1
奏の祖母
……そう。
そんなことがあったのね
2
うん……。その友達のお母さんも、
純粋に、その子のことを想って
学校を探したりしてたんだと思う
3
その子も、そんなお母さんに応えたいって
思ってるみたいなんだ
4
でも……どうしてもすれ違っちゃう、っていうか——
5
……ふたりとも、お互いのことを想ってるのに
どうしてうまくいかないんだろう
6
奏の祖母
…………
7
奏の祖母
……愛情って、難しいわよね
8
え……?
9
奏の祖母
話を聞いていて思ったの。
お互いを深く愛しているからこそ、
恐怖が生まれてしまうことがあるのかもしれない……って
10
愛してるから……怖い……?
11
それって、何が……?
12
奏の祖母
そうね……
13
奏の祖母
——居場所がなくなること、かしら
14
居場所……?
15
奏の祖母
ずっと一緒に生きている人達でも、
いつか離れなきゃいけない時は来ると思うの
16
奏の祖母
それは大人になる時なのかもしれないし——
奏ちゃんのお母さんみたいに、突然別れる日が来るかもしれない
17
あ……
18
奏の祖母
その人を大切に想っていればいるほど、
積み重ねた思い出があればあるほど……
19
奏の祖母
それは、受け入れ難くなるわ
20
奏の祖母
まるで……自分が立っていた場所が
崩れてなくなってしまうように思えてね
21
奏の祖母
だから、もしかしたらそのふたりも……
お互いに居場所がなくなる怖さを感じているのかもしれないわね
22
…………
23
奏の祖母
……少し、難しいかもしれないわね
24
…………おばあちゃんも、そういうことってあったの?
25
奏の祖母
そうね……。
若い頃は、あったかもしれないわ
26
奏の祖母
家族でも、友達でも、恋人でも
誰だって……居場所がなくなるのは怖いもの
27
そう、なんだ……
28
居場所がなくなるのは、怖い……か
29
それは、わかる気がする
30
お母さんがいなくなった時も、
お父さんの時も……怖かったし
31
ニーゴも、なくなると嫌だなって思うから
32
奏の祖母
奏ちゃんの大切な場所だものね
33
うん
34
でも……その子は、
まだお母さんと離れなくてもいいんだよね
35
それなのに……どうして、怖いって思っちゃうんだろう
36
奏の祖母
…………
37
奏の祖母
——奏ちゃんにとって、その子はとても大切なお友達なのね
38
え……?
39
……うん。
その子の力になりたいって思うんだ
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奏の祖母
そう……
41
奏の祖母
それが、今、奏ちゃんがやるべきことなら……
おばあちゃんは応援するわ
42
ありがとう
43
奏の祖母
——けれどね
44
奏の祖母
いつか、奏ちゃんも自分自身の人生を歩むのよ
45
奏の祖母
誰にも縛られない、奏ちゃんだけの人生を
46
奏の祖母
おばあちゃんは、奏ちゃんが元気に笑ってくれていれば
——それが一番だから
47
うん
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