一歌
(『応援歌』っていうテーマが決まっただけで
歌詞もメロディーも、イメージがしやすくなった)
歌詞もメロディーも、イメージがしやすくなった)
一歌
(この曲に込めたい、想いも——)
クラスメイト
……あれ? 星乃さん、お昼買いに行かないの?
一歌
うん。ちょっとやることがあって
一歌
ここ、なんか寂しい感じになっちゃってるな。
応援歌なんだから、もっと前向きに……
応援歌なんだから、もっと前向きに……
一歌
……うーん、なんだか違うな
一歌
(……頑張るみんなの姿を見て、私も一歩踏み出せた。
だから今度は、この歌でみんなの一歩を応援したい)
だから今度は、この歌でみんなの一歩を応援したい)
一歌
(みんなが自分の道を進めば進むほど、
一緒に居られなくなっていくんだろうけど)
一緒に居られなくなっていくんだろうけど)
一歌
(でも——)
一歌
『心だけは一緒に』……
一歌
……ううん、『心は一緒に』にしよう。
その方が、ミクにも笑顔で歌ってもらえるし
その方が、ミクにも笑顔で歌ってもらえるし
一歌
……いい感じになってきた気がする
一歌
あ、そうだ。
一度ミクに歌ってもらおう
一度ミクに歌ってもらおう
ミク
♪—— ♪————……
一歌
…………!
よかった、イメージにだいぶ近くなってる!
よかった、イメージにだいぶ近くなってる!
一歌
メロディーはいい感じだから、
音をもう少し重ねて、厚みを出してみよう
音をもう少し重ねて、厚みを出してみよう
一歌
(この歌には、道しるべになってほしい)
一歌
(みんなが行きたい場所に、迷わず行けるように——)
一歌
(どれだけ遠く離れても、お互いをそばに感じられるように)
一歌
(ミクに、届けてもらうんだ)
2週間後
一歌
…………できた
一歌
……できた! みんなへの応援歌
一歌
やっ……ふぁ……
一歌
……寝不足になっちゃったけど、
おかげで流星群に間に合った
おかげで流星群に間に合った
一歌
時間も……まだ大丈夫。
夕方、ちょっと雨降ってたけど天気は——
夕方、ちょっと雨降ってたけど天気は——
一歌
あ……
一歌
曇ってて、空、全然見えないな
一歌
(一緒にはいられなくても、流星群を見ながら
聴いてもらえたらって思ったんだけど……)
聴いてもらえたらって思ったんだけど……)
一歌
……それより、できた曲をみんなに送らないと
一歌
(——ミク)
一歌
(一緒に頑張ってくれてありがとう。
ミクがいてくれたから、最後まで作れたんだよ)
ミクがいてくれたから、最後まで作れたんだよ)
一歌
(私の想い……一緒に作ったこの歌で、咲希達に届けて)
一歌
……よし、送れた
一歌
なんか、急に緊張してきちゃった……
一歌
…………
一歌
ちょっとだけ、出かけようかな
宮益坂
後輩部員達
天馬先輩、お疲れさまでした!
咲希
みんなもお疲れさま!
気をつけて帰るんだよー!
気をつけて帰るんだよー!
咲希
(遠征、楽しかったなあ。
いろいろ勉強になったし、向こうの子達と仲良くなれたし)
いろいろ勉強になったし、向こうの子達と仲良くなれたし)
咲希
また一緒にやりた……ふぁ~……。
帰りのバスの中でいっぱい寝たのに、まだ眠い……
帰りのバスの中でいっぱい寝たのに、まだ眠い……
咲希
(……7時過ぎか。
ちょっと早いけど、帰ったらお風呂入って寝ちゃおうかな)
ちょっと早いけど、帰ったらお風呂入って寝ちゃおうかな)
咲希
……あ、そうだ! 流星群!
今がちょうど、一番見えるんだったっけ
今がちょうど、一番見えるんだったっけ
咲希
……って、曇っててなんにも見えないじゃん!
咲希
はあ……
咲希
(いっちゃん達も、どこかで空見てるかな)
咲希
……ん、いっちゃんからメッセージ?
咲希
これって——!
