっけ?
荒削りだし、これまで特に目立つところもない
印象だったけど——)
荒削りだし、これまで特に目立つところもない
印象だったけど——)
榊
(これは完全に、入ってる)
旭
……っ
旭
(今……一瞬、息をするのを忘れてた)
旭
(ステージから、
重くてドロドロしたものが広がったみたいに見えて……)
重くてドロドロしたものが広がったみたいに見えて……)
旭
(本当に……司くんなのか……?)
ハート
『——許さない!』
ハート
『私はあなたと行きたい!
あなたと共にある未来を生きたい!』
あなたと共にある未来を生きたい!』
ハート
『だから……諦めるなんて、絶対に許さない!』
ハート
『もし全てに意味がないとしても、
見つかるまで、私が一緒に歩き続けるから!』
見つかるまで、私が一緒に歩き続けるから!』
ハート
『だから——立って!!』
ハート
『……!
ブレス! 花が見えてきた!』
ブレス! 花が見えてきた!』
ハート
『あと……少し……!』
ハート
『あ……。
綺麗……』
綺麗……』
ハート
『呪いの花なんて思えないくらい、
綺麗な薔薇のつぼみ——』
綺麗な薔薇のつぼみ——』
ハート
『さあ、ブレス抜いて!
この花を……ほら!』
この花を……ほら!』
ブレス
『………………』
ハート
『もう、手を貸して!
……えいっ!』
……えいっ!』
ブレス
『…………っ』
妖精
『あ、王子さま……!』
ハート
『ブレス!? ブレス、どうしたの!?
花を抜いたのに……!』
花を抜いたのに……!』
妖精
『もしかして、呪いがもう回り切って……?』
ハート
『え!?』
妖精
『絶望のせいで、
生きたいって気持ちまでなくなっちゃってるとしたら、もう……』
生きたいって気持ちまでなくなっちゃってるとしたら、もう……』
ハート
『……嫌!
嫌よブレス! 駄目!』
嫌よブレス! 駄目!』
ハート
『この冒険が終わったら、
あなたの秘密基地に行くって言ったじゃない!
小舟で川を下って、小さな島で夜通し語り合おうって……』
あなたの秘密基地に行くって言ったじゃない!
小舟で川を下って、小さな島で夜通し語り合おうって……』
ハート
『……永遠の愛を君に捧げるって言ったじゃない!!』
ブレス
『……ハート』
ハート
『ブレス……!』
ブレス
『…………すまない』
ハート
『ブレス……?』
ハート
『ブレス! ブレス!!』
旭
…………
他劇団の団員達
……まさか、これで終わりじゃないよな?
他劇団の団員達
アークランドのショーだし、
バッドエンドにはならないと思うけど……
バッドエンドにはならないと思うけど……
他劇団の団員達
でも…………
榊
(……みんな動揺してるねえ。わからなくもないけど)
榊
(覆しようのない絶望的な空気ってやつ?
しかもそれが——)
しかもそれが——)
榊
(何も言わず、ただ横たわる彼から生まれてる)
榊
(さて、ここからどうするか——)
ハート
『お願い……誰か!』
ハート
『誰でもいい!
神様じゃなくても!』
神様じゃなくても!』
ハート
『私達を見ている誰か!
お願い! 力を貸して!!』
お願い! 力を貸して!!』
ハート
『——声を届けて!!』
榊
(ん……? まさか……)
榊
(この空気の中で、観客に——)
???
——立て!!
旭
立てブレス!!
旭
君は、そんなところで終わる奴じゃないだろう!!
ハート
『声が……!!』
ハート
『ブレス、聞こえる!?
誰かがあなたを呼んでる!』
誰かがあなたを呼んでる!』
ハート
『あなたにいてほしい、
諦めないでって呼んでるの!』
諦めないでって呼んでるの!』
観客達
……そうだ! 諦めるな!
観客達
立って王子様!
旭
負けるな!! ブレス!!
司
(……なんだ?)
司
(まぶしい……。光……?)
司
(それに、光の向こうに——)
司
(観客がいる……)
司
(そうか……。
そうか、まだ世界は——)
そうか、まだ世界は——)
司
(オレ達のショーを必要としてるんだ)
司
(オレの夢はまだ……)
司
(終わっていないんだな——ハート)
旭
あ……!!
