???
類
………………
類
…………もっと……
類
……もっと、だ…………
類
もっと、観客の目を引くような……
笑顔にできるような……
笑顔にできるような……
類
そんな、演出を——
???
だから……いっぱいいっぱいいっぱい考えたほうがいいって思う!
今の類くんのためにも、未来の類くんのためにも!
今の類くんのためにも、未来の類くんのためにも!
???
そうじゃないときっと——笑顔になれないよ!
類
…………っ!
類
(…………僕は、今……何を…………)
類
(これは……演出のメモ?)
類
…………
類
そうか……。
さっき、何か声が聞こえた気がしたけど——
さっき、何か声が聞こえた気がしたけど——
類
また僕は、演出の改良案をメモしているうちに
眠ってしまったのか
眠ってしまったのか
類
(THE CENTER THEATREに来て
色々な経験を積んだけれど……演出家として、僕はまだまだだ)
色々な経験を積んだけれど……演出家として、僕はまだまだだ)
類
(——こんなところで、居眠りしているわけにはいかない)
類
(最後にとっていたメモは……
ああ、あった。これだ)
ああ、あった。これだ)
類
(……うん。床下の移動を使った演出を
考えているところだったな)
考えているところだったな)
類
(ここで主人公は、国王と対峙すると同時に
自国を裏切る決意を固める。それなら——)
自国を裏切る決意を固める。それなら——)
類
(登場の瞬間、ライティングを工夫すれば
もっと観客を引き込むことができそうだ)
もっと観客を引き込むことができそうだ)
類
悲劇的な場面だから、影を作って
役者の表情が見えなくなるタイミングを
いくつか作る……
役者の表情が見えなくなるタイミングを
いくつか作る……
類
照明の切り替えを会話のテンポに合わせることで、
観客の想像をよりかき立てるようにして——
観客の想像をよりかき立てるようにして——
???
——類
旭
ここにいたんだな。
……また、演出を考えてたのか?
……また、演出を考えてたのか?
類
旭さん……?
今日は、もう帰ったはずじゃ——
今日は、もう帰ったはずじゃ——
旭
やっぱり忘れてたのか。
今日は練習のあと、パーティーだって言われてただろ?
今日は練習のあと、パーティーだって言われてただろ?
類
パーティー……?
類
——————あ
数分後
アークランドのキャストA
それじゃあ、
主役のふたりも来たところで——
主役のふたりも来たところで——
アークランドのキャストA
旭と神代くんの、アメリカのアークランド行きを祝って……
乾杯っ!
乾杯っ!
みんな
『乾杯!』
アークランドのキャストB
いやあ、まさか主役がそろって遅刻するとはな
類
すみません。僕が演出の改良案を考えるのに
没頭してしまって……
没頭してしまって……
アークランドのキャストA
本当、神代くんは暇さえあれば
ずっと舞台裏で演出を考えてるよなあ
ずっと舞台裏で演出を考えてるよなあ
旭
そうそう! 演出のことになると、
食事も睡眠もおろそかになるしさ。けど——
食事も睡眠もおろそかになるしさ。けど——
旭
それだけ本気で打ち込んでるからこそ、
今回、アメリカ行きの話がきたんだろうな
今回、アメリカ行きの話がきたんだろうな
類
……そうなのかな
類
正直、まだ実感がわかないというか……
本当に、僕でいいのかという気持ちもあるよ
本当に、僕でいいのかという気持ちもあるよ
アークランドのキャストC
ふふ。THE CENTER THEATREに来たのだって、
ほんの何カ月か前だもんね
ほんの何カ月か前だもんね
アークランドのキャストA
でも、神代くんの演出は
THE CENTER THEATREでもすごく好評だったし、
声がかかるのも納得だよ
THE CENTER THEATREでもすごく好評だったし、
声がかかるのも納得だよ
旭
この前の、アメリカのアークランドのチームとの合同公演が
決め手だったみたいだな
決め手だったみたいだな
旭
全キャスト宙吊りからの、本物の水を使った巨大な滝の演出で
かなり注目を集めたみたいだし、納得だよ
かなり注目を集めたみたいだし、納得だよ
アークランドのキャストB
ああ! あの演出、すごく面白かったもんな
アークランドのキャストB
最初に演出案を聞いた時は、
本当にできるのかってちょっとだけ思ったけど……
オレ達も演じてて楽しかったよ!
