フェニックスワンダーランド
司
フェニックスワンダーランドで送別会とは、
えむも粋なことを考えたものだな
えむも粋なことを考えたものだな
寧々
わたし達の始まりの場所だもんね
寧々
今日はえむがプランを考えてくれてるって言ってたけど、
どんな感じなんだろう……
どんな感じなんだろう……
類
——やあ、待たせてすまないね
ネネロボ
集合時間、7分前の到着デス
司
おお、類……と、ネネロボ!?
寧々
類、ネネロボ連れてきてくれたんだ
類
久しぶりに4人が揃う機会だからね。
ネネロボも、みんなに会いたいかと思って
ネネロボも、みんなに会いたいかと思って
ネネロボ
ハイ。皆サンに会エテ嬉シイデス
寧々
そっか……今日はみんなで楽しもうね、ネネロボ
司
これであとは、えむだけだな。
あいつに限って、遅刻などはしなさそうだが——
あいつに限って、遅刻などはしなさそうだが——
類
おや、もしや……噂をすればというやつかな?
寧々
そうみたいだね。えっと……
寧々
『トラブルで、ちょっと遅れちゃうかも』……?
寧々
時間かかりそうだから、
先に遊んでてって言ってるけど……
先に遊んでてって言ってるけど……
寧々
トラブルって、どうしたんだろう
類
続けてメッセージがきているね。
……どうやら、ワンダーステージで何かあったみたいだ
……どうやら、ワンダーステージで何かあったみたいだ
司
ステージでのトラブルか……
それなら、えむが駆り出されてしまうのも仕方ない
それなら、えむが駆り出されてしまうのも仕方ない
司
しかし……大丈夫だろうか
司
どんなトラブルかはわからんが、
もしショーが中止になるような事態であれば……
もしショーが中止になるような事態であれば……
寧々
…………何か、力になれないかな
寧々
わたし達が行っても、
邪魔になっちゃうだけかもしれないけど。でも——
邪魔になっちゃうだけかもしれないけど。でも——
類
……そうだね。詳しい内容はわからないけれど、
もしかしたら、僕達に手伝えることもあるかもしれない
もしかしたら、僕達に手伝えることもあるかもしれない
類
一度、えむくんのところに行ってみようか
司
ああ、そうだな!
ワンダーステージ
えむ
——わかりました。
フェニックスステージのスタッフには、
私から連絡しておきます
フェニックスステージのスタッフには、
私から連絡しておきます
スタッフ
すみません、よろしくお願いします!
えむ
(……あと連絡できてないステージは——)
寧々
——えむ!
えむ
み、みんな……!?
司
ステージでトラブルとは……一体何があったんだ?
えむ
あ、えっと……実は、ワンダーステージのキャストさん達が
出張公演に行ってたんだけど……
出張公演に行ってたんだけど……
えむ
朝に乗るはずだった飛行機が、
キャンセルになっちゃったらしくて。
今日のショーに、間に合わなさそうなんだ
キャンセルになっちゃったらしくて。
今日のショーに、間に合わなさそうなんだ
ネネロボ
今朝は、一部地域で天気が荒レテイタヨウデス
寧々
でも、キャストが間に合わないって……どうするの?
えむ
今、他のステージのキャストさんに
代役を頼めないか調整してるところだよ。でも……
代役を頼めないか調整してるところだよ。でも……
類
……あまり、うまくいってないようだね
えむ
うん……。みんな、自分のステージの公演があるし。
それに、練習する時間もあんまりないから
それに、練習する時間もあんまりないから
えむ
中止も考えたんだけど、
ワンダーステージでのショーを楽しみにしてくれてる
お客さんはたくさんいるから、それはしたくないなって
ワンダーステージでのショーを楽しみにしてくれてる
お客さんはたくさんいるから、それはしたくないなって
司
……なるほどな
司
……ステージを見る限り、
今回の舞台は森のようだな
今回の舞台は森のようだな
類
そうみたいだね。
えむくん、今ある小道具を
少し見せてもらってもいいかな?
えむくん、今ある小道具を
少し見せてもらってもいいかな?