ハート
『ブレス!!』
ブレス
『ハート……』
ブレス
『……ふふ、悪い夢から覚めたような気分だ』
ブレス
『呪いに負けてしまうような、弱い俺ですまない』
ブレス
『だが……ハートがいれば、
どんなことにも立ち向かえる気がする。だから——』
どんなことにも立ち向かえる気がする。だから——』
ブレス
『これからも……一緒にいてくれないか?』
妖精
『あ……』
妖精
『バラのつぼみが開いて……!
……なんていい香りなんだろう』
……なんていい香りなんだろう』
ハート
『——バカ!
本当にバカ!』
本当にバカ!』
ハート
『あなたが抱えてた辛さも、悩みも……
最初からちゃんと、私に分けてくれたらよかったのに!』
最初からちゃんと、私に分けてくれたらよかったのに!』
ブレス
『ハート……』
ハート
『……一緒に考えよう。
どうしたらみんなが、幸せに暮らしていけるのか』
どうしたらみんなが、幸せに暮らしていけるのか』
ハート
『それで——本物のハッピーエンドを、私達の手で作るの』
ハート
『お姫様と王子様は、苦難を乗り越えて、
みんなと幸せに暮らしましたとさ、って!』
みんなと幸せに暮らしましたとさ、って!』
1時間後
コンテスト主催者
では——最後に、最優秀賞の発表です
司
(……ここまで、オレ達の名前は呼ばれなかった)
司
(つまり結果は——優勝か、選外かだ)
司
(…………やれることは全てやった)
司
(どんな結果も受け止めよう)
コンテスト主催者
最優秀賞は——
コンテスト主催者
アークランドチーム!
旭
……!
えむ
あ……!!
司
…………
榊
——え~、というわけで、
アークランドチームの皆さん、おめでとう
アークランドチームの皆さん、おめでとう
榊
アークランドのコンテストでアークランドチームが最優秀っていう
手前味噌な結果になっちゃったけど……
やっぱり、完成度が一番高かったからね
手前味噌な結果になっちゃったけど……
やっぱり、完成度が一番高かったからね
榊
特に、玄武旭くん。
なかなか見れないものを見せてもらったよ。ありがとう
なかなか見れないものを見せてもらったよ。ありがとう
旭
いえ!
こちらこそ、ありがとうございます!
こちらこそ、ありがとうございます!
司
(…………心とは、簡単に制御できんものだな)
司
(やはり……悔しい)
榊
ただ、ね
榊
今回は完成度以外の観点からも評価してみたいんだ
寧々
え……?
榊
『観客が入った状態でもう一度見てみたい』。
そういう芝居がもう一つあった
そういう芝居がもう一つあった
榊
というわけで——
榊
ワンダーランズ×ショウタイム。
君達にも公演してもらおっか
君達にも公演してもらおっか
司
……え?
旭
……!
榊
ま、審査員特別賞ってやつだね
榊
本来最優秀団体は2週間の公演をする予定だったけど、
そこは上がうまいこと分けるってさ
そこは上がうまいこと分けるってさ
えむ
えっと……それって……
類
僕達もここで、
公演をすることができる——
公演をすることができる——
類
そう受け止めていいのでしょうか?
榊
うん、そういうこと
榊
今回のコンテストの目的としても、
なるべく外の劇団に活躍してほしいしね
なるべく外の劇団に活躍してほしいしね
榊
あ、そうだ。
そこの君、名前なんていうんだっけ?
そこの君、名前なんていうんだっけ?
司
え? あ……て、天馬司です!
榊
天馬くんね。了解
榊
それじゃあ僕からは以上。
マイク戻すよ
マイク戻すよ
コンテスト主催者
——榊さんのコメントを踏まえ、
改めて結果を発表します
改めて結果を発表します
コンテスト主催者
審査員特別賞として、
ワンダーランズ×ショウタイム
ワンダーランズ×ショウタイム
コンテスト主催者
4人という少人数の劇団でありながら、
全員の素晴らしい熱演で、広がりのある世界を見せてくれました
全員の素晴らしい熱演で、広がりのある世界を見せてくれました
コンテスト主催者
イレギュラーな形ではありますが、
ワンダーランズ×ショウタイムとアークランドチームは
公演の権利を分配することになります。詳細は追って連絡をします
ワンダーランズ×ショウタイムとアークランドチームは
公演の権利を分配することになります。詳細は追って連絡をします
寧々
……ねえ、これってつまり……
えむ
と~ってもわんだほいな結果になったってことだよね!?
