神山高校 中庭
彰人
——『火炎斬り』!!
魔物達
ぐっ……もはや、ここまでか……
魔物達
しかし、魔王城はここを曲がってすぐ……
生きて帰れると思うなよ…………
生きて帰れると思うなよ…………
彰人
そりゃどうも。
——どうやら、体育館がゴールの魔王城みたいだな
——どうやら、体育館がゴールの魔王城みたいだな
冬弥
そのようだな。
いよいよ魔王戦か……楽しみだな
いよいよ魔王戦か……楽しみだな
類
そうだねえ。どれほどの強さかも気になるし……
どんな演技をしてくれるか、とても楽しみだよ
どんな演技をしてくれるか、とても楽しみだよ
瑞希
ええ~? 期待するのそこなの?
司
いや、気持ちはわかるぞ!
司
後半からは魔物達の演技力もグンと上がって
こちらも乗せられてしまいそうなほどだったからな。
魔王の演技は、非常に楽しみだ!
こちらも乗せられてしまいそうなほどだったからな。
魔王の演技は、非常に楽しみだ!
司
(……しかし、ついに次が最終決戦か)
司
(さきほどの四天王戦では、
5人で楽しみたいという後輩の気持ちを汲み、
裏切ることをやめたが……)
5人で楽しみたいという後輩の気持ちを汲み、
裏切ることをやめたが……)
司
(………………魔王戦は逆に、アリかもしれんな?)
司
(なにせラストもラストだ!
既に楽しみ尽くしたともいえるし——)
既に楽しみ尽くしたともいえるし——)
司
(実は信じていた仲間が……!という展開は
非常にドラマチックだろう!)
非常にドラマチックだろう!)
司
(……いやいやいや違うぞ!
断じて、カッコイイ技を使いたいからというわけではない。
ショーとして考えた時、それが最も盛り上がるからだ)
断じて、カッコイイ技を使いたいからというわけではない。
ショーとして考えた時、それが最も盛り上がるからだ)
司
(いや! そういう気持ちが完全にないとは言い切れん!
なんと弱い男か……!)
なんと弱い男か……!)
司
(くうう……まさか最後まで揺れ動くことになるとは……)
司
(裏切ってカッコいい技を使うか、
このままこいつらと世界平和をもぎ取るか……)
このままこいつらと世界平和をもぎ取るか……)
司
(どうする、どうする天馬司……!!)
瑞希
それじゃあ魔王城、行ってみよ~う!!
体育館
冬弥
ここが、魔王城か……
瑞希
予算ないからやっぱ普通の体育館だねえ
???
——ほう
???
まさか、生きてここまで辿り着く者がいるとはな……
司
……!?
この声は——
この声は——
彰人
うお……!
なんか急に気合いの入った見た目の奴出てきたな……
なんか急に気合いの入った見た目の奴出てきたな……
類
たしかに、マントも甲冑も本格的だ。
予算はここに振られていたようだねえ
予算はここに振られていたようだねえ
司
——お前が魔王か!?
魔王アンヴァレンタイン
いかにも。
私こそが魔王アンヴァレンタイン……
私こそが魔王アンヴァレンタイン……
魔王アンヴァレンタイン
ここに人が来るのは、100年ぶりか。
……よく来た。歓迎するぞ
……よく来た。歓迎するぞ
冬弥
……声も、非常に威厳があるな
瑞希
ていうかこれ、高校生が出せる声じゃなくない?
魔王アンヴァレンタイン
そう恐れて固まるな。
近くに寄るといい
近くに寄るといい
魔王アンヴァレンタイン
ああ……ここに山とあるチョコを、
いくつかお前達に分け与えてやってもいいぞ?
いくつかお前達に分け与えてやってもいいぞ?
司
——ふざけるな!
司
そのチョコは、誰かが想いを込めた大切なものだ!
お前のような奴が、我が物のように扱っていいものではない!
お前のような奴が、我が物のように扱っていいものではない!
