1
幼い絵名
(…………すごいなあ)
2
幼い絵名
(お父さんの絵、なんだかキラキラしてて……)
3
幼い絵名
(私が見てるのと、
おんなじ世界じゃないみたい……)
4
幼い絵名
(……どうして、こんな絵がかけるんだろ)
5
幼い絵名
あ……
6
父親
……どうした?
7
幼い絵名
あのね、なんで今赤くぬったの?
この葉っぱ、赤いところないのに……
8
父親
…………そうだな
9
父親
……その方がいいと思ったんだ
10
幼い絵名
お父さんには、そう見えてるの?
11
父親
そうじゃない
12
父親
いや——違わないのかもしれないな
13
幼い絵名
……?
よくわかんない
14
父親
目に見える色は違うかもしれないが——
こう描きたいと思ったんだ
15
幼い絵名
かきたい……
16
幼い絵名
それでいいの?
ぜんぜんちがう色なのに
17
父親
ああ、絵は自由だ。
自分だけの世界だからな
18
父親
だから——自分の好きなように描けばいい
19
幼い絵名
…………
20
幼い絵名
(自分だけの、世界——)
21
幼い絵名
(じゃあ、この絵はお父さんの世界なのかな)
22
幼い絵名
(すっごくきれいで、ふしぎ……)
23
幼い絵名
(次は、どんな色にぬるのかな。
あの枝に止まってる鳥はどんな風になるんだろ……!)
24
絵名
(——あの頃、絵を描くお父さんの手が
なんだか魔法みたいに見えたっけ)
25
絵名
(あの頃の手を……)
26
絵名
(その手を、ずっと見てたから——)
27
絵名
(私は、画家に憧れたんだ)
28
絵名
(あの時見た手は、すごく大きくて……
キラキラ輝いてたな)
29
絵名
(でも……そのまま描くとちょっと違うかも。
大きなキャンバスに——世界を創っていく
魔法みたいなイメージだから……)
30
絵名
(…………あの時の私には、どう見えてたかな)
31
絵名
(あの手を——どう表現するだろう)
32
絵名
(……キャンバスいっぱいに大きくて……)
33
絵名
(ああ、ちょっとブレちゃったな)
34
絵名
(……でもいいか。そっちの方が私らしいし)
35
絵名
(キラキラした色は——
太陽の光と、あの時お父さんが描いてた木の色を乗せて
緑じゃなくて……赤が走って――)
36
絵名
(ん……色が混ざっちゃった)
37
絵名
(でも——この方が魔法っぽい感じが出ていいかも)
38
絵名
(……絵は自由なんだしね)
39
絵名
(——私の好きなように描こう)
40
絵名
(そうだ。あえて色が混ざる感じで、たくさん塗り重ねて……)
41
絵名
(……うん、もっとたくさん塗ろう。
いろんな色で、キラキラになるように——)
42
絵名
(————楽しい)
43
絵名
(楽しいな……)
44
絵名
(もっと、描きたい)
45
絵名
(……完成してほしくないな)
46
絵名
(このまま、ずっと、一生……描いてたい)
47
絵名
(もっと————)
48
ミク
『……絵名、楽しそうだね』
49
KAITO
『——ああ』
50
KAITO
『……あいつなりの答えは出たみたいだな』
51
ミク
『……どんな絵になるか、楽しみだね』
52
雪平
——時間です。
筆を置いてください
53
絵名
…………っ
54
雪平
皆さん、お疲れ様でした。
作品を前へ持ってきてください
55
絵名
…………終わった……
56
絵名
…………
57
絵名
…………楽しかったな……
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