アークランド 練習室
旭
『……もう、いい』
旭
『ありがとう、ハート……。
だがもう無理だ……俺にはどうにもできない』
だがもう無理だ……俺にはどうにもできない』
司
(……なんだ……これは……)
司
(視線も、体の動きも……全てが“虚ろ”だ)
司
(まるで旭さんの後ろに、
深く暗い穴が空いているようで——)
深く暗い穴が空いているようで——)
司
(目が、離せない……)
寧々
『ブレス! ブレスったら!
あなたらしくもないわ!』
あなたらしくもないわ!』
旭
『…………いいんだ。もう』
旭
『俺が何をしようと、
人は憎み合い、国は争い続ける』
人は憎み合い、国は争い続ける』
旭
『平和のためにどうすればいいのか考え続けても、
行動し続けても、どうせ……何も変わらない』
行動し続けても、どうせ……何も変わらない』
旭
『——全て、無意味だ』
寧々
『ブレス!!』
司
(一読しただけで、ここまでのものになるとは……)
えむ
…………っ
類
(この短時間で、僕の描いていたイメージを
ほぼ完璧に掴んで表現している。
……相変わらず、恐ろしいね)
ほぼ完璧に掴んで表現している。
……相変わらず、恐ろしいね)
旭
……っと。
ごめん、ずいぶん長くやっちゃったな
ごめん、ずいぶん長くやっちゃったな
旭
この役、演じ甲斐があるから
ついついのめりこんじゃったよ
ついついのめりこんじゃったよ
類
旭さんにそう言っていただけるとは、光栄です
旭
あ、そうだ!
それで、この役をどう演じるかだけど……
それで、この役をどう演じるかだけど……
司
は、はい!
旭
俺はやっぱりこの本のテーマでもある
『絶望』の表現が鍵になるって思ったよ
『絶望』の表現が鍵になるって思ったよ
旭
最後、王子が陥る絶望をどれだけ真に迫って演じられるか……
そこに全てがかかっていると言っていいかもしれないな
そこに全てがかかっていると言っていいかもしれないな
旭
王子の絶望が深ければ深いほど、
希望を追い求める姫の姿がまぶしく見えるから
希望を追い求める姫の姿がまぶしく見えるから
司
……やはり、そうですか
司
オレもそう考えているんですが……
まだうまく表現できていない状況です
まだうまく表現できていない状況です
旭
わかるよ。ここはかなり難しいもんね
旭
どう表現するかもそうだけど……
そもそも『絶望』って呼べるほど強い感情を感じることって、
そこまで多くないしね
そもそも『絶望』って呼べるほど強い感情を感じることって、
そこまで多くないしね
旭
だから——
旭
まずは、自分が一番絶望する状況を想像してみるのはどうかな
司
絶望する、状況……
旭
ああ。そうやって『自分の中の絶望』の感情を掴めれば、
王子の絶望もイメージしやすくなるかもしれない
王子の絶望もイメージしやすくなるかもしれない
旭
……ちょっと苦しい作業にはなるだろうけどね
司
いえ……ありがとうございます。やってみます
アークランドキャストA
おーい、旭!
そろそろ練習再開するぞ!
そろそろ練習再開するぞ!
旭
え、もうそんな時間!?
昼飯、食べ損ねた……!
昼飯、食べ損ねた……!
司
あ、すみません!
オレが急に頼んでしまったばっかりに……
オレが急に頼んでしまったばっかりに……
旭
いや、急いでかき込むから大丈夫!
俺もすごく楽しかったしね!
俺もすごく楽しかったしね!
旭
また何か手伝えそうなことがあったらいつでも言ってよ。
力になるからさ!
力になるからさ!
司
……はい!
司
(……ここまで修行して、
成長を実感してきたからこそわかる)
成長を実感してきたからこそわかる)
司
(オレと旭さんの間には——)
司
(それでもなお埋まらない差が、ある)
司
(不断の努力がなせる技か、生まれ持ったセンスなのか……
それとも、その両方なのか)
それとも、その両方なのか)
司
(いずれにせよ——)
司
(旭さんとオレの間には、大きな差がある)
司
(大きな……力の差が)
司
(……辿り着けるのか?)
司
(オレは、あの場所に——)
司
——いや
司
辿り着けるか、ではない。
辿り着くんだ
辿り着くんだ
司
(自分のふがいなさは、既に知っている。
思い描いたようには進めないことも)
思い描いたようには進めないことも)
司
(そしてそれでも進むと覚悟した)
司
(だから——揺らぐことはない)
えむ
……あれ?
えむ
司くん……?
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