乃々木公園 イベントスペース
1

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(この人……たしか、ライバルって言ってた——
ミナトさん、だったっけ?)
2

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(話ってなんだろ?
なんかすごく真剣な感じだけど……)
3

ミナト

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……結論から言う。
僕とチームを組んで、最終審査に出てくれないか?

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4

ライセ

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……えっ!?
5

みのり

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できるんですか、そんなこと!?
6

ミナト

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審査員に確認は取ってあります
7

ミナト

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補欠枠として、最終審査に出てもいい実力を有している——
とのことで、許可をもらいました
8

ミナト

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他の最終審査の参加者にも、話をしてある。
彼らも、構わないと言ってくれた
9

ライセ

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ま、待ってくれ! 今からチームを組むなんて、
君には、むしろ不利になるんじゃないか?
10

ミナト

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それもわかっているつもりだ
11

ライセ

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そ、そうだとしても……俺と君とじゃ、実力に差が……
12

志歩

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そういえば、前回も最終審査までいったって……
13

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審査でのダンスも見事だったな。
とても洗練されていて、表現力もあり、
まるでセリフがない舞台を見てるようだった
14

みのり

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そうですね……
15

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……あの、なんでチームを組みたいって思ったんですか?
16

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ライセさんも言った通り、今から組むなんて
オーディション的には不利になっちゃうと思うんですけど……
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ミナト

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……彼のようなダンスが、僕の理想だからです
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ライセ

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…………!
19

ミナト

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……僕のダンスは『表現力がある』という評価を
よくもらいますが——
20

ミナト

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実は、感情を出すのはあまり得意ではないんです
21

ミナト

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だから、ダンスをする時は常に役を作って、
その役になりきることで表現してきました
22

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へえ……そういうやり方もあるんですね
23

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役者なら、そういう人もいるな
24

ミナト

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だが本当は、君のように
『自分もやってみたい』と思ってもらえるような
ダンスがやりたいんだ
25

ミナト

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だけど、何度試してみても上手くいかなくて……
26

ミナト

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そんな時——子供達と踊っている君を見かけたんだ
27

ライセ

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あ……
28

ライセ

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もしかして、あの時からずっと……
29

ミナト

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ああ。……あの時、感じたんだ
30

ミナト

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君とならきっと理想のダンスができる、と——

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31

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(そういう出会いって、本当にあるんだよね)
32

ミナト

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僕の理想を実現するために
君を巻き込んでいいのかと、ずっと迷っていたんだが……
33

ミナト

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2次審査の後、夢を追い続けられるかどうかの
瀬戸際だという話を聞いてしまった
34

ミナト

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だから——夢の続きを勝ち取るためにも、
僕と、チームを組んでくれないか?
35

ライセ

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……ありがとう。
そこまで言ってもらえるなんて思わなかった
36

ライセ

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でも俺は、自分の夢も自分で守れないような未熟者だ。
だから——
37

ライセ

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3日間、時間が欲しい。
ちゃんとチームとしてやれるかどうか、
お互いに確かめるために
38

ミナト

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……わかった。それが条件なら、呑もう。
よろしく頼む
39

ライセ

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こちらこそ
40

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——チーム仮結成、だね!
レッスンスタジオ

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41

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……それで、どんなダンスをやるんですか?
42

ライセ

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そうですね……。
イチからダンスを考えて振り入れとなると……
43

ミナト

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もしよければ、僕が前回の最終審査用に用意していた
ふたり用のダンスをベースにしないか?
イチから作るよりは考えやすくなると思うんだ
44

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なるほど……
45

ライセ

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よければ、どんなダンスか見せてくれないか?
46

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……すごいダンスでしたね!
めちゃくちゃ洗練されてて!
47

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ああ。しかし、情感はたっぷりあって、
見ていて引き込まれてしまったな
48

ライセ

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こんなにすごいダンスを踊る予定だったなんて……。
前に組んでた人は一体……
49

ミナト

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ああ……。同じダンススクールの友人だ。
得意なダンスが近かったから、頼んで出てもらったんだ
50

ミナト

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でも、彼は他でもチームを組んでいて、
疲労が原因でケガを……
51