えむ
う、うん。こっちにあるけど……
寧々
衣装は、ここにあるので全部みたいだね
類
ああ、僕達がいた頃のものも
いくつかあるね
いくつかあるね
類
道化師のステッキに、錬金術師で使えそうなマント……。
……とても綺麗に保管されている
……とても綺麗に保管されている
類
——うん。
これなら……あの演目ができそうかな
これなら……あの演目ができそうかな
えむ
え?
司
おお、オレもちょうど今
ひとつ思いついたところだ!
ひとつ思いついたところだ!
寧々
わたしも
えむ
ど、どういうこと? 演目って……
司
——えむ。オレ達にショーをやらせてくれ!
司
幸い、オレ達はこのステージでショーをすることに慣れている
司
それに、今ある道具と衣装でなら
“あのショー”ができるしな
“あのショー”ができるしな
えむ
あのショー?
司
ああ。元々やったことのある演目で、この4人で演じるなら……
練習も短時間で済むだろう
練習も短時間で済むだろう
司
むしろ、オレ達以上に適任な助っ人は
いないのではないか?
いないのではないか?
えむ
で、でもでも、みんなには
フェニックスワンダーランドを楽しんでもらうために
来てもらったのに——
フェニックスワンダーランドを楽しんでもらうために
来てもらったのに——
類
それなら問題ないんじゃないかな
寧々
そうだね
寧々
みんなでショーをする以上に
楽しいことなんて、ないんだし
楽しいことなんて、ないんだし
司
それに……ショーを待っている観客がいるのだろう
司
なら、観客を笑顔にすることを第一に考えるべきだ。
オレ達は、そのためにステージに立っているのだからな!
オレ達は、そのためにステージに立っているのだからな!
寧々
……手伝わせてよ、えむ
寧々
わたしも久しぶりに、みんなとやりたい
ネネロボ
ネネロボも、オ手伝イシマス
えむ
みんな……
えむ
うんっ。ありがとう……!
司
よーし!
そうと決まれば早速、準備開始だっ!
そうと決まれば早速、準備開始だっ!
数時間後
観客達
今日、ワンダーランズ×ショウタイムのショーが
見られるって本当……!?
見られるって本当……!?
観客達
うん! なんか急に決まったみたいだけど……
またあの4人のショーが見られるなんて、楽しみだな!
またあの4人のショーが見られるなんて、楽しみだな!
寧々
……お客さん、増えてきたね
司
ああ——胸が高鳴るな
司
再びこの場所で……この4人で。
ステージに立つ日が来るとは
ステージに立つ日が来るとは
類
……そうだね
えむ
えへへ、楽しみだなあ……!
えむ
みんなで、
お客さんをいーっぱい笑顔にしちゃおうね☆
お客さんをいーっぱい笑顔にしちゃおうね☆
司
よし、そろそろ開演の時間だな。
各々スタンバイを——
各々スタンバイを——
???
ハロー、えぶりわ~ん♪
今夜のショーは、みんなが笑顔になるスペシャルショーだよ~♪
今夜のショーは、みんなが笑顔になるスペシャルショーだよ~♪
???
さあみんな、お客さんを笑顔にする準備はいいかい?
寧々
え、今……
類
寧々にも聞こえたかい。
さっきのは一体……
さっきのは一体……
えむ
わからないけど……なんだか元気が出るっていうか、
応援してくれてるみたいな声だったね☆
応援してくれてるみたいな声だったね☆
司
——ああ!
ショーへの活力がみなぎってくる声だったことに違いはない!
ショーへの活力がみなぎってくる声だったことに違いはない!
司
この不思議な現象も、
最高のショーのための力にしようではないか!
最高のショーのための力にしようではないか!
司
よーし、それでは改めて——
司
ワンダーランズ×ショウタイムの公演、スタートだ!
ネネロボ
『アルトコロに、ヘンテコな旅の一座がイマシタ。
一座にイルノハ、目立チタガリヤな座長に』
一座にイルノハ、目立チタガリヤな座長に』
ネネロボ
『話を聞カナイ道化役者』
ネネロボ
『人前で歌が歌エナイ歌姫』
ネネロボ
『ソンナメンバーナノデ、
一座がショーをシテモ、オ客サンはナカナカ集マリマセン』
一座がショーをシテモ、オ客サンはナカナカ集マリマセン』
ネネロボ
『……ケレドソンナアル日、一座は偶然、
森の中で一人ショーをスル錬金術師に出会イマシタ』
森の中で一人ショーをスル錬金術師に出会イマシタ』
子供達
あはは。本当にヘンテコな人ばっかりだ!
