アークランド 練習室
1
『……もう、いい』
2
『ありがとう、ハート……。
だがもう無理だ……俺にはどうにもできない』
3
(……なんだ……これは……)
4
(視線も、体の動きも……全てが“虚ろ”だ)
5
(まるで旭さんの後ろに、
深く暗い穴が空いているようで——)
6
(目が、離せない……)
7
寧々
『ブレス! ブレスったら!
あなたらしくもないわ!』
8
『…………いいんだ。もう』
9
『俺が何をしようと、
人は憎み合い、国は争い続ける』
10
『平和のためにどうすればいいのか考え続けても、
行動し続けても、どうせ……何も変わらない』
11
『——全て、無意味だ』
12
寧々
『ブレス!!』
13
(一読しただけで、ここまでのものになるとは……)
14
えむ
…………っ
15
(この短時間で、僕の描いていたイメージを
ほぼ完璧に掴んで表現している。
……相変わらず、恐ろしいね)
16
……っと。
ごめん、ずいぶん長くやっちゃったな
17
この役、演じ甲斐があるから
ついついのめりこんじゃったよ
18
旭さんにそう言っていただけるとは、光栄です
19
あ、そうだ!
それで、この役をどう演じるかだけど……
20
は、はい!
21
俺はやっぱりこの本のテーマでもある
『絶望』の表現が鍵になるって思ったよ
22
最後、王子が陥る絶望をどれだけ真に迫って演じられるか……
そこに全てがかかっていると言っていいかもしれないな
23
王子の絶望が深ければ深いほど、
希望を追い求める姫の姿がまぶしく見えるから
24
……やはり、そうですか
25
オレもそう考えているんですが……
まだうまく表現できていない状況です
26
わかるよ。ここはかなり難しいもんね
27
どう表現するかもそうだけど……
そもそも『絶望』って呼べるほど強い感情を感じることって、
そこまで多くないしね
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だから——
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まずは、自分が一番絶望する状況を想像してみるのはどうかな
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絶望する、状況……
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ああ。そうやって『自分の中の絶望』の感情を掴めれば、
王子の絶望もイメージしやすくなるかもしれない
32
……ちょっと苦しい作業にはなるだろうけどね
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いえ……ありがとうございます。やってみます
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アークランドキャストA
おーい、旭!
そろそろ練習再開するぞ!
35
え、もうそんな時間!?
昼飯、食べ損ねた……!
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あ、すみません!
オレが急に頼んでしまったばっかりに……
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いや、急いでかき込むから大丈夫!
俺もすごく楽しかったしね!
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また何か手伝えそうなことがあったらいつでも言ってよ。
力になるからさ!
39
……はい!
40
(……ここまで修行して、
成長を実感してきたからこそわかる)
41
(オレと旭さんの間には——)
42
(それでもなお埋まらない差が、ある)
43
(不断の努力がなせる技か、生まれ持ったセンスなのか……
それとも、その両方なのか)
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(いずれにせよ——)
45
(旭さんとオレの間には、大きな差がある)
46
(大きな……力の差が)
47
(……辿り着けるのか?)
48
(オレは、あの場所に——)
49
——いや
50
辿り着けるか、ではない。
辿り着くんだ
51
(自分のふがいなさは、既に知っている。
思い描いたようには進めないことも)
52
(そしてそれでも進むと覚悟した)
53
(だから——揺らぐことはない)
54
えむ
……あれ?
55
えむ
司くん……?
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