奏の祖母
……そう。
そんなことがあったのね
そんなことがあったのね
奏
うん……。その友達のお母さんも、
純粋に、その子のことを想って
学校を探したりしてたんだと思う
純粋に、その子のことを想って
学校を探したりしてたんだと思う
奏
その子も、そんなお母さんに応えたいって
思ってるみたいなんだ
思ってるみたいなんだ
奏
でも……どうしてもすれ違っちゃう、っていうか——
奏
……ふたりとも、お互いのことを想ってるのに
どうしてうまくいかないんだろう
どうしてうまくいかないんだろう
奏の祖母
…………
奏の祖母
……愛情って、難しいわよね
奏
え……?
奏の祖母
話を聞いていて思ったの。
お互いを深く愛しているからこそ、
恐怖が生まれてしまうことがあるのかもしれない……って
お互いを深く愛しているからこそ、
恐怖が生まれてしまうことがあるのかもしれない……って
奏
愛してるから……怖い……?
奏
それって、何が……?
奏の祖母
そうね……
奏の祖母
——居場所がなくなること、かしら
奏
居場所……?
奏の祖母
ずっと一緒に生きている人達でも、
いつか離れなきゃいけない時は来ると思うの
いつか離れなきゃいけない時は来ると思うの
奏の祖母
それは大人になる時なのかもしれないし——
奏ちゃんのお母さんみたいに、突然別れる日が来るかもしれない
奏ちゃんのお母さんみたいに、突然別れる日が来るかもしれない
奏
あ……
奏の祖母
その人を大切に想っていればいるほど、
積み重ねた思い出があればあるほど……
積み重ねた思い出があればあるほど……
奏の祖母
それは、受け入れ難くなるわ
奏の祖母
まるで……自分が立っていた場所が
崩れてなくなってしまうように思えてね
崩れてなくなってしまうように思えてね
奏の祖母
だから、もしかしたらそのふたりも……
お互いに居場所がなくなる怖さを感じているのかもしれないわね
お互いに居場所がなくなる怖さを感じているのかもしれないわね
奏
…………
奏の祖母
……少し、難しいかもしれないわね
奏
…………おばあちゃんも、そういうことってあったの?
奏の祖母
そうね……。
若い頃は、あったかもしれないわ
若い頃は、あったかもしれないわ
奏の祖母
家族でも、友達でも、恋人でも
誰だって……居場所がなくなるのは怖いもの
誰だって……居場所がなくなるのは怖いもの
奏
そう、なんだ……
奏
居場所がなくなるのは、怖い……か
奏
それは、わかる気がする
奏
お母さんがいなくなった時も、
お父さんの時も……怖かったし
お父さんの時も……怖かったし
奏
ニーゴも、なくなると嫌だなって思うから
奏の祖母
奏ちゃんの大切な場所だものね
奏
うん
奏
でも……その子は、
まだお母さんと離れなくてもいいんだよね
まだお母さんと離れなくてもいいんだよね
奏
それなのに……どうして、怖いって思っちゃうんだろう
奏の祖母
…………
奏の祖母
——奏ちゃんにとって、その子はとても大切なお友達なのね
奏
え……?
奏
……うん。
その子の力になりたいって思うんだ
その子の力になりたいって思うんだ
奏の祖母
そう……
奏の祖母
それが、今、奏ちゃんがやるべきことなら……
おばあちゃんは応援するわ
おばあちゃんは応援するわ
奏
ありがとう
奏の祖母
——けれどね
奏の祖母
いつか、奏ちゃんも自分自身の人生を歩むのよ
奏の祖母
誰にも縛られない、奏ちゃんだけの人生を
奏の祖母
おばあちゃんは、奏ちゃんが元気に笑ってくれていれば
——それが一番だから
——それが一番だから
奏
うん
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