翌日
乃々木公園
1

冬弥

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……今のところ、落ち着いて話せているようでよかったです
2

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ああ。守屋さんも、まずは間島さんの話を聞くと
言ってくれていたしね
3

咲希

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このまま仲直りできるといいけど……
4

瑞希

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そうだね……
5

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(……青柳くんのおかげで会話する機会は作れたけれど——)
6

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(果たして、上手くいくかどうか……)

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7

間島

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……私、小学生の頃は気が弱くて
那奈ちゃんくらいしか友達がいなかったんです

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8

間島

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バレーに誘ってもらえたの、本当に嬉しかったな……
9

間島

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今も、一緒にいたいからバレーをしてるっていうか……
10

冬弥

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……おふたりにとってバレーは、
かけがえのない繋がりなんですね
11

間島

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はい……。でも、スポーツ特待生を受けたら、
きっと大学は別々になってしまうから……それが、嫌で……
12

間島

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でも……特待生のことちゃんと相談してたら、
こんなことにならなかったのかな……
13

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(……間島さんは、
何よりも守屋さんと一緒にいたいと思っている)
14

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(だが、守屋さんは……)
15

守屋

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——小さい頃からずっとバレーが大好きで……
憧れの選手が在籍してた私大の強豪チームに行きたいって
ずっと思ってたの
16

守屋

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でも学費が大変で……。
行けるとしたら、スポーツ特待生しかなかったんだけど
私は、出願条件を満たせてなくて……
17

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そんな中、間島さんに特待生の話が来たんですね
18

守屋

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すごく悔しかった……。
でも、律が頑張ってるのずっと見てたから……
19

守屋

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だから、おめでとうって伝えようとしたんだけど
あの子、特待生を断ってて——
20

守屋

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きっと、私のせいなの……
21

咲希

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守屋先輩……
22

守屋

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『そんなことしないで』、『ちゃんと自分の将来を考えて』って
いろいろ言いたかったんだけど……
23

守屋

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そんなことさせちゃった自分が、情けなくて……
それで八つ当たりまでして……
24

守屋

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こんなだから、選ばれなかったし、
相談だってしてもらえなかったんだね……
25

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(お互い、思っていることを
素直に伝えられるといいのだけれど……)
26

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(……難しいかもしれない)
27

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(あのふたりはまだ、
自分の感情にまっすぐ向き合えていないようだから)
28

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(あの時の、僕のように——)

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29

冬弥

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……神代先輩? どうかしたんですか?
30

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いや、なんでも——
31

守屋の声

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——やめてよ! なんでそんなに律が謝るの!?
32

間島

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だって、私が何も相談しないで
特待生断るって決めちゃって……
33

間島

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でも、私だって将来のことはちゃんと考えたの。
それで出した答えだっていうのはわかってほしくて——!
34

守屋

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…………っ!
35

瑞希

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……だいぶヒートアップしてるけど、大丈夫かな
36

守屋

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……本当にちゃんと考えたの?
だって、特待生だよ!?
37

間島

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わかってるよ。
でも、私はそれでも——
38

守屋

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私は——!
あんたが思ってるような人間じゃないの!
39

守屋

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特待生の話を聞いた時からずっと……!
ずっと、あんたのことムカついてたんだから!
40

間島

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え……
41

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……止めたほうがよさそうだ
42

守屋

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私がバレーに誘ったのに!
背だって中学までは私の方が高かったのに!
エースだって最初は私だったのに……!
43

間島

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あ……。
なな、ちゃん……
44

守屋

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あんたの努力だってわかってるのに、
そう思わずにいられないの……!
45

守屋

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わかったでしょ!
私は、あんたが思うような人間なんかじゃないって!