子供達
どんなお話になるんだろう……!
司
(これは、オレ達にとって始まりのショーだ)
司
(このショーで互いの想いをたしかめ合えたからこそ、
オレ達はともに成長し、ステージに立つことができた……)
オレ達はともに成長し、ステージに立つことができた……)
司
(今だけは、あの時のように。
演じて、歌って——笑顔でいっぱいにしようではないか)
演じて、歌って——笑顔でいっぱいにしようではないか)
司
(オレ達の大切な……この、ワンダーステージを!)
座長
『……だがお前は、森の中で美しい声を響かせていただろう?
なぜ今は歌わない』
なぜ今は歌わない』
歌姫
『あ、あれは、周りに誰もいなかったからで……』
座長
『ええい、うるさい!
とにもかくにも、一度歌えと言っているんだ!
お前の評判は、すでに村で聞いているんだからな!』
とにもかくにも、一度歌えと言っているんだ!
お前の評判は、すでに村で聞いているんだからな!』
歌姫
『う……き、きっと、うまく歌えない。けど……』
歌姫
『……わたしも、変われるのかな』
寧々
(……初めて演じた時は、あんなに足が震えてたのに)
寧々
(今はもう、ステージに立つのも全然怖くない)
寧々
(変われたのは、きっと——みんながいてくれたから)
寧々
(みんなと一緒に、たくさんのステージに立てたから……!)
歌姫
『——————……♪』
観客達
わ……綺麗な歌声……
類
(……本当に、美しいな)
類
(寧々がどれほど歌に力を入れてきたのかが、よくわかる)
類
(寧々だけじゃない。司くんの演技も研ぎ澄まされていて……
ふたりの、役者としての成長には本当に目を見張る)
ふたりの、役者としての成長には本当に目を見張る)
類
(フフ。それなら——)
類
(演出家である僕が、役者に応えないわけにはいかないね——!)
錬金術師
『このままじゃ、遠くまで歌を響かせるのは難しそうだ。
歌姫には、何かカラクリを作るとして……』
歌姫には、何かカラクリを作るとして……』
錬金術師
『君のほうはどうなんだい?
座長ということなら、得意分野のひとつやふたつあるだろう。
たとえば……』
座長ということなら、得意分野のひとつやふたつあるだろう。
たとえば……』
錬金術師
『このドラゴンのカラクリと戦うシーンを
やってみるのはどうだい?
面白いショーが作れるかもしれないよ』
やってみるのはどうだい?
面白いショーが作れるかもしれないよ』
道化
『おお! 冒険のお話とか、いろいろ作れそう☆』
座長
『お安いご用だ! オレの華麗な舞を
とくと見るといい!
……うおおおおおおおおおおお!!』
とくと見るといい!
……うおおおおおおおおおおお!!』
子供達
わわわ、すごいすごい……!
子供達
ぴょぴょーんって、ジャンプして
一瞬であっちまで行っちゃった!
一瞬であっちまで行っちゃった!
寧々
(……すごい。もともと、アクロバットな動きが
得意そうではあったけど、ここまでのキレはなかった)
得意そうではあったけど、ここまでのキレはなかった)
類
(下にジャンプ台を用意していたとはいえ……
あの身のこなしは素晴らしいね)
あの身のこなしは素晴らしいね)
類
(ただ闇雲に高く飛び上がるのではなく、
空中での姿勢、着地にかけてのダイナミックな動きで——
瞬時に観客を惹きつけた)
空中での姿勢、着地にかけてのダイナミックな動きで——
瞬時に観客を惹きつけた)
えむ
(えへへ、ワンダーステージが
笑顔でいっぱいだなあ……!)
笑顔でいっぱいだなあ……!)
えむ
(寧々ちゃんの歌も、司くんの演技も
類くんの演出も、あの頃みたいで——)
類くんの演出も、あの頃みたいで——)
えむ
(ううん。あの頃よりも〜〜っとワクワクで……)
えむ
(——すごく、楽しいな……!)
座長
『ぬおおおおおおおお!!!』
子供達
え……お兄ちゃん、落っこちちゃった……!?