瑞希
おお! 先輩も迫真の演技……!
司
はっ……!
あてられて、つい熱が入ってしまった……!
あてられて、つい熱が入ってしまった……!
司
お前達気をつけろ!
あの魔王おそらく——演技経験者だ!!
あの魔王おそらく——演技経験者だ!!
彰人
気をつけるのそこかよ
類
フフ、これはなかなか面白い戦闘になりそうだね
類
ともかく、のんびりしている時間はあまりない。
早く仕掛けなければね
早く仕掛けなければね
司
ああ!
全員、用意はいいか!
全員、用意はいいか!
魔王アンヴァレンタイン
フフフ……私を倒す気か?
できるものなら、やってみるといい
できるものなら、やってみるといい
魔王アンヴァレンタイン
もっとも——すぐに己の無力さと絶望を知り、
我が玉座の前に膝をつくことになるだろうがな
我が玉座の前に膝をつくことになるだろうがな
司
なんだと……!
魔王アンヴァレンタイン
我が眷属達よ、王の血となり肉となれ!
——暗黒魔法『デモンズ・コール』!
——暗黒魔法『デモンズ・コール』!
魔物達
『うおーーーーー! 魔王様〜〜〜〜!』
司
なんだ……!? 魔王の体が光って、
どんどん魔物達が集まって……!?
どんどん魔物達が集まって……!?
瑞希
あ、これってエナジードレイン的なやつじゃない!?
部下を取り込んでパワーアップ、みたいな!
部下を取り込んでパワーアップ、みたいな!
類
ふむ……光を目くらましにして、
魔物達は魔王の後ろのカーテンから
向こう側へ逃げているのかな。うまく表現するねえ
魔物達は魔王の後ろのカーテンから
向こう側へ逃げているのかな。うまく表現するねえ
冬弥
たしかに、マジックのようになっていて面白いですね
彰人
冷静に見るとかなりシュールな光景だけどな……
司
ぼーっとしている場合ではないぞ!
魔王がパワーアップしてしまったようだ!
魔王がパワーアップしてしまったようだ!
司
攻撃される前に、先手必勝だ!
彰人! 必殺技を——
彰人! 必殺技を——
魔王アンヴァレンタイン
フハハ!
パワーアップした私のスピードを舐めてもらっては困るぞ!
パワーアップした私のスピードを舐めてもらっては困るぞ!
魔王アンヴァレンタイン
全体暗黒魔法『キングス・オーダー』!
魔王アンヴァレンタイン
……お前達はこれより3ターンの間、魔法しか使えない!
瑞希
そんな!
一番攻撃力の高い、勇者の必殺技が封じられるなんて……!
一番攻撃力の高い、勇者の必殺技が封じられるなんて……!
類
かなり分が悪いね……だが、大丈夫だ。
僕と青柳くんの魔法で、3ターン耐えよう
僕と青柳くんの魔法で、3ターン耐えよう
類
司くん、魔法のパワーアップをお願いできるかい?
司
任せろ!!
出力最大——『エネルギッシュパワーダンス』!
出力最大——『エネルギッシュパワーダンス』!
類
からの——『アシッド・オーシャン』!
魔王アンヴァレンタイン
……ふむ、酸の水流攻撃か。
なかなかいい技だ
なかなかいい技だ
魔王アンヴァレンタイン
しかし、出力が足りないな。
マントが少し溶けたくらいだ
マントが少し溶けたくらいだ
彰人
こいつ……HPほとんど減ってねえぞ。
本当に倒せんのか?
本当に倒せんのか?
冬弥
属性の相性もあるかもしれない。
先ほどアイテムで少しMP回復はできたし、次は俺が——
先ほどアイテムで少しMP回復はできたし、次は俺が——
魔王アンヴァレンタイン
甘い……甘すぎる。
まるで、チョコレートのようにな
まるで、チョコレートのようにな
冬弥
何?
