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こはね
……そろそろ前のチームの曲が終わるね
2
うん。みんな、準備はいい?
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彰人
ああ、いつでも
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彰人
冬弥も……いけるな?
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冬弥
ああ、問題ない
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冬弥
——行こう
7
冬弥
(熱い…………)
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冬弥
(気を抜くと、ふらついてしまいそうだ)
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冬弥
(だが——)
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こはね
♪—————————!!
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♪————————!
♪————————!
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彰人
♪————————————~~~!
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彰人
(——観客に“刺さった”)
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彰人
(この流れのまま、一気に掴む……)
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彰人
(行け! 冬弥——!)
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冬弥
♪————————————————————!!
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冬弥
♪————————!
18
冬弥
(……大丈夫だ。声は出ている)
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冬弥
(ただ……)
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冬弥
…………っ
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こはね
(っ、青柳くん……!)
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こはね
(やっぱり……立ってるだけでも辛いんだ)
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冬弥
♪——————! ♪———————……!!
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冬弥
(…………視界が……)
25
♪——————————!
26
(冬弥、めちゃくちゃ苦しそうじゃん……!)
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(私達でフォローしなきゃだけど——)
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彰人
(……大丈夫だ。
ふらついてはいるが、問題ねえ)
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彰人
(本当に無理なら、あいつはステージに立つなんて言わない)
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彰人
(それに——)
31
彰人
(……あの目を見ればわかる。
歌いたくてしょうがねえって顔だ)
32
彰人
(スレイド達と何を話したのかは知らねえが——)
33
彰人
(ああなったあいつは、強い)
34
冬弥
♪——————————!
35
冬弥
(……音が、全身に響く)
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冬弥
(観客の歓声も、自分の心臓の音も、全部——)
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冬弥
(まるで背中を、見えない手に押されているみたいだ)
38
冬弥
(音程が取れているかも……もう、わからない)
39
冬弥
(なのに……なぜだろう)
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冬弥
(どうしようもなく、楽しい——)
41
冬弥
♪————————————————————!!!
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(冬弥……!)
43
(何それ、そんな歌い方できたの!?
すっごくいいじゃん……!)
44
こはね
(でも、それだけじゃない——)
45
こはね
(青柳くんの歌が、私達を押し上げてくれてる……!)
46
こはね・杏
『♪——————————————————!』
47
冬弥
(みんなの歌が、心地良い)
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冬弥
(俺の声が、音が、混ざりあって——)
49
冬弥
(————熱い)
50
冬弥
(熱い……!)
51
冬弥
(この胸を焦がす熱のまま————)
52
冬弥
(全力で————!!)
53
冬弥・彰人
『♪————————! ♪——————!!』
54
こはね・杏
『♪————————————!!』
55
スレイド
『すごい……!』
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スレイド
『すごいすごい、すごいよ!!
こんなに熱くなるなんて……!』
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セドリック
『まさしく“全力”……いや、それ以上かもしれないな』
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スレイド
『あはは! オレ、今すっごくわくわくしてる!』
59
スレイド
『……いいな、こういうの』
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スレイド
『ずっと——こんなライバルが欲しかったんだ』
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セドリック
『……相手にとって不足はなし、だな』
数日後
crase cafe
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MEIKO
——それで、熱のある中でステージをやりきったのね?
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冬弥
はい……すみません。
前に、無理はいけないと言ってもらったのに
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MEIKO
……冬弥くん自身が、ちゃんと反省してるもの。
それに、どうしても譲れない時があるのもわかるわ
65
MEIKO
ちなみに——勝負の結果は、どうなったの?
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冬弥
……俺達の負けでした
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ミク
そっか……残念だったね
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ほんっと悔しいけど、めちゃくちゃ熱かった!
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こはね
うん……なんていうか、圧倒されたな
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彰人
会場の盛り上がり方も、尋常じゃなかったしな
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そう! 前に聴いた時より、もっとこう……
胸にドーン!ってくる感じで
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KAITO
負けちゃったのは、たしかに残念だったけど……
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KAITO
なんだかみんな、すっきりした顔してるね?
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こはね
悔しい気持ちは、もちろんあるんですけど……
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こはね
でも、今の全力を出し切れたっていうか……
すごく、良い歌が歌えたなって思うんです
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だね! 冬弥の声が、
ぐいぐい押し上げてくれた感じ?
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冬弥
俺が……?
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彰人
足元はふらついてたが、あんな冬弥滅多に見れねえってくらい、
声に勢いが乗ってた
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彰人
後先考えねえで、思いっきり突っ込んでくみてえな……
なりふり構わず進んでくって感じだったな
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そうそう! この勢いについてかなきゃ!って感じで
すっごいテンション上がったんだよね
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こはね
うん。青柳くん、こんな歌い方もできるんだって、
すごくびっくりしたな
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MEIKO
いつもの冷静な冬弥くんからは、想像できないわね
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ミク
うん。ちょっと見てみたかったな
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冬弥
——俺は、熱で朦朧としていたのもあって
ステージの上でのことはあまり覚えていないんです
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冬弥
ただ……
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冬弥
……誰かと競い合って、ぶつかり合って——
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冬弥
そんな風に全力を尽くした先でしか、
見えない景色がある
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冬弥
それを、改めて実感した気がします
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KAITO
……そっか。いい経験になったんだね
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冬弥
はい。とても
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冬弥
とはいえ……RUSH BEATSで優勝を目指すには、
もっと練習を重ねなければいけないな
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こはね
うん! 今度こそスレイドさん達に勝たないとだし……
大会では、エレナさん達とも戦うんだもんね
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あ……でも、冬弥はまた頑張りすぎないでよ?
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彰人
次は絶対止めるぞ
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冬弥
ああ。誓って、二度とないようにする
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冬弥
(朦朧とした意識の中でも……
胸に感じた、あの熱さだけは覚えている)
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冬弥
(理屈ではなく、ただお互いの全力をぶつけ合って——)
98
冬弥
RUSH BEATSでは——必ず、俺達が勝とう
99
杏・こはね・彰人
『うん!』
『ああ』