ルカ
『寂しい……?』
咲希
……たぶん……
遠いって言われると、思い出しちゃうんです
遠いって言われると、思い出しちゃうんです
咲希
——入院してた時の、寂しかったこと
咲希
あの時……ずっと、感じてたから——
数年前
病室
中学生の咲希
(はあ、やっと終わった……)
中学生の咲希
(新しい検査もあって、ちょっと遅くなっちゃったな)
中学生の咲希
(同じ部屋のふみちゃん、今日退院するんだよね。
見送り、間に合うかなあ)
見送り、間に合うかなあ)
ふみの母
——じゃあ、お母さんは
退院の手続きしてくるね。そのまま1階で待ってるから
退院の手続きしてくるね。そのまま1階で待ってるから
ふみ
はーい。
じゃあ、最後に忘れ物ないか確認しておこうっと
じゃあ、最後に忘れ物ないか確認しておこうっと
中学生の咲希
あ、ふみちゃ……
ふみの同級生
これで明日から、一緒に学校行けるね!
文化祭のお化け屋敷も、一緒にできそうでよかった〜!
文化祭のお化け屋敷も、一緒にできそうでよかった〜!
ふみ
うん! みんなとお化け役するの、楽しみだな
ふみ
他にも一緒にやりたいことたくさんあるし……
これから、いっぱい遊ぼうね!
これから、いっぱい遊ぼうね!
ふみ
って、あれ——咲希ちゃん! 検査終わったんだね
中学生の咲希
……うん!
ちょっと遅くなっちゃったけど、間に合ってよかった〜
ちょっと遅くなっちゃったけど、間に合ってよかった〜
中学生の咲希
——退院、おめでとう!
ふみ
ありがとう!
……あのね、私、咲希ちゃんに
すっごく助けられてたんだよ
……あのね、私、咲希ちゃんに
すっごく助けられてたんだよ
中学生の咲希
え?
ふみ
咲希ちゃんがたくさんお喋りしてくれたから、
いつも楽しくて……入院中、あんまり寂しくなかったんだ
いつも楽しくて……入院中、あんまり寂しくなかったんだ
ふみ
だから——本当に本当に、ありがとう!
中学生の咲希
あ……
中学生の咲希
——ううん、こっちこそだよ!
中学生の咲希
これから、学校生活楽しんでね!
ふみ
えへへ、ありがとう。
それじゃ、またね!
それじゃ、またね!
中学生の咲希
ふみちゃん、明日からは学校かあ……よかったな
中学生の咲希
……文化祭も、どんな感じなのかわかんないけど……
中学生の咲希
……きっと、すごく楽しいんだろうな
中学生の咲希
う…………
中学生の咲希
(……熱、朝よりはちょっと下がったかな)
中学生の咲希
(薬飲んで安静にしてればすぐ良くなるって
先生は言ってたけど……)
先生は言ってたけど……)
中学生の咲希
…………静かだな
中学生の咲希
今日は、お父さん達も来れないって言ってたっけ
中学生の咲希
………………
中学生の咲希
いっちゃん達から、連絡きてないかな……
中学生の咲希
あれ、通知きてる……。
前のクラスのグループメッセージ?
前のクラスのグループメッセージ?
中学生の咲希
みんなでフルーツ狩りに行ってるんだ。
いちご、すごく大きくて美味しそう……
いちご、すごく大きくて美味しそう……
中学生の咲希
……そういえば去年、
クラスのみんなで行きたいねってメッセージきてたっけ
クラスのみんなで行きたいねってメッセージきてたっけ
中学生の咲希
……向こうは、天気いいんだ
中学生の咲希
…………アタシは……
中学生の咲希
アタシだけ、ずっと……このままなのかな
咲希
あの時は、みんなと学校に行ったり
一緒に遊んだりもできなくて……
一緒に遊んだりもできなくて……
咲希
ひとりでいると、考えちゃってたんです。
みんながこのまま離れて……
遠くにいっちゃったら、どうしようって
みんながこのまま離れて……
遠くにいっちゃったら、どうしようって
咲希
それがずっと……怖くて、寂しかったなって
咲希
その時の気持ちを、思い出しちゃうんだろうな
ルカ
『咲希……』
咲希
……あはは。
今こんなこと感じちゃうなんて、変ですよね
今こんなこと感じちゃうなんて、変ですよね
咲希
あの頃とは違うんだって、ちゃんとわかってるのに
ルカ
『……わかっていても、
そう感じるのはおかしなことじゃないわ』
そう感じるのはおかしなことじゃないわ』
ルカ
『だってその感情は、何度も何度も繰り返して……
咲希の一部になったものなんだもの』
咲希の一部になったものなんだもの』
咲希
アタシの、一部……
ルカ
『ええ。だから、そう感じる自分を
否定する必要はないんじゃないかしら』
否定する必要はないんじゃないかしら』
ルカ
『その感情があったから
叶えられたことも、きっとあるはずだもの』
叶えられたことも、きっとあるはずだもの』
咲希
叶えられたこと?
ルカ
『Leo/needが4人で活動を始められたのもそうだし……
その時の経験を落とし込んで、
誰かに寄り添う曲を作れたのもそう』
その時の経験を落とし込んで、
誰かに寄り添う曲を作れたのもそう』
ルカ
『だから……その感情を“変”だなんて、思わないであげて』
ルカ
『たとえ、今は割り切れなくても——
焦る必要はないって、私は思うわ』
焦る必要はないって、私は思うわ』
咲希
ルカさん……
咲希
……そうですね
咲希
これからも、
モヤモヤしちゃうことはあるかもしれないけど——
モヤモヤしちゃうことはあるかもしれないけど——
咲希
でも、それもアタシだから……。
ちょっとずつ受け入れていきたいなって思います
ちょっとずつ受け入れていきたいなって思います
ルカ
『……ええ』
ルカ
『でも、またつらくなってしまうことがあったら
いつでも頼ってちょうだいね』
いつでも頼ってちょうだいね』
ルカ
『私にできることは少ないかもしれないけど……
話を聞くことは、いつでもできるから』
話を聞くことは、いつでもできるから』
咲希
ありがとうございます、ルカさん
咲希
(……寂しい、か)
咲希
(…………でも、なんだろう……)
咲希
(理由はわかったはずなのに、
まだモヤモヤが残ってる気がする……?)
まだモヤモヤが残ってる気がする……?)
咲希
(きっと、まだ割り切れてないだけだよね)
咲希
(寂しいって思っちゃう気持ちは、簡単にはなくせない。
けど……)
けど……)
咲希
(それなら——その分、届けるしかないんだ)
咲希
(いっちゃん達が言ってたみたいに……
アタシ達の音楽で、そばにいるよって)
アタシ達の音楽で、そばにいるよって)
咲希
(——うん。大丈夫)
咲希
(明日のワンマンは、この気持ちが届くように演奏しよう……!)
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