魔王アンヴァレンタイン
お前達は、もう終わりだ。
全体魔法『ストーン・フィールド』でそちらの攻撃をスキップ!
全体魔法『ストーン・フィールド』でそちらの攻撃をスキップ!
魔王アンヴァレンタイン
そして——全体魔法『スイート・グリーディー・イーター』!
司
な……!
類
これは——先ほど魔物を取り込んだのと同じ技か……!
瑞希
ど、どうしよう!
HPもMPもどんどん吸い取られてるよ!
全然止まんない!
HPもMPもどんどん吸い取られてるよ!
全然止まんない!
彰人
く……!
冬弥の回復魔法はまだ使えるか!?
冬弥の回復魔法はまだ使えるか!?
冬弥
すまない、使えてあとひとり分だけだ……!
魔王アンヴァレンタイン
——残念だったな勇者達よ。
グリーディー・イーターは止まらない。
お前達の命を食い尽くすまでな!
グリーディー・イーターは止まらない。
お前達の命を食い尽くすまでな!
司
くそっ! このまま終わるわけには……!!
魔王アンヴァレンタイン
フフフ……。
お前達を倒した暁には、
このまま私がチョコを独り占めさせてもらおう
お前達を倒した暁には、
このまま私がチョコを独り占めさせてもらおう
魔王アンヴァレンタイン
全く……憎らしい存在だ。
このチョコというものは
このチョコというものは
魔王アンヴァレンタイン
だからこそ私は、この世の全てのチョコを奪い
そして食らい尽くす!
そして食らい尽くす!
魔王アンヴァレンタイン
お前達には……いや、誰であっても!
チョコはひと粒たりともやらん!
チョコはひと粒たりともやらん!
司
(……憎らしいのに、食らい尽くすだと……?)
司
アンヴァレンタイン!
なぜこれほどの力を持つお前が……チョコレートに執着する!!
なぜこれほどの力を持つお前が……チョコレートに執着する!!
魔王アンヴァレンタイン
それは…………
魔王アンヴァレンタイン
……手にすることが叶わなかったからだ
司
何……?
魔王アンヴァレンタイン
私は、チョコという愛を得ることができなかった
魔王アンヴァレンタイン
姫からチョコをもらう、その日をずっと、
待ちわびていたというのに……!
待ちわびていたというのに……!
司
お前……
瑞希
え、フラれたから逆恨みってこと~!?
彰人
なんだそりゃ……
魔王アンヴァレンタイン
——愛なき者の苦しみ、お前達にはわかるまい!
魔王アンヴァレンタイン
この苦しみ、憎しみ……喰らうがいい!
ハァァァァァ————!!
ハァァァァァ————!!
類
この動き……まさか、また全体攻撃かな?
冬弥
だが、もう為す術が……!
司
——強制特殊コマンド発動!!
司
コマンド————『裏切る』!!
彰人
は? 裏切る……!?
司
——魔王様!!
司
私は魔王軍幹部ダークペガサス!
司
ここで共に、とどめを刺しましょう!!
冬弥
な……!?
まさか……司先輩が裏切り者ということなのか……!?
まさか……司先輩が裏切り者ということなのか……!?
瑞希
ええ~!?
このタイミングで寝返るとかアリなわけ!?
このタイミングで寝返るとかアリなわけ!?
魔王アンヴァレンタイン
ははは……ようやく真の姿を表したか
魔王アンヴァレンタイン
我が右腕よ。この魔剣——ロスト・ラヴァーを受け取るがいい
司
ははっ!
彰人
おい、妙にイカつい黒い剣が出てきたぞ……!
魔王アンヴァレンタイン
貴様は本来の力を解放した。
さあ、思う存分戦え! カッコいい技名と共にな!
さあ、思う存分戦え! カッコいい技名と共にな!
瑞希
……あ! まさか先輩、最後にカッコいい技をやりたいから
寝返ったの!?
寝返ったの!?
