公演最終日 前日

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……耐えられない……オレは……
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(……榊さんの課題の成果、だろうね)
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(今の司くんは、狂気に囚われている。
……本人でもコントロールできないほどに)
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(だが、このままじゃ——駄目だ)
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司くん
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……? なんだ?
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大事な話があるんだ。
少し時間をくれないか
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あとにしてくれないか?
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えむ

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え?
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もう少しで掴める気がするんだ
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あと少しで——背中を押せる
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司くん、それは——!
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話しかけないでくれ
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頼む
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寧々

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……!
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(……司くんの言うことは、わかる)
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(役に入り込む感覚を掴みかけてるなら、集中したいだろう。
だが——)

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えむ

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——司くん!!
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えむ

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——忘れないよ!!
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………………え?
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えむ

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大事な人に忘れられて……
自分で殺さなきゃいけなくて……
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えむ

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悲しいこととか、苦しいこととか、
何回も考えなきゃいけなくて……!
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えむ

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今ずっとその中にいる司くんは
すっごくすっごく辛いと思うんだ
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えむ

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……でも、覚えててほしいんだ
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えむ

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あたし達は忘れない!

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えむ

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司くんのこと、何があっても絶対絶対、
ず~~~~っと覚えてる!!
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えむ

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だから司くんも、どんな演技してても——
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えむ

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胸の奥では、あたし達がついてるってこと、
絶対絶対覚えてて!
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…………!
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……えむ……
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……僕達も同じ気持ちだ。司くん
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今の司くんにとっては邪魔な言葉だと思って、
呑み込んでしまっていたけれど……言わせてくれ
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僕達はいつもそばにいる。
君のことを考えている
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司くんが、そうしてくれたようにね
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寧々

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——うん
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寧々

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それがちゃんとわかったら——
思いっきりやってきて
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あ……
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(オレ、は……)
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……………………すまん
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演技にのめりこみすぎていたようだ
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だが……お前達のおかげで頭がクリアになった。
久しぶりに、息が吸えたような気持ちだ
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——ありがとう
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えむ

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それじゃあ、最後の練習のために、あれやろうっ!
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寧々

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ふふ、そうだね。
じゃあ司、言ってよ
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む? オレがか?
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ああ、たまにはいいだろう?
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ではいくぞ!
——わんわん~……
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司・えむ・寧々・類

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『わんだほ~い!!』
公演最終日

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(……いよいよ、最終日か)
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(結局、榊さんの課題を完全にやりきれたとは言えない。
だが——)
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(気持ちは落ち着いている)
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(……ウィリアムには、父親としての愛情と、
それゆえの狂気——光と闇がある)
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(そのせめぎあう様を、
ここにいる全員に見てもらおう)
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(そして最後は——)

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???

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——司くん
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準備はできているかい?
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ああ!
それではお前達——いよいよラストだ!!
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——ここにいる全ての人を、笑顔にするぞ!!
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えむ・類・寧々

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『うん!』
『ああ!』
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場内アナウンス

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——それでは、ワンダーランズ×ショウタイム
『Parade to Heaven』、開演です

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ウィリアム

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『な、なんだこのお祭り騒ぎは……!
本当にここは天国なのか?』
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子供の神使

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『もちろん!
この世のあらゆる楽しみがあるのが天国ですから!
あ、あなたは何が好きですか?』
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子供の神使

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『世界で一番おいしいごはんだって、思う存分味わえます!
あとあと、地上に落ちる雷をジェットコースターにして
遊べちゃったりもしますよ!』
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ウィリアム

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『そ、それは本当に楽しいのか!? 死ぬだろう!』
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子供の神使

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『何を言ってるんですか!
あなた、もう死んでるんですよ~?』

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アメリア

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『ごめんなさい、お父さん……』
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ウィリアム

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『……クソ……!
声もアメリアに届かないとは……』
68

子供の神使

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『ん~、うわさによると、大神使さまなどの力を借りるか、
もしくはすごく強い想いがあれば、
生きてる人にも声が届くらしいんですけど……』
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ウィリアム

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『すごく強い想い……それなら、やれるかもしれない!
アメリア、オレだ……そばにいるぞ……!
あれは不慮の事故だ。恨んでなどいない……!』
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犬の声

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『バウッバウッ!』
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ウィリアム

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『うわあ! 隣の家の犬が吠えてきたぞ!』
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子供の神使

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『あ、そうそう。犬とかの感覚の優れた生き物は
たま~に死者の声もキャッチできるらしいですよ』
73

ウィリアム

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『うう……!
犬に届いても意味がないというのに……』

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(……いいぞ!
ここまでは完璧だ……!)
75

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そして次は——
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大神使の声

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『……よし。
次は——あのウィリアムという男だね』
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大神使の声

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『天国から抜け出すなんて地獄に落とされても仕方のない悪行だ。
しかし……一度天国に来た人間は、あの手を使わないかぎり
生まれ変わるまで地獄に落とせない……』
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大神使の声

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『——なら、自分から行きたくなるようにしようじゃないか』
79

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——行ってやるぞ。地の果てまでも!
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