神山高校 中庭
1
彰人
——『火炎斬り』!!
2
魔物達
ぐっ……もはや、ここまでか……
3
魔物達
しかし、魔王城はここを曲がってすぐ……
生きて帰れると思うなよ…………
4
彰人
そりゃどうも。
——どうやら、体育館がゴールの魔王城みたいだな
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冬弥
そのようだな。
いよいよ魔王戦か……楽しみだな
6
そうだねえ。どれほどの強さかも気になるし……
どんな演技をしてくれるか、とても楽しみだよ
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瑞希
ええ~? 期待するのそこなの?
8
いや、気持ちはわかるぞ!
9
後半からは魔物達の演技力もグンと上がって
こちらも乗せられてしまいそうなほどだったからな。
魔王の演技は、非常に楽しみだ!
10
(……しかし、ついに次が最終決戦か)
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(さきほどの四天王戦では、
5人で楽しみたいという後輩の気持ちを汲み、
裏切ることをやめたが……)
12
(………………魔王戦は逆に、アリかもしれんな?)
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(なにせラストもラストだ!
既に楽しみ尽くしたともいえるし——)
14
(実は信じていた仲間が……!という展開は
非常にドラマチックだろう!)
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(……いやいやいや違うぞ!
断じて、カッコイイ技を使いたいからというわけではない。
ショーとして考えた時、それが最も盛り上がるからだ)
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(いや! そういう気持ちが完全にないとは言い切れん!
なんと弱い男か……!)
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(くうう……まさか最後まで揺れ動くことになるとは……)
18
(裏切ってカッコいい技を使うか、
このままこいつらと世界平和をもぎ取るか……)
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(どうする、どうする天馬司……!!)
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瑞希
それじゃあ魔王城、行ってみよ~う!!
体育館
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冬弥
ここが、魔王城か……
22
瑞希
予算ないからやっぱ普通の体育館だねえ
23
???
——ほう
24
???
まさか、生きてここまで辿り着く者がいるとはな……
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……!?
この声は——
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彰人
うお……!
なんか急に気合いの入った見た目の奴出てきたな……
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たしかに、マントも甲冑も本格的だ。
予算はここに振られていたようだねえ
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——お前が魔王か!?
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魔王アンヴァレンタイン
いかにも。
私こそが魔王アンヴァレンタイン……
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魔王アンヴァレンタイン
ここに人が来るのは、100年ぶりか。
……よく来た。歓迎するぞ
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冬弥
……声も、非常に威厳があるな
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瑞希
ていうかこれ、高校生が出せる声じゃなくない?
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魔王アンヴァレンタイン
そう恐れて固まるな。
近くに寄るといい
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魔王アンヴァレンタイン
ああ……ここに山とあるチョコを、
いくつかお前達に分け与えてやってもいいぞ?
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——ふざけるな!
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そのチョコは、誰かが想いを込めた大切なものだ!
お前のような奴が、我が物のように扱っていいものではない!
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瑞希
おお! 先輩も迫真の演技……!
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はっ……!
あてられて、つい熱が入ってしまった……!
39
お前達気をつけろ!
あの魔王おそらく——演技経験者だ!!
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彰人
気をつけるのそこかよ
41
フフ、これはなかなか面白い戦闘になりそうだね
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ともかく、のんびりしている時間はあまりない。
早く仕掛けなければね
43
ああ!
全員、用意はいいか!
44
魔王アンヴァレンタイン
フフフ……私を倒す気か?
できるものなら、やってみるといい
45
魔王アンヴァレンタイン
もっとも——すぐに己の無力さと絶望を知り、
我が玉座の前に膝をつくことになるだろうがな
46
なんだと……!
47
魔王アンヴァレンタイン
我が眷属達よ、王の血となり肉となれ!
——暗黒魔法『デモンズ・コール』!
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魔物達
『うおーーーーー! 魔王様〜〜〜〜!』
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なんだ……!? 魔王の体が光って、
どんどん魔物達が集まって……!?
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瑞希
あ、これってエナジードレイン的なやつじゃない!?
部下を取り込んでパワーアップ、みたいな!
