数時間後
ホテル前
杏
ふたりとも、遅れてごめん!
エレベーターで財布忘れたことに気づいてさ〜!
エレベーターで財布忘れたことに気づいてさ〜!
彰人
ったく、今から買い物行くってのに……
財布がないと何もできねえぞ
財布がないと何もできねえぞ
冬弥
だが、出発前に気づけてよかった。
全員揃ったし、そろそろ出発するか
全員揃ったし、そろそろ出発するか
こはね
……楽しみだな、フリーマーケット。
ニューヨークで有名なやつなんだよね
ニューヨークで有名なやつなんだよね
杏
うん! SONIC NOTESと
開催期間が被っててラッキーだったよね!
ちょうど、会場の近くだし
開催期間が被っててラッキーだったよね!
ちょうど、会場の近くだし
冬弥
イベントは夜からだから、ゆっくり回れそうだ
冬弥
ミクもあとで見にくると言っていたし、
楽しんでもらえるといいな
楽しんでもらえるといいな
こはね
そうだね。
あ、この角を右に——
あ、この角を右に——
こはね
あれ?
こはね
あの人だかり……なんだろう?
杏
ん〜……音楽が聴こえるけど、誰か歌ってるのかな
彰人
けど、あんなに人が集まるなんて
一体どんなヤツが——
一体どんなヤツが——
???・???
『♪————! ♪————————!』
こはね
(すごい…………)
こはね
(お腹の奥までまっすぐ届くみたいな、力強い声)
こはね
(それに——)
観客達
『——おい、いたぞ! あそこだ!』
観客達
『本当だ。まさか今日あいつらの——
illysの歌が聴けるなんてな……!』
illysの歌が聴けるなんてな……!』
???・???
『♪————————————!!』
こはね
illys……
冬弥
……どうやら、このあたりで有名なチームのようだな
杏
すっごい歌だね……!
ねえねえ、もうちょっと近くで聴いていかない?
ねえねえ、もうちょっと近くで聴いていかない?
彰人
そこまで急ぐ必要もねえしな……
彰人
それに——オレも聴きてえ
???
♪——————……
???・???
『♪————————————』
こはね
(……! 今のユニゾン、すごく難しい入りなのに
ぴったり揃った!)
ぴったり揃った!)
観客達
『やっぱ息合ってるね! さすが、姉妹だな〜!』
観客達
『ばーか。姉妹ってだけで、あんな芸当できるわけねえだろ。
エレナもレベッカも……とんでもねえバケモンなんだよ』
エレナもレベッカも……とんでもねえバケモンなんだよ』
彰人
……すげえな
冬弥
ああ。アメリカでも、
路上で歌うアーティストは数多く見てきた。
だが——
路上で歌うアーティストは数多く見てきた。
だが——
冬弥
これは、別格だ
エレナ
『はー! 歌った歌った〜!
みんな、聴いてくれてありがとね!』
みんな、聴いてくれてありがとね!』
観客達
『おいおい。もう終わりなのか?』
観客達
『もっと聴かせてくれよ〜!』
エレナ
『あはは、ごめんね!』
エレナ
『このあと予定もあるし、
ちょっとだけってベッキーとも約束したから
今日はここまでかな〜!』
ちょっとだけってベッキーとも約束したから
今日はここまでかな〜!』
観客達
『そこをなんとか頼む……!』
エレナ
『うーん、どうしよっかなあ……』
こはね
(今、目が合って——)
エレナ
『……いいこと思いついちゃったかも!
ねえねえ、ベッキー——』
ねえねえ、ベッキー——』
こはね
(な、なんだろう……?
ふたりとも、こっちを見てる気がするけど……)
ふたりとも、こっちを見てる気がするけど……)
レベッカ
『……あ、それはいいかも。
盛り上がって終われそうだし』
盛り上がって終われそうだし』
レベッカ
『でも、あの子がいいって言ったらだからね』
エレナ
『オッケー! じゃ、声かけてくるね!』
エレナ
『ねえ、キミ!』
こはね
『え、私のことですか……?』
エレナ
『そうそう!
朝、路上で歌ってた子だよね?』
朝、路上で歌ってた子だよね?』
エレナ
『——今から、アタシ達と一緒に歌わない?』
杏
……今、一緒に歌わない、って言った?
冬弥
ああ……
こはね
え、えっと……
エレナ
あ、急にごめんね!
アタシ、エレナっていうんだ!
アタシ、エレナっていうんだ!
杏
え……日本語?
エレナ
キミの歌聴いた時、ビビッときちゃってさあ。
一緒に歌えたらな〜って思ってたんだよね!
一緒に歌えたらな〜って思ってたんだよね!
エレナ
ベッキー……あ、えーっと、妹もキミと歌いたいみたいだし。
ね、どうかな?
ね、どうかな?
こはね
あ……
こはね
(どうしようかな……)
観客達
『なんだ? あの子も一緒に歌うのか?』
観客達
『見たことない子だけどなあ……』
こはね
(わ、みんなこっち見てる……!)