志歩

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そうだったんですね。
それで、その人って今は……
52

ミナト

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もう復帰しています。
もともと組んでいたチームの方で事務所と契約して、
頑張っているみたいです
53

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おお、それはよかった
54

ミナト

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……さっきも言った通り、このダンスはあくまでベースだ。
使えそうなところだけ使えばいい
55

ミナト

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僕達で『見ていてやりたくなるようなダンス』を作ろう
56

ライセ

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ああ!
57

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(……あのすごいダンス見て、
思わず大丈夫かなって思っちゃったけど)
58

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(『やってやるぞ』っていう覚悟が伝わってくる……)
59

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(私も、サポート頑張らなくちゃ!)

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60

ライセ

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この振りだけど、音源がちょうどポップな雰囲気になるし、
ちょっと簡略化して、
代わりに動きを大きくコミカルな感じにするのはどうかな?
61

ライセ

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あ、でもそうなると前後の振りも、
テイスト合わせないといけなくなるな……
62

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せっかく思いついたんだし、やってみましょうよ!
63

ミナト

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ああ。どんな振りか、教えてほしい
64

ミナト

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最後のエアプレーンジャンプだが、
ダブルをシングルにした方がいいかもしれない……
65

ライセ

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え……
66

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えっと、最後のってことは、
腕を広げて2回転してたジャンプのことだよね?
67

みのり

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うん、難しそうだったな……。
テンポ速いところだから勢いがいるけど、
締めだからピタッて止まらないといけないし
68

ミナト

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……難易度は、正直かなり高いと思います。
そういう意味でも
『見ていてやりたくなるダンス』かと言われると……
69

ライセ

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いや……このダンスの締めとしてダブルでいくべきだと思う
70

ライセ

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そこまでの流れで『やってみたい』って思ってもらって、
最後バシッと決めて——
71

ライセ

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『ダンスを始めれば、
いつか自分もあれができるようになるかも!』って
思ってもらえたら……
72

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たしかに、そういう憧れのような気持ちは大事ですからね!
73

ライセ

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はい。実際、さっきミナトがやって見せてくれた時、
俺は『かっこいい! やりたい!』って思ったんです
74

ミナト

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なるほど……。ただ、誰でもできるように
簡単にすればいいというわけじゃないんだな
75

ライセ

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俺もまだ探り探りだから、正解かどうかわからないけど……。
その辺りは練習しながら調整していこう
76

ライセ

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……はあっ、はあっ……
77

ミナト

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……大丈夫か? 少し休憩を……
78

ライセ

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いや、これくらいならまだいける。
さっきのパートの振りも、覚えきりたいし
79

ミナト

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……わかった。
じゃあ、そこの振り入れができたら、一度休憩をとろう
80

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……まだ少しお互い遠慮していそうな様子はあるが、
仮結成1日目にしては、いい雰囲気じゃないか?
81

Listen

そうですね。
初々しい感じがあって、なんか懐かしいなあ
82

志歩

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白石さんも、こはねと組んだ時あんな感じだったの?
83

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え? あー……とにかくこはねと一緒に歌いたくて、
1発目の練習から、普通に通りで歌ってたなあ。アカペラで
84

みのり

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最初から通りで!? しかもアカペラ!?
85

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遠慮の『え』の字もないな
86

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だって、こはねなら大丈夫って信じてたので!
87

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(……あのふたり、上手くいくといいな)
翌日
88

ライセ

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………………っ
89

ミナト

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…………!
音、止めてください
90

ミナト

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……大丈夫か? 今、よろけたように見えたが……
91

ライセ

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ああ、ごめん。体重の移動が遅れただけだから、
次はいけると思う!
92

Listen

あそこの振り、見てるこっちは楽しそうだなって
感じるんですけど、そんなに難しいんですか?
93

Listen

曲のテンポが全体的に速いからな。
ほんの一瞬のズレが致命的になってしまうんだ
94

みのり

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でも、昨日よりもスムーズに入れるようになってますし、
次は絶対——
95

ミナト

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いや、休憩を取ろう
96

ライセ

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え? まだ練習を始めて1時間も……
97

ミナト

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君は3次審査のために急ピッチで新しいダンスを仕上げた上に、
間髪入れずに、またイチから振り入れをしているんだ