住宅街
穂波
(オープンキャンパス、楽しかったな。
先輩達から、学校生活のこともいろいろ聞けたし)
先輩達から、学校生活のこともいろいろ聞けたし)
穂波
(でも、毎日通うには遠いし
あの大学に行くなら、学校の近くでひとり暮らしかな)
あの大学に行くなら、学校の近くでひとり暮らしかな)
穂波
(ひとり、か……)
穂波
……空、曇ってるな。
地面濡れてるし、さっきまで雨が降ってたのかも
地面濡れてるし、さっきまで雨が降ってたのかも
穂波
…………
穂波
星、見たかったな……
穂波
(それに——)
穂波
……あれ、メッセージ?
穂波
完成したんだね……!
神山通り
イオリ
じゃ、また明日
志歩
はい。お疲れさまでした
志歩
(曲の確認、思ったより早く終わったな)
志歩
(今日やったのは
どれもライブの定番曲だからっていうのもあるけど)
どれもライブの定番曲だからっていうのもあるけど)
志歩
……そういえば、しし座流星群ってどうなったんだろ
志歩
ん……曇ってて、見づらいな
志歩
(ていうか、ひとりで見ても仕方ないか……)
志歩
さっさと帰って、練習を——
志歩
……あ、一歌から……
一歌のメッセージ
『頑張る3人のための応援歌を、ミクに歌ってもらったんだ。
よかったら、聴いてみてほしいな』
よかったら、聴いてみてほしいな』
志歩
(そういえば、ミクで曲を作ってるって言ってたっけ)
志歩
応援歌か。どんな感じなんだろ
ミク
『♪—— ♪————』
志歩
…………!
志歩
(……なんだろ、この気持ち——)
ミク
『♪—— ♪————』
穂波
(ミクちゃんの声、すごく優しい)
穂波
(まるで、『ここにいるよ』『一緒に行こう』って、
手を繋いでくれてるような——)
手を繋いでくれてるような——)
ミク
『♪—— ♪——……』
咲希
(……歌詞もいいなあ)
咲希
(つらいことがあってもそばにいるよ、
ひとりじゃないよって、励ましてくれてる感じで)
ひとりじゃないよって、励ましてくれてる感じで)
咲希
(でも——)
志歩
(なんでだろう。この歌を聴いてると——)
志歩
(胸の奥が、少しざわざわするっていうか)
一歌
……咲希と穂波も来れないし、
お昼、また今度にしよっか
お昼、また今度にしよっか
一歌
……ごめん、ふたりとも!
さっきのは忘れて
さっきのは忘れて
一歌
——やっぱり、
穂波にも、自分を優先してほしいんだ
穂波にも、自分を優先してほしいんだ
穂波
(なんで……)
穂波
(なんでこんなに、寂しそうな一歌ちゃんが思い浮かぶんだろ)
穂波
……そっか
穂波
一歌ちゃんは、きっと——
咲希
寂しい気持ちをいっぱい我慢して、
この曲を作ってくれたんだね
この曲を作ってくれたんだね
志歩
……こういう不器用な感じ、一歌らしいな
志歩
ん? 咲希からメッセージ……
咲希のメッセージ
『いっちゃん、電話していい?
曲のこと話したいな』
曲のこと話したいな』
穂波
(咲希ちゃんも、一歌ちゃんの曲聴いてたんだね)
一歌のメッセージ
『外にいるけど、周り静かだし大丈夫だと思う』
咲希のメッセージ
『もしかしてバイトしてた?
会えるなら、会って話したい!』
会えるなら、会って話したい!』
一歌のメッセージ
『バイトじゃないよ。公園に行く途中なんだ。
みんなに曲を送った後、なんだかじっとしてられなくて』
みんなに曲を送った後、なんだかじっとしてられなくて』
志歩
公園……
公園
一歌
(……咲希からの返事来ないな。どうしたんだろ?)
???
いっちゃーーーんっ!
一歌
え……
一歌
咲希!? 穂波と志歩も、どうして……
咲希
えへへ。会って話したいって言ったでしょ?
志歩
私達も。メッセージ見て、ここだってわかったから
咲希
いっちゃん、応援歌ありがとう。
すっごく嬉しかったし、すっごく元気でたよ
すっごく嬉しかったし、すっごく元気でたよ
一歌
ほ、本当……?