こはね
(……ちょっとびっくりしたけど、でも——)
エレナ・レベッカ
『♪————! ♪————————!』
こはね
(ふたりの歌、すごく魅力的だったな。
すごく力強いのに、軽やかで楽しそうで)
すごく力強いのに、軽やかで楽しそうで)
こはね
(一緒に歌ったら、どんな感じなんだろう……)
こはね
……わかりました!
こはね
えっと……みんなごめんね。
ちょっとだけ待っててもらっていいかな
ちょっとだけ待っててもらっていいかな
杏
オッケー!
楽しんできてよ!
楽しんできてよ!
エレナ
ふふ。それじゃ、いっちゃおう!
冬弥
行ってしまったな
彰人
ああ……。
どんな歌、歌うんだろうな
どんな歌、歌うんだろうな
杏
がんばれ、こはねー!
レベッカ
オッケーしてくれてありがとう!
私はレベッカ。ベッキーでいいよ!
私はレベッカ。ベッキーでいいよ!
こはね
小豆沢こはねです。よろしくお願いします!
こはね
(ベッキーさんも、日本語すごく上手だな……)
レベッカ
コハネだね!
同じ歌——は、さすがに歌えないから……
同じ歌——は、さすがに歌えないから……
レベッカ
このビートに合わせて、交互に歌うっていうのはどう?
こはね
はい、大丈夫です……!
エレナ
よし、それじゃ……最後まで楽しもうね♪
こはね
♪————————!
観客達
『おいおい……あの子、大人しそうなのに
すげえ歌歌うじゃねえか……!』
すげえ歌歌うじゃねえか……!』
観客達
『はは。こりゃ、illysのふたりが
どう乗ってくるのか楽しみだ!』
どう乗ってくるのか楽しみだ!』
エレナ・レベッカ
『♪————————! ♪————————!』
こはね
(……! やっぱり、すごい……)
こはね
(聴いてる時も思ったけど——)
こはね
(このふたりの歌、レベルがすごく高い……!)
エレナ・レベッカ
『♪——! ——! ——〜〜〜〜!
♪————〜〜! ——————!!』
♪————〜〜! ——————!!』
こはね
(リズムの取り方も、緩急の付け方も。
すごく複雑なのに、軽く歌ってるみたい……)
すごく複雑なのに、軽く歌ってるみたい……)
こはね
(それだけ、洗練されてるってことなんだ……!)
こはね
(それに——)
エレナ・レベッカ
『♪————————! ♪————————!』
こはね
(ふたりとも、すっごく楽しそう……!)
こはね
(エレナさんも、ベッキーさんも。
本当に、歌うことが好きなんだな……)
本当に、歌うことが好きなんだな……)
こはね
(……でも、わかるな)
こはね
(私も、歌うのが大好きだもん——!)
こはね
♪————————〜〜〜!!
エレナ
『ん〜、いい歌!
アタシ達も、まだまだいっちゃうよ〜!』
アタシ達も、まだまだいっちゃうよ〜!』
エレナ・レベッカ
『♪————————————〜〜〜!』
彰人
……っ! なんつー盛り上がりだよ……!
冬弥
だが、小豆沢も負けていない
杏
いけ、こはね〜〜〜!
エレナ・レベッカ
『♪————————! ♪————————!』
こはね
♪————————————————!
数分後
エレナ
は〜、楽しかった〜!
レベッカ
あんなに盛り上がったの、久しぶりだよね!
こはね
私も、夢中になっちゃいました……!
エレナ
あはは。それならよかった!
レベッカ
君達も、ごめんね。
突然チームメイト借りちゃって
突然チームメイト借りちゃって
冬弥
いや。気持ちのこもった、いい歌を聴かせてもらった
杏
すごくよかったよ!
なんていうかこう、心がぐっと掴まれるっていうか、
揺さぶられるっていうか……
なんていうかこう、心がぐっと掴まれるっていうか、
揺さぶられるっていうか……
彰人
ああ、オレも歌いたかったくらいだ
エレナ
なになに!? めちゃくちゃ褒めてくれるじゃん!
嬉しいな〜♪
嬉しいな〜♪
レベッカ
機会があれば、また歌おうよ。
私達、たまにこのあたりで歌ってるから
私達、たまにこのあたりで歌ってるから
レベッカ
今度は、チームのみんなも一緒にさ
こはね
はい!
エレナ
それじゃ、今日はありがと! またね!
冬弥
……嵐のような人達だったな
彰人
ああ。だが、すげえ歌だった
彰人
特に姉のほうは、なんつーか……
自由に歌ってるって感じで
自由に歌ってるって感じで
杏
ベッキーのテクニックもすごかったよね!
めちゃくちゃ難しそうなところも軽〜く歌ってたし、
私も乗せられちゃったな〜
めちゃくちゃ難しそうなところも軽〜く歌ってたし、
私も乗せられちゃったな〜
杏
こはねも、楽しそうだったしね
こはね
うん! ふたりの気持ちが伝わってきて、
歌ってて楽しくなっちゃった
歌ってて楽しくなっちゃった
冬弥
そうか
こはね
(……また、新しい景色に出会えた気がする)
こはね
(ふたりとも、このあたりで歌ってるって言ってたし
アメリカにいる間に、また会えたら嬉しいな……!)
アメリカにいる間に、また会えたら嬉しいな……!)
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