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98

ミナト

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知らず知らずのうちに、疲れがたまっているかもしれない
99

ライセ

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……そうかな?
じゃあ、10分だけ休憩をもらうよ
100

ライセ

Listen

……はあ、はあっ!
今のジャンプはどうでした!?
101

みのり

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すっごく惜しかったです!
あとほんのちょっと速くないと……!
102

志歩

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1回転目の入りはぴったりなんだけどね。
勢いに乗り切れてない感じ、かな?
103

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でも、勢いつけすぎちゃったら、
今度はピタッと止まれなくなっちゃうし
104

ミナト

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……本当に、ダブルのままでいくのか?
やはり、シングルにするという手も……
105

ライセ

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……あともう少しだけ時間をくれないか?
106

ライセ

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せっかくの『やってみたい』って思えるかっこいい決めなんだ。
簡単には諦めたくない
107

ミナト

Listen

…………わかった。
だが、無理はしないでくれ
神山通り
108

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……今日の練習、どう思いました?
109

みのり

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えっと、雰囲気は悪くなかったと思うな!
意見もお互いに出し合ってたし
110

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……だが、どうもミナトさんは
無理させないように気をつかっている感じがあったな
111

志歩

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そうですね。
でも、気持ちはわかるな
112

志歩

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ライセさんにとって最後のチャンスだから、
もし前のチームメイトみたいに
ケガして出られなくなったらまずいし
113

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そうなんだけど……
114

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(なんか、あの感じ——)

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115

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……あの、ちょっと気になることがあるんですけど、
聞いてもらえますか?
116

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……なるほど。つまり、まだ本当の相棒と思えていないから、
遠慮があったり、過保護になっているのかもしれない、と

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117

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はい……。最初は組んだばっかりだし、
お互いの実力をまだ把握しきれてないからかなって
思ってたんですけど……
118

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練習見てる感じ、ミナトさんは
ライセさんが苦労しそうな振りをわかってそうだなって
119

志歩

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そういえば、エアプレーンジャンプも
ダブルじゃなくてシングルにって、最初から言ってたね
120

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(きっと、前のチームメイトがケガをして
審査に出られなかったっていうのも、
ミナトさんにとっては大きいんだろうけど……)
121

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……今のままじゃ、本当のチームにはなれない気がするんだ
122

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しかし……明日がチームとしてやっていけるか、
決める日なんだがな。どうしたものか……
123

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……あの、明日の練習前、
ミナトさんと話す時間をもらえないですか?
翌日

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124

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こんにちはー! 今日もよろしくお願いします!
125

ミナト

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こちらこそ、よろしくお願いします。
……ん? 他の皆さんは……
126

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あ、なんか電車が遅れちゃってるみたいで、
いろいろ迂回してこっちに向かってるそうです
127

ミナト

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そうなんですね。
ライセも大学に寄ってから来るそうなので、
しばらく自主練をしていようと思います
128

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(……ちょうどよかったかも)
129

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……そういえば、このオーディションは演出家の人が
主催って聞いたんですけど、すごい人なんですか?
130

ミナト

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はい。鉄籠昭さんといって、舞台だけでなくドラマや映画に、
ライブなどの音楽イベントも数多く企画されていました
131

ミナト

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ただご高齢なので、すでに現役は退いていて、
人材育成に力を入れていらっしゃるようです
132

ミナト

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僕達が参加しているこのオーディションも、
鉄籠先生が、『育てたい』と思える人材を見つけるために
始めたものなんです
133

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へえ……演出家の人が、ダンサーの新人発掘してるって
ちょっと不思議だったけど、そういうことだったんだ
134

ミナト

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このオーディションの審査員を務めてくださっている人達も、
鉄籠先生のお弟子さん達ですよ
135

ミナト

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その方達だけでも、僕達からすれば豪華な顔ぶれなんですが……
136

ミナト

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最終審査には鉄籠先生と、特別審査員の方もいらっしゃるので
パフォーマンスを見てもらう貴重な機会でもあるんです
137

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最終審査に出ることにも、すごく意味があるんですね……
138

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じゃあ……前回は本当に残念でしたね。
せっかく最終審査まで行けたのに、辞退だなんて
139