穂波
わたしも……。
ちょっとうるっときちゃった
ちょっとうるっときちゃった
志歩
一歌の想い、感じたよ。
初めて作ったのにやるじゃん
初めて作ったのにやるじゃん
一歌
…………!
一歌
そっか……。よかった
咲希
……それとね、いっちゃん
咲希
ごめんっ!!
一歌
え?
咲希
アタシ、自分のことばっかりで
全然いっちゃんの気持ちを考えられてなかった
全然いっちゃんの気持ちを考えられてなかった
咲希
今日だって、遠征があるからって
流星群見るの断っちゃって……
流星群見るの断っちゃって……
咲希
遅れて参加するとか、空見ながら電話するとか、
いろいろできることもあったのに
いろいろできることもあったのに
一歌
……ありがとう、咲希。
でも、そこまでしなくても——
でも、そこまでしなくても——
咲希
ううん! しなくちゃいけなかったんだよ!
咲希
一緒にいたいって思ってたのに、
そう思うだけで、何もしてなかった
そう思うだけで、何もしてなかった
咲希
ずっと、いっちゃん達に甘えてた……。
いっちゃん達なら、わかってくれるって
いっちゃん達なら、わかってくれるって
一歌
咲希……
穂波
咲希ちゃんだけじゃないよ。
わたしもそうだった……本当に、ごめんなさい
わたしもそうだった……本当に、ごめんなさい
志歩
私も……ごめん。一歌、みんな
一歌
そんな……。
みんなは自分のことを一生懸命、頑張ってて——
みんなは自分のことを一生懸命、頑張ってて——
志歩
だからって、友達を放っておきたくない
志歩
特に、寂しがってるくせに
頑張れって、無理して応援してる誰かさんをね
頑張れって、無理して応援してる誰かさんをね
一歌
あ……
穂波
わたしも、一歌ちゃんの曲から感じたよ。
一歌ちゃんの本当の気持ち
一歌ちゃんの本当の気持ち
穂波
きっと一歌ちゃんが一生懸命、
想いを曲に込めてくれたからだね
想いを曲に込めてくれたからだね
一歌
……応援歌だし、寂しさが
出ないように頑張ったんだけどな
出ないように頑張ったんだけどな
咲希
応援したいっていう気持ちは、ちゃんと伝わったよ
咲希
でも——アタシ達は元気になれても、
いっちゃんは寂しいままになっちゃう
いっちゃんは寂しいままになっちゃう
一歌
あ……
志歩
私達だけ応援してもらって、それで終わりじゃちょっとね
穂波
うん。それに……
穂波
わたし、やっぱりみんなで思い出を作りたいの
穂波
今だから——わたし達だから作れる、大切な思い出を
咲希
だから、いっちゃん!
咲希
もしやりたいことがあったら言って!
今度こそ、一緒にやろ!
今度こそ、一緒にやろ!
一歌
やりたいこと……
一歌
えっと……実は、みんなに送った曲を、
文化祭で歌うつもりだったんだ
文化祭で歌うつもりだったんだ
一歌
バンドやろうとしてる子達がいるみたいだから、
演奏を頼んでみようかなって
演奏を頼んでみようかなって
咲希
えーっ! いっちゃん、バンドやろうとしてたの!?
一歌
そうじゃなくて、その……コラボ?
演奏はお願いするけど、ボーカルは私がやろうと思って
演奏はお願いするけど、ボーカルは私がやろうと思って
穂波
一歌ちゃん、それってもうお願いしちゃった?
一歌
ううん。曲ができてからって思ってたから、
まだだけど……
まだだけど……
志歩
じゃあ、なしで
咲希
うん! いっちゃんの曲は、アタシ達で演奏しなくちゃ!
一歌
え、それって……
穂波
わたし達に、演奏させてくれないかな?
一歌
……いいの?
一歌
でも、みんな忙しいんじゃ……
穂波
小論文もだいぶ書けるようになってきたし、
文化祭までの間、少し課題を減らしてもらえるようにしてみる
文化祭までの間、少し課題を減らしてもらえるようにしてみる
咲希
アタシも、ちゃんと練習する時間作るよ!
お昼の自主練をしばらくお休みするとか、
土日も部活が終わった後とか!