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ふむ……光を目くらましにして、
魔物達は魔王の後ろのカーテンから
向こう側へ逃げているのかな。うまく表現するねえ
52
冬弥
たしかに、マジックのようになっていて面白いですね
53
彰人
冷静に見るとかなりシュールな光景だけどな……
54
ぼーっとしている場合ではないぞ!
魔王がパワーアップしてしまったようだ!
55
攻撃される前に、先手必勝だ!
彰人! 必殺技を——
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魔王アンヴァレンタイン
フハハ!
パワーアップした私のスピードを舐めてもらっては困るぞ!
57
魔王アンヴァレンタイン
全体暗黒魔法『キングス・オーダー』!
58
魔王アンヴァレンタイン
……お前達はこれより3ターンの間、魔法しか使えない!
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瑞希
そんな!
一番攻撃力の高い、勇者の必殺技が封じられるなんて……!
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かなり分が悪いね……だが、大丈夫だ。
僕と青柳くんの魔法で、3ターン耐えよう
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司くん、魔法のパワーアップをお願いできるかい?
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任せろ!!
出力最大——『エネルギッシュパワーダンス』!
63
からの——『アシッド・オーシャン』!
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魔王アンヴァレンタイン
……ふむ、酸の水流攻撃か。
なかなかいい技だ
65
魔王アンヴァレンタイン
しかし、出力が足りないな。
マントが少し溶けたくらいだ
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彰人
こいつ……HPほとんど減ってねえぞ。
本当に倒せんのか?
67
冬弥
属性の相性もあるかもしれない。
先ほどアイテムで少しMP回復はできたし、次は俺が——
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魔王アンヴァレンタイン
甘い……甘すぎる。
まるで、チョコレートのようにな
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冬弥
何?
70
魔王アンヴァレンタイン
お前達は、もう終わりだ。
全体魔法『ストーン・フィールド』でそちらの攻撃をスキップ!
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魔王アンヴァレンタイン
そして——全体魔法『スイート・グリーディー・イーター』!
72
な……!
73
これは——先ほど魔物を取り込んだのと同じ技か……!
74
瑞希
ど、どうしよう!
HPもMPもどんどん吸い取られてるよ!
全然止まんない!
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彰人
く……!
冬弥の回復魔法はまだ使えるか!?
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冬弥
すまない、使えてあとひとり分だけだ……!
77
魔王アンヴァレンタイン
——残念だったな勇者達よ。
グリーディー・イーターは止まらない。
お前達の命を食い尽くすまでな!
78
くそっ! このまま終わるわけには……!!
79
魔王アンヴァレンタイン
フフフ……。
お前達を倒した暁には、
このまま私がチョコを独り占めさせてもらおう
80
魔王アンヴァレンタイン
全く……憎らしい存在だ。
このチョコというものは
81
魔王アンヴァレンタイン
だからこそ私は、この世の全てのチョコを奪い
そして食らい尽くす!
82
魔王アンヴァレンタイン
お前達には……いや、誰であっても!
チョコはひと粒たりともやらん!
83
(……憎らしいのに、食らい尽くすだと……?)
84
アンヴァレンタイン!
なぜこれほどの力を持つお前が……チョコレートに執着する!!
85
魔王アンヴァレンタイン
それは…………
86
魔王アンヴァレンタイン
……手にすることが叶わなかったからだ
87
何……?
88
魔王アンヴァレンタイン
私は、チョコという愛を得ることができなかった
89
魔王アンヴァレンタイン
姫からチョコをもらう、その日をずっと、
待ちわびていたというのに……!
90
お前……
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瑞希
え、フラれたから逆恨みってこと~!?
92
彰人
なんだそりゃ……
93
魔王アンヴァレンタイン
——愛なき者の苦しみ、お前達にはわかるまい!
94
魔王アンヴァレンタイン
この苦しみ、憎しみ……喰らうがいい!
ハァァァァァ————!!
95
この動き……まさか、また全体攻撃かな?
96
冬弥
だが、もう為す術が……!
97
——強制特殊コマンド発動!!
98
コマンド————『裏切る』!!
99
彰人
は? 裏切る……!?