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すごい人と組んでたみたいだし、
もしちゃんと出場できてたら
いい結果も出せたかもしれないのに
140

ミナト

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……そうですね
141

ミナト

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でも……他でチームを組んでいるとわかっていながら、
頼んで参加してもらっていたので……
142

ミナト

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僕の配慮が足りなかった、という反省の方が大きかったです
143

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(……やっぱり、前のチームメイトみたいに
なっちゃいけないって心配してるんだ)
144

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(でも、本当の意味でチームに、“相棒”になるためには——)
145

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……そうですね。反省はすごく大事だと思います
146

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だけど、今はそれがミナトさん達にとって
邪魔になっちゃってるかもしれないって、見てて感じたんです
147

ミナト

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え?
148

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……ライセさんのことが心配で、
守りたくなっちゃう気持ちはわかります
149

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これが最後のチャンスだし、
無理をしてケガをしたらいけないって……
150

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でもそれは、
チームメイトとして対等じゃないんじゃないかって
151

ミナト

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それって、どういう……
152

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ライセさんは、あなたの相棒として——
なんとか隣に立とうとしてます

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153

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だから、その気持ちを……覚悟をちゃんと受け止めて
154

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守るんじゃなくて、一緒に前を向くことが
必要なんじゃないかなって思うんです
155

ミナト

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……受け止めて、一緒に……
156

ミナト

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ですが、僕が彼を誘って……
ダンスの振りも、調整したとはいえ僕が用意したものです
157

ミナト

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だからこそ、僕が彼を引っ張らないと……
158

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……そう、思っちゃいますよね
159

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私も昔、そう思っちゃってた時がありました
160

ミナト

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え……
161

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私にも、一緒に歌ってる大切な相棒がいるんですけど
その子、歌を始めたばっかりの時に、
イベントでひどいトラブルにあって——
162

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だからつい、『経験が長い私がフォローしよう』
『私が守らなきゃ』って思ってた
163

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でも……チームメンバーに言われたんです
164

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『“守る”って、自分より下の奴に使う言葉だ』って
165

ミナト

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…………!
166

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……私は、その相棒の子とちゃんと対等でいたかったし、
そうしてるつもりだったので、余計にグサッときて……
167

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だから——
本当の意味でチームに……相棒になるために
168

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反省とか引っ張らなきゃっていう気持ちは忘れて、
一度、ライセさんとしっかり話してみるのはどうですか?
169

ミナト

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…………そうですね
170

ミナト

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……彼が来たら、少しふたりで話そうと思います
171

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……あ、天馬先輩から電話きてた!
すみません、ちょっと出てきますね

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172

志歩

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白石さん、お疲れさま

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ふう……。
多分、伝えたいことはちゃんと伝えられたかな
174

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みんなも、無茶な提案を聞いてくれてありがとうございます
175

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(特に、天馬先輩には背中を押してもらったな)

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176

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……話はわかった。
白石、お前の好きなようにやってみるといい
177

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……ん、なんだ?
178

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昨日の、好きにやれって言ってくれたことを思い出してたんです
179

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ひょっとして、普段もあんな感じで
神代先輩に好き勝手やらせてるんですか?
180

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まあ……ツッコミこそすれ、止めることはあまりないな
181

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だが、あいつの演出が面白そうなのが悪い!
どうしても、見てみたくなってしまうからな
182

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あはは、たしかに!
183

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(……冬弥とこはねがよく、
天馬先輩はすごいって言ってるけど)
184

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(ちょっと、わかった気がするな)

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185

ライセ

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……あれ? 皆さん、こんなところでどうしたんですか?
186

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あ……
187

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ライセさんを待ってたんですよ。
ミナトさんが、ふたりで話したいそうです
188

ライセ

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え……
189

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……大事な話になると思うので、行ってあげてください
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ライセ

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…………わかりました。ありがとうございます

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みのり

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……大丈夫、ですよね?
192

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ああ。
今のふたりなら、きっと腹を割って話せるだろう

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193

みのり

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わっ、スマホが光ってる!
これって……
194

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また、セカイがオレ達を呼んでいるみたいだな。
よし、行くぞ!
195

Listen

はい!