お昼の自主練をしばらくお休みするとか、
土日も部活が終わった後とか!
志歩
悪いけど、私は来週のライブが終わるまでは
そっちに集中する
そっちに集中する
志歩
でも、その後はひと息つけると思うし
みんなとの練習時間もとれるはずだから
みんなとの練習時間もとれるはずだから
志歩
……ちなみに、やるからには手を抜かないから。
それでもいいなら、だけど
それでもいいなら、だけど
一歌
……うん!
一歌
やろう、一緒に!
志歩
それで、ステージ参加の申請はちゃんとしてあるの?
一歌
大丈夫だけど、歌うっていうことくらいしか
伝えられてなくて……
伝えられてなくて……
一歌
クラスの実行委員の人にも、来週までに詳しい内容を
決めておいてって言われてるんだ
決めておいてって言われてるんだ
咲希
じゃあ、4人でバンドやります♪って伝えないとね!
穂波
あと、複数人で参加する場合は団体名が必要だったと思うから、
それも考えないと
それも考えないと
志歩
団体名?
穂波
うん。わたし達の場合は、バンドの名前かな
咲希
そっか! じゃあ……
咲希
あ、イチカーズはどう!?
いっちゃんがきっかけでやることになったし、
いっちゃんの曲歌うし!
いっちゃんがきっかけでやることになったし、
いっちゃんの曲歌うし!
志歩
ダサ……
一歌
ごめん、私もちょっと恥ずかしい……
咲希
えー!
一歌
何がいいかな……
咲希
う~ん……って、あーーーっ!
一歌
また何か思いついたの?
志歩
ダサいのはなしね
咲希
ひどいよ、しほちゃん!
……って、そうじゃなくて!
……って、そうじゃなくて!
咲希
空、見て! 空!
一歌
え?
穂波
あ……晴れてる!
志歩
さっきまで、あんなに曇ってたのに
一歌
あっ! あそこ、今星が流れた!
穂波
わたしも見えたよ! あ、また!
咲希
すごいすごい! どんどん流れてく!
ほら、しほちゃん!
ほら、しほちゃん!
志歩
はいはい。ちゃんと見えてるから
一歌
綺麗……
穂波
……やっと、また4人で見れたね
一歌
うん
一歌
……バンドの名前だけどさ
一歌
せっかくだし、私達にあった名前つけたいよね
志歩
じゃあ……星の名前とかは?
ちょうど、しし座流星群も見てるし
ちょうど、しし座流星群も見てるし
咲希
それいい! しほちゃんってば、ロマンチスト~♪
志歩
はいはい。すぐそうやって茶化すんだから
志歩
(今のって……)
咲希
しし座流星群かぁ……英語でなんていうのかな?
穂波
調べてみるね。えっと……
穂波
英語なら『Leonids』みたいだよ。
フランス語なら……『Les Léonides』だって
フランス語なら……『Les Léonides』だって
一歌
レオニードか……。
なんだか綺麗な響きだね
なんだか綺麗な響きだね
咲希
ニードって入ってるのもいいよね!
みんなが『必要』って感じがして♪
みんなが『必要』って感じがして♪
咲希
……あれ?
咲希
アタシ達……この話、どこかでしなかったっけ?
志歩
それ、私も思った
志歩
たしか、この後一歌が……
一歌
つづりを書いてみたんだよね!
えっと……
えっと……
一歌
……こんな感じ?
穂波
『Leoneed』……
穂波
うん、これだよ!
それで咲希ちゃんが……
それで咲希ちゃんが……
咲希
シャーっと、流れ星のスラッシュを入れるんだよね!
こうやって!
こうやって!
一歌
『Leo/need』……
一歌
……そうだ
一歌
私達——
志歩
……なんで忘れてたんだろ
志歩
こんな、大切なこと……
咲希
アタシ達、ずっと一緒にバンドやってたんだよね!
咲希
ライブもたくさんやって、オリジナルの曲も作って!
穂波
うん。たくさんの人達にわたし達の音楽を届けようって
4人でプロにもなって……!
4人でプロにもなって……!
穂波
大きなステージにも、立たせてもらって……!
一歌
私達……
一歌
これからも一緒に——
一歌
この4人で、バンドができるんだね
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