本当にできるのかってちょっとだけ思ったけど……
オレ達も演じてて楽しかったよ!
類
フフ。そう言ってもらえて、とても嬉しいです
類
あのショーは、僕が今までやってきたショーの
全てを詰め込んだ、集大成のようなものだったので
全てを詰め込んだ、集大成のようなものだったので
旭
集大成か……たしかに、それに相応しい
わくわくする演出だったな!
わくわくする演出だったな!
旭
——この先も、
どんな演出を見せてくれるのか楽しみだ
どんな演出を見せてくれるのか楽しみだ
アークランドのキャストB
よーし、それじゃあここで
オレ達から花束の贈呈だ! ——ほら!
オレ達から花束の贈呈だ! ——ほら!
類
花束……?
類
ありがとうございます。
こんなに盛大にお祝いしてもらえるなんて……
こんなに盛大にお祝いしてもらえるなんて……
アークランドのキャストC
何言ってんの。仲間の実力が認められたんだから、
これくらい当たり前でしょ
これくらい当たり前でしょ
旭
あはは。嬉しいこと言ってくれるね!
アークランドのキャストD
おーい、ふたりとも!
こっちでスタッフ達が、挨拶したいってさ!
こっちでスタッフ達が、挨拶したいってさ!
アークランドのキャストB
お、呼ばれてるぞ。早く行ってこい!
旭
……大丈夫か?
類
え?
旭
なんだか、かたい顔してるなと思ってさ。
ずっと気を張ってるっていうか
ずっと気を張ってるっていうか
旭
俺の気のせいならいいんだけど、
もし無理してるのなら——
もし無理してるのなら——
類
ああ、いや——心配させてしまってすまない
類
僕なら大丈夫だよ。
少し、力が入ってしまっているだけだ
少し、力が入ってしまっているだけだ
類
向こうで僕達が所属するBrillia Stageは、
優秀な若手役者や演出家をスカウトしていると聞くからね
優秀な若手役者や演出家をスカウトしていると聞くからね
類
僕の演出が、どこまで通用するかと思って
類
でも——
類
そんなメンバーの中で、
どういうショーができるか……今からとても楽しみだよ
どういうショーができるか……今からとても楽しみだよ
旭
それなら——そこに俺達が加わるんだから、
もっと最高の劇団になるな!
もっと最高の劇団になるな!
旭
類と一緒なら、どんな場所でもきっと
最高のショーが作れる。だから——
最高のショーが作れる。だから——
旭
アメリカでもよろしくな、類!
類
旭さん……
類
ああ。世界でも指折りのショーをするというBrillia Stage……
そのステージを期待するお客さんは、たくさんいる
そのステージを期待するお客さんは、たくさんいる
類
THE CENTER THEATREで多くのお客さんに
笑顔を届けたように——
笑顔を届けたように——
類
アメリカでも、
共にいいショーをしよう
共にいいショーをしよう
類
(アークランドは世界各地にあるけれど……
そのなかでも、やはり本国で上演されるショーのレベルは
頭ひとつ抜けている……)
そのなかでも、やはり本国で上演されるショーのレベルは
頭ひとつ抜けている……)
類
(僕の実力が、どこまで通用するかは未知数だ。
けれど——)
けれど——)
類
(どんな垣根も越えられるショーを作る……
その夢を叶えるために、進んでいかなくては)
その夢を叶えるために、進んでいかなくては)
類
(あの時、僕を送り出してくれた
みんなのためにも——)
みんなのためにも——)
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