座長
『くそ〜〜! こんなところに落とし穴があったとは……』
座長
『しかし、ペガサス団の座長は
これしきではへこたれん! あの錬金術師が作ってくれた
カラクリで……ジャーーーーンプだ!!』
これしきではへこたれん! あの錬金術師が作ってくれた
カラクリで……ジャーーーーンプだ!!』
子供達
あ、戻ってきた〜!
背中につけてるの、羽かなあ!?
背中につけてるの、羽かなあ!?
類
(フフ。床下の奈落もどきも健在で助かったね)
類
(司くんも、直前で追加した
落ちる演出を見事やってのけてくれたし……
観客の反応も上々だ)
落ちる演出を見事やってのけてくれたし……
観客の反応も上々だ)
座長
『信じてほしい!
今度こそ、みんなをショーで笑顔にする!』
今度こそ、みんなをショーで笑顔にする!』
座長
『……だからもう一度、
オレと一緒にショーをやってくれないか?』
オレと一緒にショーをやってくれないか?』
道化
『それなら、みんなでショーをしようよ!』
道化
『歌姫さんが歌って、座長さんが踊って
錬金術師さんがぱんぱかぱーんって演出をするの』
錬金術師さんがぱんぱかぱーんって演出をするの』
歌姫
『みんなが笑顔に、か……。
それなら、やらない手はないんじゃない?』
それなら、やらない手はないんじゃない?』
座長
『ああ。このペガサス団は、
皆を笑顔にするためにあるのだからな!』
皆を笑顔にするためにあるのだからな!』
えむ
(……やっぱり、みんなとのショーは
わくわくがいっぱいだなあ☆)
わくわくがいっぱいだなあ☆)
えむ
(それに——すごく、きらきらってしてる)
えむ
(お客さんの笑顔も、ワンダーステージも)
えむ
(それって、きっと——)
歌姫
『ほら、道化役者も一緒に踊ろう!』
えむ
一緒に……
道化
『……うん…………!』
えむ
(きっと——みんなと、一緒だからだ)
えむ
(一緒にステージに立って、
隣に、みんながいるから——)
隣に、みんながいるから——)
えむ
(今日はいつもより、ずっとず〜〜っと
きらきらして見えるんだよね……!)
きらきらして見えるんだよね……!)
ネネロボ
『一座のショーにヨッテ、村ニハ
ヒトツ、マタヒトツと笑顔が増エテイキマス』
ヒトツ、マタヒトツと笑顔が増エテイキマス』
寧々
(…………ここが、クライマックス)
司
(この一幕を終えたら、ショーは終わりを迎える……)
えむ
(やだな。終わってほしくない……)
えむ
(でも——!)
類
(だからこそ……今この瞬間を、全力で楽しもうじゃないか)
類
(そして——ここにいるお客さん全員に、
笑顔を届けるんだ……!)
笑顔を届けるんだ……!)
類
(…………ああ、そうだったじゃないか。僕達は——)
寧々
(4人で一緒に……夢を追ってたんだ)
司
(ええい。いろいろと
わからんことだらけだが……今大事なのは、
目の前のショーを完遂すること……!)
わからんことだらけだが……今大事なのは、
目の前のショーを完遂すること……!)
えむ
(みんな、最後まで——楽しもうね!)
ネネロボ
『——ソレカラ4人は、ズウット仲良クショーを続ケマシタトサ』
ネネロボ
『オシマイ』
司
(…………ああ)
司
(本当に、この景色は——)
司
——本日はご来場いただき、
誠に、ありがとうございました!!
誠に、ありがとうございました!!
みんな
『ありがとうございました!』
『アリガトウゴザイマシタ!』
『アリガトウゴザイマシタ!』
晶介
——ったく。
トラブルがあったと聞いて、駆けつけてみりゃあ……
トラブルがあったと聞いて、駆けつけてみりゃあ……
晶介
とんでもない拍手と歓声だな
慶介
ああ。無事にやり遂げることができたようで、
なによりだ
なによりだ
慶介
………………
晶介
兄貴?
慶介
……いや。久しぶりに彼らのショーを見たが——
慶介
やはり……あの4人のショーは素晴らしいと思ってな
晶介
……ああ。そうだな
Next Chapter: 4人だから