類
——ああ……!
類
僕達の手で、新たなステージを掴み取ったんだ。
だろう? 司くん
だろう? 司くん
司
…………
司
…………っ
司
——当然の結果だ!!!!
司
何せオレ達が全力を尽くし、最高のショーを上演したのだからな!
寧々
とか言っちゃって。目、ちょっと赤くなってるじゃん
類
あれだけやったからねえ、嬉し涙も出るというものだよ
えむ
あっ、司くん!? ハンカチいる!?
司
ええい、やかましい!
ちょっとは浸らせろ!
ちょっとは浸らせろ!
司
——コホン。
いいか? お前達
いいか? お前達
司
本番の公演も、オレ達の持てる力すべてでやりきるぞ!!
類・えむ・寧々
『ああ!』
『うん!』
『うん!』
えむ
それじゃあみんな、バイバーイ!
類
明日からもハードな練習になる。
今日くらいは全員、きちんと休息をとるようにね
今日くらいは全員、きちんと休息をとるようにね
寧々
うん。特に司はここ最近練習で動きっぱなしだったし、
ちゃんと休んでよ?
ちゃんと休んでよ?
司
ああ、もちろんだ!
ではな!
ではな!
司
……ふぅ
司
なぜだろうな。
妙に夕日が鮮やかに見える
妙に夕日が鮮やかに見える
司
(……本当に、あっという間の1日だった)
司
(まだ、余韻が抜けないが——)
???
——司くん!!
司
ん!?
この声は——
この声は——
司
旭さん!
どうされたんですか? 衣装のままで……
どうされたんですか? 衣装のままで……
旭
ああ……司くんと話したかったんだけど、
反省会が長引いちゃって、慌てて探しに来たから
反省会が長引いちゃって、慌てて探しに来たから
司
わざわざ……! ありがとうございます!
旭
いや、お礼を言うのは俺のほうだ!
旭
今日のショー、本当に素晴らしかったよ。
寧々ちゃんの歌も、えむちゃんのアクションも進化してるし、
類くんの演出もすごく攻めてて——
寧々ちゃんの歌も、えむちゃんのアクションも進化してるし、
類くんの演出もすごく攻めてて——
旭
つい芝居なのを忘れて応援しちゃうくらいには
のめりこんじゃったな
のめりこんじゃったな
旭
それに——
旭
今日、司くんの演技を見られてよかった
司
え?
旭
初めてフェニックスワンダーランドの
ナイトショーを見た時から、
君は魅力的ないい役者だと思っていたんだ。けど……
ナイトショーを見た時から、
君は魅力的ないい役者だと思っていたんだ。けど……
旭
今日の演技を見て、思った
旭
俺は——君に負けたくない
司
…………!!
司
旭さんが……オレに……?
旭
ああ
旭
司くんの芝居を見ていると、
不思議なくらいワクワクするんだ
不思議なくらいワクワクするんだ
旭
『次はどんな顔をするんだろう』
『何が飛び出すんだろう』って
『何が飛び出すんだろう』って
旭
それが楽しみで、でも——
旭
同じくらい胸がジリジリする
司
旭さん…………
司
——光栄です
司
さっきの……胸がジリジリするという感覚はきっと、
オレが旭さんに出会った頃から感じているものと、
同じだと思います
オレが旭さんに出会った頃から感じているものと、
同じだと思います
司
オレには旭さんがずっと眩しく映っていました。
だから——
だから——
司
ようやく同じ舞台に立てたことを、嬉しく思います
司
そしてオレはこれからも、
仲間と共に、全力で駆け上がっていきます
仲間と共に、全力で駆け上がっていきます
司
旭さんのライバルとして
旭
——ああ
旭
次の公演、お互い、全力を尽くそう
司
ええ!
司
(……胸が熱い)
司
(旭さんがオレを——ライバルとして見てくれた)
司
(ならば、更に走っていこう)
司
(彼のライバルとして、高め合うためにも……!!)
旭
(……きっと、彼はまだまだ伸びる。
そう感じる)
そう感じる)
旭
(なぜだろう。
今まさに成長してるからか? それとも——)
今まさに成長してるからか? それとも——)
司
そしてオレはこれからも、
仲間と共に、全力で駆け上がっていきます
仲間と共に、全力で駆け上がっていきます
旭
仲間……か