アークランド 練習室
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『……もう、いい』
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『ありがとう、ハート……。
だがもう無理だ……俺にはどうにもできない』
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(……なんだ……これは……)
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(視線も、体の動きも……全てが“虚ろ”だ)
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(まるで旭さんの後ろに、
深く暗い穴が空いているようで——)
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(目が、離せない……)
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寧々

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『ブレス! ブレスったら!
あなたらしくもないわ!』
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『…………いいんだ。もう』
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『俺が何をしようと、
人は憎み合い、国は争い続ける』
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『平和のためにどうすればいいのか考え続けても、
行動し続けても、どうせ……何も変わらない』
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『——全て、無意味だ』
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寧々

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『ブレス!!』
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(一読しただけで、ここまでのものになるとは……)
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えむ

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…………っ
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(この短時間で、僕の描いていたイメージを
ほぼ完璧に掴んで表現している。
……相変わらず、恐ろしいね)
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……っと。
ごめん、ずいぶん長くやっちゃったな
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この役、演じ甲斐があるから
ついついのめりこんじゃったよ
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旭さんにそう言っていただけるとは、光栄です
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あ、そうだ!
それで、この役をどう演じるかだけど……
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は、はい!
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俺はやっぱりこの本のテーマでもある
『絶望』の表現が鍵になるって思ったよ

BGM: --:-- / --:-- Play

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最後、王子が陥る絶望をどれだけ真に迫って演じられるか……
そこに全てがかかっていると言っていいかもしれないな
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王子の絶望が深ければ深いほど、
希望を追い求める姫の姿がまぶしく見えるから
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……やはり、そうですか
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オレもそう考えているんですが……
まだうまく表現できていない状況です
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わかるよ。ここはかなり難しいもんね
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どう表現するかもそうだけど……
そもそも『絶望』って呼べるほど強い感情を感じることって、
そこまで多くないしね
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だから——
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まずは、自分が一番絶望する状況を想像してみるのはどうかな
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絶望する、状況……
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ああ。そうやって『自分の中の絶望』の感情を掴めれば、
王子の絶望もイメージしやすくなるかもしれない
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……ちょっと苦しい作業にはなるだろうけどね
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いえ……ありがとうございます。やってみます
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アークランドキャストA

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おーい、旭!
そろそろ練習再開するぞ!
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え、もうそんな時間!?
昼飯、食べ損ねた……!
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あ、すみません!
オレが急に頼んでしまったばっかりに……
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いや、急いでかき込むから大丈夫!
俺もすごく楽しかったしね!
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また何か手伝えそうなことがあったらいつでも言ってよ。
力になるからさ!
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……はい!

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(……ここまで修行して、
成長を実感してきたからこそわかる)
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(オレと旭さんの間には——)
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(それでもなお埋まらない差が、ある)

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(不断の努力がなせる技か、生まれ持ったセンスなのか……
それとも、その両方なのか)
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(いずれにせよ——)
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(旭さんとオレの間には、大きな差がある)
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(大きな……力の差が)
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(……辿り着けるのか?)
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(オレは、あの場所に——)
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——いや
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辿り着けるか、ではない。
辿り着くんだ
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(自分のふがいなさは、既に知っている。
思い描いたようには進めないことも)
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(そしてそれでも進むと覚悟した)
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(だから——揺らぐことはない)
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えむ

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……あれ?
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えむ

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司くん……?
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