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46

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——守屋さん、間島さんも!
一旦落ち着こう
47

瑞希

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守屋先輩、なんとか落ち着いたよ。
もう少し休んでから帰るって

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48

咲希

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……間島先輩は、大丈夫ですか?
49

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だいぶショックを受けていたみたいだ。
自分のことで、守屋さんをあんなにも苦しめていたなんて、と
50

咲希

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……本当に、守屋先輩のことが大事なんだね……
51

瑞希

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それは……守屋先輩だって同じはずなのに……
52

冬弥

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難しいな……
53

冬弥

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今回のことで、言えずに抱えてしまっていた想いは、
お互い言えたとは思うが……
54

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……たしかに、あの気持ちを抱えたまま仲直りというのは
無理だっただろうね
55

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……だからこそ、濁ってしまったかもしれない
56

咲希

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濁る……?
57

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……ああ。一見、綺麗に澄んでいるように見える水でも、
水底の土が舞うと見通しが悪くなるだろう?
58

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それと同じで、例えば誰かとぶつかり合って、
心が揺さぶられると、いろいろな感情が入り乱れる——
59

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その感情が濁りとなって見失ってしまうんだ……。
自分にとって、一番大切なはずの想いをね
60

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その挙句、虚勢を張って、向き合うことを諦めて——
誰にも傷つけられない、ひとりの世界に逃げようとする
61

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……そういうことがあるんだよ
62

冬弥

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……神代先輩。それは——

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63

KAITO

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『みんな、いるかい!?』
64

KAITO

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『大変だよ! セカイにある木が急に光り出したんだ!』
65

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え?
???のセカイ
66

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……木に触れたら、また来られた
67

瑞希

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ね! 前に試した時は、
うんともすんとも言わなかったのに……!
68

咲希

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……あっ! カイトさん!

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69

KAITO

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みんな! ちょうどよかった!
想いの欠片が大変なんだ!
70

KAITO

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実はついさっき、
急に光り出してまたお互いぶつかり合って……!
71

瑞希

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え、それって……
72

KAITO

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なんとかおさまったみたいなんだけど、
どっちも大きなヒビが入ってしまって、このままじゃ……
73

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……カイトさん、実は——
74

KAITO

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……なるほど。
そっちではそんなことがあったんだね

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75

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すみません。
カイトさんにも、事前に相談できていれば……
76

KAITO

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仕方がないよ。
ここはまだ、自由に来られるわけじゃないし
77

咲希

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でも……これからどうすればいいのかな
78

瑞希

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……また先輩達で話すっていうのは、かなり厳しそうだよね
79

冬弥

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……あの、神代先輩
80

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なんだい?
81

冬弥

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……ここに来る前の、
心が濁るという話についてですが……
82

冬弥

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先輩は、似たような状況を
どこかで見たことがあるんでしょうか?
83

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…………
84

冬弥

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あ……すみません、今のは……
85

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いや、気にしなくていいよ。
僕も参考になるかもしれないと思って話したことだからね
86

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少し長くなるかもしれないけど、聞いてくれるかい?
87

冬弥

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……はい
88

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……あれは、中学2年の頃だったかな

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89

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当時の演劇部の部長に、『君のゲリラショーを見て感動した。
ぜひ一緒に劇をやらないか』って誘われたことがあるんだ
90

瑞希

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え……そんなことあったの?
91

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ああ。瑞希と知り合う前だよ
92

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けれど……正直からかわれているんだと思っていたな
93

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自分で言うのもおかしいけれど、
当時の僕はまったく周りに馴染めなくて浮いていたんだ
94

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それこそ司くんのような変わり者じゃないと
声をかけようなんて思わないくらいにはね
95

冬弥

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……しかし、今の神代先輩からはあまり想像がつきません
96

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フフ。僕の中学時代を知っている瑞希としてはどうだい?
97

瑞希

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え? まあ、あの頃の類はたしかにヤバかったかも……
98

瑞希

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特に衝撃的だったのは……あ、血の池事件かな!
99

咲希

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ち、血の池!?
100

瑞希

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プールの水を真っ赤にして、人体模型を浮かせたんだよ。
で、見つけた用務員さんがびっくりして転んで
腰痛めちゃったんだ
101

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アイディアが浮かんだら試さずにはいられなくてね。
そんな突拍子もない人間は、浮かない方がおかしいだろう?
102

冬弥

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……ですが、さっき言ってた演劇部の部長さんは
声をかけてくれたんですよね?
103

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…………ああ
104

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彼は、僕が路地でやっていたゲリラパフォーマンスも
何度か見てくれていたんだ
105

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話すうちにショーへの熱意も本物だと感じた。
だから、脚本と演出で協力することになって
アイディアもいくつか出したんだけど……
106

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……もともとの脚本担当と演出担当が反発したんだ。
『こんなのできるわけない』『みんなも怖がる』ってね
107

咲希

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え……

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108

演劇部部長

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——神代くん、待って!

