???
『——もう! わかってよ!』
少女
『ダム建設で、もうすぐこの祠は壊されちゃうの!
ここにいたら、神様も一緒に消えちゃうんだよ!?』
ここにいたら、神様も一緒に消えちゃうんだよ!?』
神様
『だとしても構わぬ!』
神様
『この地を守るのがワシの役目なのだ!
守れぬのなら——ここで共に消え去るのみ!』
守れぬのなら——ここで共に消え去るのみ!』
少女
『この……わからずや!』
少女
『神様なんて、このまま消えちゃえばいいんだ!』
少女
『……さっきはついあんなこと言っちゃったけど……
でも、わたしはやっぱり……』
でも、わたしはやっぱり……』
少女
『神様と友達でいたい……!』
少女
『行かなくちゃ!』
少女
『あの祠だけは、絶対に壊させないんだから!』
中学生の寧々
(……うん、いい調子)
中学生の寧々
(みんな練習の時よりも熱が入ってる)
中学生の寧々
(あとはわたしが、工事を始めようとする大人達の前に立って
みんなを止めれば……!)
みんなを止めれば……!)
神様の声
『無礼者どもめ!
ワシは絶対にどかんぞ!』
ワシは絶対にどかんぞ!』
神様の声
『残された力はもうわずかだが……
土砂崩れを起こしてみせようぞ!』
土砂崩れを起こしてみせようぞ!』
中学生の寧々
(今だ……!)
少女
『——待って!!』
中学生の寧々
(…………え?)
中学生の寧々
…………っ
中学生の寧々
あ……
村人達
『……なんだおめえさんは!
今から工事だ、危ねえぞ!』
今から工事だ、危ねえぞ!』
村人達
『何か用でもあるのかい?』
中学生の寧々
……その……!
中学生の寧々
(『こんなのおかしい』……違う、これは次のシーン……!
『許してほしいの』……これも違う……!)
『許してほしいの』……これも違う……!)
中学生の寧々
(みんなアドリブでつないでくれてるのに——)
中学生の寧々
(……出てこない……!)
観客達
ねえねえ、あのお姉ちゃんどうしたの?
観客達
しー。
多分、忘れちゃったのかもね……
多分、忘れちゃったのかもね……
観客達
なんだか可哀想ねえ……
中学生の寧々
………………っ
寧々
(……え? ここは——)
ブレス
『——全て、無意味なんだ』
寧々
……あ
寧々
(本……番……?)
寧々
(どうしてわたし、ぼんやりして……!)
寧々
(早く、台詞を……!)
寧々
(…………あれ?)
寧々
(思い出せない……。
あんなに練習したのに——)
あんなに練習したのに——)
寧々
(大丈夫、落ち着いて……!
もうあの時とは違う……)
もうあの時とは違う……)
寧々
(きっと思い出せる……!
わたしなら、きっと——)
わたしなら、きっと——)
寧々
(きっと…………!!)
観客達
ねえねえ、あのお姉ちゃんどうしたの?
観客達
しー。
多分、忘れちゃったのかもね……
多分、忘れちゃったのかもね……
観客達
なんだか可哀想ねえ……
寧々
(……どうして?)
寧々
(どうして、また、わたしは……)
寧々
(こうなっちゃうの……?)
寧々
————っ!!
寧々
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
寧々
……夢……?
寧々
……っ
寧々
よか……た……
寧々
う……ティッシュ……
寧々
(…………久しぶりに思い出したな、あの感覚)
寧々
(体が冷たくなって、
人の声や心臓の音ばっかり大きく聞こえて……)
人の声や心臓の音ばっかり大きく聞こえて……)
寧々
(……もう二度と、あんな失敗しない)
寧々
(みんなを悲しませて終わるなんて……そんなの嫌)
寧々
(今度こそ、成功させてみせる)
寧々
(みんなのためにも——絶対に……!!)
翌日
アークランド 練習室
類
それじゃあ今日は、後半を通していこうか
寧々
——うん!
えむ
……あれ?
えむ
寧々ちゃん、なんだかちょっとピリー!ってしてる……?
司
そうか? 昨日とそう変わらんように見えるが……
もしかすると、より気合いが入っているのかもしれんな
もしかすると、より気合いが入っているのかもしれんな
えむ
そうなのかなあ……?
寧々
『ブレス……。
あの島に行くのはやめない?』
あの島に行くのはやめない?』
司
『ん? どうしてだ?
ハートも楽しみにしていただろう』
ハートも楽しみにしていただろう』
寧々
『だって、こうしてる間も民は苦しんでる』
寧々
『私達だけ遊び惚けるなんて……できない』
寧々
『——聞いてブレス』
寧々
『さっき妖精さんが言ったことは本当。
あなたは……呪われてるの』
あなたは……呪われてるの』
司
『呪われてる?
ハート、何を言って——』
ハート、何を言って——』
寧々
『思い出してブレス!』
寧々
『前のあなたなら、民のことをどうでもいいなんて……
そんな風には言わなかった!』
そんな風には言わなかった!』
寧々
『……っ』
司
——すまん。
一度止めてもらっていいか?
一度止めてもらっていいか?
類
……そうだね。
僕もそうしようと思っていたところだよ
僕もそうしようと思っていたところだよ
寧々
え……?
司
さっきえむが言っていたとおりだったな……
司
今日の寧々はどうもおかしい。
本当にわずかだが……昨日までより力が入っているように感じる
本当にわずかだが……昨日までより力が入っているように感じる
類
うん、最初はただ本番が近づいているからだと思っていたけど……
何度かやり直しても、結果は同じだったからね
何度かやり直しても、結果は同じだったからね
えむ
……寧々ちゃん、何かあったの?
寧々
何かって、別に何も……
寧々
あ……
寧々
……もしかして……
司
何か心当たりがあるのか?
寧々
……実は——
司
……なるほど。
昔の友人に会ったことをきっかけに、そんな夢を……
昔の友人に会ったことをきっかけに、そんな夢を……
寧々
うん……
寧々
でも……前みたいに落ち込んだり、
逃げたいって思ってるわけじゃないの
逃げたいって思ってるわけじゃないの
寧々
むしろ、絶対に成功させてみせる!って思ってる
寧々
なのに、どうして……
類
……緊張が、悪い方向に作用してるのかもしれないね
えむ
ほえ?
類
前に言っただろう?
適度な緊張はパフォーマンスを上げる
適度な緊張はパフォーマンスを上げる
類
けれど……メンタルのバランスが崩れれば、
それは容易く、力みに変わってしまうんだ。
役者はもちろん、アスリートにもよくある現象だね
それは容易く、力みに変わってしまうんだ。
役者はもちろん、アスリートにもよくある現象だね
類
もちろん、今の寧々の演技だって悪くない。
合格点だ。だが——
合格点だ。だが——
類
今は寧々の全力を出し切れていない。そう感じる
寧々
そんな……
えむ
じゃあ、今ちょっとよくない方に強くなってる緊張を
ふわふわのびのびーーってやわらかくすればいいんだよね!
ふわふわのびのびーーってやわらかくすればいいんだよね!
寧々
あ……
類
ああ。一緒にその方法を探していこう
司
それでは……まずは、とことん稽古して
自信をつけるのはどうだ?
自信をつけるのはどうだ?
司
やはり緊張というのは、不安からやってくるからな!
不安に思う隙がないほど練習しようではないか!
不安に思う隙がないほど練習しようではないか!
えむ
うん! 一緒にがんばろう、寧々ちゃんっ!!
寧々
うん……!!
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