一歌の部屋
一歌
…………
一歌
…………ダメだ……
一歌
……いいメロディー浮かばないし、
歌詞からって思ったけど、こっちも全然だな
歌詞からって思ったけど、こっちも全然だな
一歌
……やっと、やりたいことを見つけられたのに
一歌
…………
一歌
……みんな、本当にすごいな
一歌
志歩はバンドでプロになって、咲希は部活のエースで
穂波は進学のための準備を始めてて
穂波は進学のための準備を始めてて
一歌
(頑張ってるみんなは、かっこよくて——)
一歌
(やりたいことが見つかったら、
私もあんな風になれるかもって思ったんだけどな)
私もあんな風になれるかもって思ったんだけどな)
一歌
……ミクも、ごめんね。
全然、歌わせてあげられなくて
全然、歌わせてあげられなくて
ミク
………………
一歌
どんな曲にしたいのか、もっとイメージ固めないと
一歌
せめて、テーマが決まれば……ん?
一歌
……天気予報のアプリから通知が来てる。
なんだろ
なんだろ
一歌
これって……!
翌日
宮益坂女子学園 2年A組
一歌
——穂波!
穂波
一歌ちゃん、おはよう
一歌
おはよう! ねえ、今年もそろそろ見れるみたいだよ!
しし座流星群!
しし座流星群!
穂波
ふふ、知ってるよ
穂波
2週間後の土曜日が極大観測日で、
夜7時頃が一番活発になるんだよね
夜7時頃が一番活発になるんだよね
一歌
ちゃんと時間まで知ってるなんて、さすがだね
穂波
気になってつい調べちゃったの
穂波
……懐かしいね。
みんなでバンドをやった帰り道を思い出すな
みんなでバンドをやった帰り道を思い出すな
一歌
ジャングルジムに登って、みんなで見たね
一歌
(……夜の7時か)
一歌
(土曜日だし、もしかしたらみんなで一緒に——)
一歌
ねえ、穂波。
穂波は、今回のしし座流星群見るの?
穂波は、今回のしし座流星群見るの?
穂波
見れたら見たいな……
穂波
でも、2週間後の週末オープンキャンパスがあるの
穂波
ちょっと遠いところだから、
帰りも夜遅くなっちゃいそうで……。
多分、帰り道か電車の中で見ることになるかもなって
帰りも夜遅くなっちゃいそうで……。
多分、帰り道か電車の中で見ることになるかもなって
一歌
そっか……
一歌
(……夜ならみんなで集まれるかなって思ったけど、
やっぱり難しいよね)
やっぱり難しいよね)
穂波
でも——大学を見に行くのは、また別の日にしようかな
一歌
え……
穂波
オープンキャンパスは年に何回かあるけど、
しし座流星群はこの時期しか見られないし
しし座流星群はこの時期しか見られないし
一歌
……もしかして
私が誘っていいか迷ってるの、わかった?
私が誘っていいか迷ってるの、わかった?
穂波
ううん。わたしが、そうしたかっただけだよ
穂波
3年生になったら、もっと余裕なくなっちゃうと思うし
今のうちに、みんなと思い出作りたいなって思ってたの
今のうちに、みんなと思い出作りたいなって思ってたの
穂波
それに……同じ学校に通えるのも、
きっと高校までだと思うから
きっと高校までだと思うから
一歌
(そうだよね……)
一歌
(私と咲希はまだ進路決めてないけど、穂波と志歩は——)
一歌
……穂波、ありがとう
一歌
じゃあ、4人で思い出が作れるように
咲希と志歩に流星群のこと話しに行こう!
咲希と志歩に流星群のこと話しに行こう!
穂波
うん!
2年B組
一歌
失礼します。咲希、志歩——
咲希の声
はあ~。遠征の日、2週間後の土曜日で
ほんっっっとによかった~!
ほんっっっとによかった~!
咲希
もしその次の週だったら、
しほちゃんのライブに行けないところだったよ!
しほちゃんのライブに行けないところだったよ!
志歩
別に、遠征とライブ被ってても来ればいいじゃん。
今の咲希、体力お化けだし
今の咲希、体力お化けだし
咲希
も~。体力残ってても、絶対に間に合わないよ
咲希
朝から夕方まで練習して、お疲れさま会やって帰るんだけど
バスで片道3時間かかるんだから
バスで片道3時間かかるんだから
志歩
ふーん。大変そうだね
咲希
関係ないって顔してるけど、
しほちゃんもその辺、大変なんじゃなかったっけ?
しほちゃんもその辺、大変なんじゃなかったっけ?
志歩
まあ、ライブの1週間前だしね。
多分、追い込み練習でスタジオに缶詰めかな
多分、追い込み練習でスタジオに缶詰めかな
咲希
……あれ? いっちゃんとほなちゃんだ!
やっほー!
やっほー!
志歩
どうしたの?
穂波
えっと……
一歌
実は、しし座流星群を一緒に見ようって
誘いに来たんだけど……
誘いに来たんだけど……
咲希
え、しし座流星群!? 見たい見たい!
いつ見られるの?
いつ見られるの?
穂波
……2週間後の週末だよ。
一番活発になるのは夜7時ぐらいなんだけど……
一番活発になるのは夜7時ぐらいなんだけど……
志歩
……その時間は、まだスタジオで練習してそうだな
咲希
アタシも……多分、帰りのバスの中かも
一歌
そう、だよね……
一歌
……ごめん、ふたりとも!