冬弥
まさか……嘘、ですよね……?
司
…………
司
遊び人改め——魔王軍幹部ダークペガサス!
いざ、参るっ!!
いざ、参るっ!!
瑞希
ま、まずいよ!
今攻撃されたら——
今攻撃されたら——
司
うおおおおおおおおおおおおお!!!
瑞希
ってあれ? そっちは魔王……
司
喰らえ、魔王!!!!
司
超必殺攻撃——
『ダークペガサスフォースブレイド』ーーーーーーーーーー!!
『ダークペガサスフォースブレイド』ーーーーーーーーーー!!
魔王アンヴァレンタイン
ぐわあああーーーーーーーーーーーー!?
瑞希
ええええ~!?
冬弥
ま、魔王を、斬った……!?
彰人
なんでだよ……
類
フフフ、面白い展開だねえ
類
おや……討ち取ったかと思ったけれど、
まだ少しHPがあるようだね
まだ少しHPがあるようだね
魔王アンヴァレンタイン
グッ……ガハッ……!
魔王アンヴァレンタイン
我が右腕よ、何故…………
司
——右腕だからこそだ!
司
情けないぞ、アンヴァレンタイン!
司
お前は、チョコをくれなかった姫に
その真意を聞いたのか!?
その真意を聞いたのか!?
魔王アンヴァレンタイン
ど、どういうことだ……?
司
お前は、愛を得ることができなかったから
チョコを食らい尽くすと言った
チョコを食らい尽くすと言った
司
だが、お前自身は!
姫にチョコを——愛を渡そうとしたのか!?
姫にチョコを——愛を渡そうとしたのか!?
魔王アンヴァレンタイン
……!
司
愛は、一方的にもらうものではない!
司
想いを届け合って、共に育てるものなのだ!
司
だからまずは、自分の想いを届けること!
それこそが——愛の第一歩だ!
それこそが——愛の第一歩だ!
魔王アンヴァレンタイン
だ、だが……
魔王アンヴァレンタイン
そもそも姫は、チョコをくれなかった……。
それは、姫が、私を……
それは、姫が、私を……
司
それはわからん!
トラブルでうっかり忘れたのかもしれん!
もしくはすごくシャイなのかもしれん!
トラブルでうっかり忘れたのかもしれん!
もしくはすごくシャイなのかもしれん!
司
ともかくまずは姫に想いを届け、真意を聞くところからだ。
そうしなければ、そもそも何も始まらん!
そうしなければ、そもそも何も始まらん!
司
そしてもし、それでも想いが成就しなかったら——
司
オレ達のもとに来るといい!
司
その時は、気が済むまで話を聞いてやる。
……チョコでも食べながらな
……チョコでも食べながらな
魔王アンヴァレンタイン
…………ふ
魔王アンヴァレンタイン
その時食べるチョコは……
とびきり苦い、ビターチョコになりそうだな
とびきり苦い、ビターチョコになりそうだな
デバイス
『タイムアップ——ゲームオーバーです』
冬弥
あ……
瑞希
そういえば、制限時間のこと忘れてた……!
司
な……!
なんということだ~!
なんということだ~!
司
オレが裏切ってしまったばっかりに、
ゲームクリアが……すまん……
ゲームクリアが……すまん……
類
——けれど、司くんが裏切らなければ、
僕達はあのまま全滅していたんじゃないかな
僕達はあのまま全滅していたんじゃないかな
彰人
ま……それはそうっすね
瑞希
そうだね! 裏切った時はびっくりしたけど、
理由も司先輩っぽかったし!
理由も司先輩っぽかったし!
冬弥
たしかに……。
おかげで最後まで新鮮な気持ちで楽しめました
おかげで最後まで新鮮な気持ちで楽しめました
司
お前達……
???
素晴らしい……
彰人
え?
???
——素晴らしいショーを見させていただきましたよ。
勇者ペガサス一行
勇者ペガサス一行
司
お……お前は!?
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