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109

演劇部部長

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ふたりのこと、本当にごめん!
操り人形のシーン、神代くんのアイディアがあれば
もっと面白くできるって、説得したんだけど……
110

中学生の類

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……その様子だと、難しかったようですね
111

演劇部部長

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…………
112

中学生の類

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……別に構いませんよ。皆さんが使わないなら、
いつかどこかで、自分でやればいいだけですから
113

演劇部部長

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あ、待って! 本当に役者を吊り上げたり、
ロープを引っ張って操るっていうのは難しいかもしれないけど、
それに限りなく近づける方法を探さないかい?
114

演劇部部長

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あのふたりだって、最高のショーにしたいって
本当は思ってるはずなんだ
115

演劇部部長

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だから、もう一度説得して——
116

中学生の類

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いいえ、必要ありません
117

中学生の類

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たとえ説得に成功しても、
きっとこのショーは上手くいかない——
118

中学生の類

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最高のショーを作るには、
同じ熱量を持った仲間が必要ですから
119

中学生の類

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……先輩なら、わかりますよね
120

演劇部部長

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…………
121

中学生の類

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では、失礼します

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122

演劇部部長

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あ……神代くん!
123

中学生の類

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(やっぱり、こうなるんだな……)
124

中学生の類

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(……まあいいさ。今まで通り、ひとりでやればいい)
125

中学生の類

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ショーをやる方法なんて、いくらでもある。
もし共演者が必要なら、いっそ自分で作ればいい
126

中学生の類

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……ああ、そうだ。そうしよう……
127

中学生の類

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(ドローンやロボットなら、何も言わない。
ただ僕の意思に従ってくれる)
128

中学生の類

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(…………もう、それでいい)
129

冬弥

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そんなことが……
130

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……今だから素直に認められるけれど、
あれは、ただの強がりだったよ
131

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僕はずっと、誰かと一緒にショーを作りたかった——
132

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僕の演出を受け入れてくれる仲間が、
ずっとほしかったんだ
133

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それ以来、しばらくずっとひとりでショーをしていたよ。
——とある、未来のスターに出会うまでね
134

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……長々と話してしまったけれど、
僕が言いたいことはひとつだ
135

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さまざまな感情が渦巻く中から
自分ひとりで本当の気持ちを拾い上げるのは難しい
136

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でも、ひとりじゃなければ——
137

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誰かの助けがあれば、濁ってしまった心の底から、
本当の気持ちをすくい上げることができるかもしれない
138

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もちろん、簡単なことではないけれどね

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139

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今のは……
140

咲希

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想いの欠片が光ったよ!?
しかも、両方とも……!
141

KAITO

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……そうか
142

KAITO

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なんでこのセカイに想いの欠片達が現れたのか
ずっと不思議だったけど——
143

KAITO

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みんななら、諦めずに手を差し伸べてくれるって
思ったからかもしれないな
144

瑞希

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ボク達、なら……
145

KAITO

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うん。ここにいる全員が、
“かけがえのない誰かとの絆”を持っているからね

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146

冬弥

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……そうですね。
もしそうなら、欠片の気持ちにも応えたいです
147

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(……欠片の気持ち、か)
148

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ひとつ、カイトさんに聞きたいんだけど——
149

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ふたりの言い合いが欠片に影響したように
欠片への働き掛けも、現実世界のふたりに影響を与えられる……
そう思ってもいいかな?
150

KAITO

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そうだね。
持ち主から欠片に対して程、大きくはないだろうけど
151

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……だったら、手はありそうだ
152

瑞希

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いい作戦でも思いついたの?
153

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まあね
154

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僕にひとつ……いや、正確にはふたつだけれど、
考えがある
155

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——現実、そしてセカイの両方から
アプローチをかけるんだ
156

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あのふたりが、一番大切にしたい気持ちに気づけるようにね
157

冬弥

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現実と……
158

KAITO

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セカイから……
159

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それには全員の協力が必要だ。
どうか、力を貸してほしい
160

瑞希

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もう、改まって何言い出すかと思ったら……
161

瑞希

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どうせならハッピーエンドになってほしいし、
なんでも手伝うよ!
162

咲希

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アタシも!
163

KAITO

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もちろん、僕も。
だから、遠慮なく考えを聞かせてほしいな
164

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……わかった
165

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では、順番に話すよ。まずひとつ目だけれど——
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