100
——魔王様!!
101
私は魔王軍幹部ダークペガサス!
102
ここで共に、とどめを刺しましょう!!
103
冬弥
な……!?
まさか……司先輩が裏切り者ということなのか……!?
104
瑞希
ええ~!?
このタイミングで寝返るとかアリなわけ!?
105
魔王アンヴァレンタイン
ははは……ようやく真の姿を表したか
106
魔王アンヴァレンタイン
我が右腕よ。この魔剣——ロスト・ラヴァーを受け取るがいい
107
ははっ!
108
彰人
おい、妙にイカつい黒い剣が出てきたぞ……!
109
魔王アンヴァレンタイン
貴様は本来の力を解放した。
さあ、思う存分戦え! カッコいい技名と共にな!
110
瑞希
……あ! まさか先輩、最後にカッコいい技をやりたいから
寝返ったの!?
111
冬弥
まさか……嘘、ですよね……?
112
…………
113
遊び人改め——魔王軍幹部ダークペガサス!
いざ、参るっ!!
114
瑞希
ま、まずいよ!
今攻撃されたら——
115
うおおおおおおおおおおおおお!!!
116
瑞希
ってあれ? そっちは魔王……
117
喰らえ、魔王!!!!
118
超必殺攻撃——
『ダークペガサスフォースブレイド』ーーーーーーーーーー!!
119
魔王アンヴァレンタイン
ぐわあああーーーーーーーーーーーー!?
120
瑞希
ええええ~!?
121
冬弥
ま、魔王を、斬った……!?
122
彰人
なんでだよ……
123
フフフ、面白い展開だねえ
124
おや……討ち取ったかと思ったけれど、
まだ少しHPがあるようだね
125
魔王アンヴァレンタイン
グッ……ガハッ……!
126
魔王アンヴァレンタイン
我が右腕よ、何故…………
127
——右腕だからこそだ!
128
情けないぞ、アンヴァレンタイン!
129
お前は、チョコをくれなかった姫に
その真意を聞いたのか!?
130
魔王アンヴァレンタイン
ど、どういうことだ……?
131
お前は、愛を得ることができなかったから
チョコを食らい尽くすと言った
132
だが、お前自身は!
姫にチョコを——愛を渡そうとしたのか!?
133
魔王アンヴァレンタイン
……!
134
愛は、一方的にもらうものではない!
135
想いを届け合って、共に育てるものなのだ!
136
だからまずは、自分の想いを届けること!
それこそが——愛の第一歩だ!
137
魔王アンヴァレンタイン
だ、だが……
138
魔王アンヴァレンタイン
そもそも姫は、チョコをくれなかった……。
それは、姫が、私を……
139
それはわからん!
トラブルでうっかり忘れたのかもしれん!
もしくはすごくシャイなのかもしれん!
140
ともかくまずは姫に想いを届け、真意を聞くところからだ。
そうしなければ、そもそも何も始まらん!
141
そしてもし、それでも想いが成就しなかったら——
142
オレ達のもとに来るといい!
143
その時は、気が済むまで話を聞いてやる。
……チョコでも食べながらな
144
魔王アンヴァレンタイン
…………ふ
145
魔王アンヴァレンタイン
その時食べるチョコは……
とびきり苦い、ビターチョコになりそうだな
146
デバイス
『タイムアップ——ゲームオーバーです』
147
冬弥
あ……
148
瑞希
そういえば、制限時間のこと忘れてた……!
149
な……!
なんということだ~!
150
オレが裏切ってしまったばっかりに、
ゲームクリアが……すまん……
151
——けれど、司くんが裏切らなければ、
僕達はあのまま全滅していたんじゃないかな
152
彰人
ま……それはそうっすね
153
瑞希
そうだね! 裏切った時はびっくりしたけど、
理由も司先輩っぽかったし!
154
冬弥
たしかに……。
おかげで最後まで新鮮な気持ちで楽しめました
155
お前達……
156
???
素晴らしい……
157
彰人
え?
158
???
——素晴らしいショーを見させていただきましたよ。
勇者ペガサス一行
159
お……お前は!?