さっきのは忘れて
さっきのは忘れて
宮益坂
一歌
……穂波、ミニプラネタリウム手伝ってくれてありがとう
一歌
おかげで投影機作りが一気に進んだよ。
やっぱり、星に詳しい人がいてくれると頼もしいな
やっぱり、星に詳しい人がいてくれると頼もしいな
穂波
役に立ててよかった。
放課後は小論文の添削があるから、途中参加ばっかりだし……
放課後は小論文の添削があるから、途中参加ばっかりだし……
一歌
そういえば練習用の課題、
難しくて量も多いみたいだね
難しくて量も多いみたいだね
穂波
うん。家に帰って宿題を終わらせたら、
後はずっと共通テストの過去問を解くか、小論文を書いてるよ
後はずっと共通テストの過去問を解くか、小論文を書いてるよ
穂波
特に小論文は、テーマが難しかったり、
福祉系の専門用語が出てきたりして……
福祉系の専門用語が出てきたりして……
穂波
ひとつ書くだけでも時間がかかっちゃうの
一歌
……穂波でも、そんなに大変なんだね
一歌
……もしかして
私が誘っていいか迷ってるの、わかった?
私が誘っていいか迷ってるの、わかった?
穂波
ううん。わたしが、そうしたかっただけだよ
穂波
3年生になったら、もっと余裕なくなっちゃうと思うし
今のうちに、みんなと思い出作りたいなって思ってたの
今のうちに、みんなと思い出作りたいなって思ってたの
一歌
(……穂波は、ああ言ってくれたけど)
一歌
……あの、穂波。しし座流星群のことなんだけど……
穂波
あ……咲希ちゃんと志歩ちゃん、残念だったね
穂波
でも、ふたりでも楽しめたら——
一歌
そのことなんだけど……
一歌
……オープンキャンパスを優先したほうが
いいんじゃないかな
いいんじゃないかな
穂波
え……
一歌
……ごめん。予定ずらそうとしてくれてたのに
一歌
でも——思ったんだ
一歌
咲希も志歩も
自分のやりたいこととか、夢に向かって頑張ってる
自分のやりたいこととか、夢に向かって頑張ってる
一歌
だから……
一歌
——やっぱり、
穂波にも、自分を優先してほしいんだ
穂波にも、自分を優先してほしいんだ
穂波
でも……
一歌
ほら、予定ずらしたせいで他の行きたい大学の
オープンキャンパスと被ったらいけないし、
行ける時に行っておかないと!
オープンキャンパスと被ったらいけないし、
行ける時に行っておかないと!
一歌
それに、流星群は一緒に見られなくても、
空が晴れてれば、どこにいても見れるから
空が晴れてれば、どこにいても見れるから
一歌
だから、月曜日のお昼とかに話そうよ。
流れ星、いくつ見れた?とか
流れ星、いくつ見れた?とか
穂波
一歌ちゃん……
穂波
……わかった
穂波
じゃあ、月曜日にいろいろ話させてほしいな
一歌
……うん。楽しみにしてるね
一歌
……しし座流星群、みんなで見たかったな
一歌
だけど……仕方ないよね
一歌
……同じ学校に通えるのも最後、か
一歌
(話す時間がなくても、お昼一緒に食べられなくても
毎日、元気そうな顔は見れたのに)
毎日、元気そうな顔は見れたのに)
一歌
(それも、もうできなくなるんだ)
一歌
寂しいな……
一歌
ダメだ……。
帰ってきてから、ずっとこんなことばっかり考えて
帰ってきてから、ずっとこんなことばっかり考えて
一歌
曲作りも、全然進まない
一歌
……ミク。
こんな時、どうしたらいいんだろうね
こんな時、どうしたらいいんだろうね
???
————…………
一歌
(なんだろう……。何か、聞こえる……)
???
——————
一歌
(声……?)
???
私、この曲をとおして、
一歌達の世界でみんなと一緒に歌えるんだ
一歌達の世界でみんなと一緒に歌えるんだ
一歌
(今、私の名前……)
一歌
(ううん。それより、この『声』——)
一歌
(……すごく、知ってる気がする)
???
きっと、必要な人達の胸に届くはずだから。
一歌の想いも、このメロディーも
一歌の想いも、このメロディーも
一歌
(——そうだ)
一歌
(小さい頃から、ずっとずっと聴いてきた……)
一歌
(楽しい時も、つらい時もずっと——)
???
これからも、一歌の想いを大切にしてね
一歌
(この『声』は——!)
一歌
————ミクっ!!
一歌
あれ……
一歌
……私、いつのまにか寝ちゃってたんだ
一歌
そう、だよね……。
ミクと話せるなんて、夢に決まってるのに
ミクと話せるなんて、夢に決まってるのに
一歌
弱音吐いてばっかりだから、
ミクが応援しに来てくれたのかな
ミクが応援しに来てくれたのかな
一歌
…………応援
一歌
そうだ、私……
一歌
みんなが頑張ってる姿を見て、
私も何かしたいっていう気持ちになって
私も何かしたいっていう気持ちになって
一歌
でも、それだけじゃなくて
一歌
私は——
一歌
みんなを、応援したかったんだ
一歌
頑張ってる3人は、本当にかっこよくて——
やりたいことや夢が叶うといいなって、ずっと思ってた
やりたいことや夢が叶うといいなって、ずっと思ってた
一歌
(……これから先、一緒にいられなくなる)
一歌
(それは……すごく寂しい、けど)
一歌
(でも——)
一歌
(私達なら、きっといつまでも友達でいられるはずだから)
一歌
——決めた
一歌
この想いを、ミクに歌ってもらおう
一歌
よし、やろう!
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