ワンダーランドのセカイ
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……結局、リハでも戻らなかったな……
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えむ
うん……
3
えむ
あたし達にできること、もうないのかな……
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そんなことはない、と言いたいが……
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他に何かできることがあるかというと……
6
えむ
…………
7
???
みんな……どうしたの?
8
リン
もしかして、寧々ちゃんのこと?
9
リン、カイト……
10
えむ
うん……そうなんだ
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えむ
みんなでいっぱい練習して、
寧々ちゃんもいろんな人にお話を聞いて
すっごく頑張ってるけど……
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……今日のリハでも、
ベストな演技にはならなかった
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むろん、今の演技でも公演はできる。
だが……
14
KAITO
ワンダーランズ×ショウタイムとして
一番いいショーを見せることはできない……ということだね
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KAITO
……やっぱり、まだ悪い緊張が残っているのかな
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おそらく、そうだと思う
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だが……どうすればいいのかまるでわからん
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寧々は、必要だと考えられることはほとんどすべて試した。
メンタルコントロールもいくつも実践していたし……
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えむ
……最近の寧々ちゃん、
お芝居しててもずっと苦しそうで……
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えむ
ハート姫もぐるぐる~ってしちゃってるから、
前みたいにできるようにお手伝いしたいのに……
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……そうだな
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あの夢を見るまで、寧々は順調だった。
それこそ、寧々にしか演じられないと思えるほどにな
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寧々自身もそういう感覚を掴んでいたのであれば、
あの状態で舞台に立ちたいはずだ
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だからこそ、どうにかしてやりたいが——
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???
——その件について、いいかい
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えむ
類くん……!
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ひとりで考えたいと言っていたが、
何かいいアイディアが出たのか?
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——ああ
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最後に、寧々とふたりだけで話をしたい
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えむ
話……?
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何を話すんだ?
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……とてもシンプルなことさ
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だけど演出家として——どうしても伝えたいことがある
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だから本番前に、話す時間がほしいんだ
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どういうことかはわからんが……
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座長として、演出家のお前を信じるぞ。
もちろん、寧々もだ
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えむ
うん!!
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——ありがとう。ふたりとも
公演初日
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スタッフ達
影が気になるから上手の平台、もう少し内側に!
バミテに乗せちゃっていいから!
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スタッフ達
はい!
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寧々
…………
42
寧々
(本番は——1時間後)
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寧々
(粘ったけど……
結局、最後までできなかった)
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寧々
(わたしの演技は、もう——)
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寧々
……切り替えないと
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寧々
今やれることを、やりきらなくちゃ……
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——寧々
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寧々
あ……
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寧々
類、どうしたの?
何か確認したいことでも——
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本番の前に、大事な話があるんだ
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寧々
……え?
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ここにもいない……
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もしかしたら、まだヘアメイクをしてるのかな。
本番前に少し話せればって思ったけど……
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(……リハの時のみんなは、どこか固かった)
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(稽古の時の勢いが消えてしまったのは……
おそらく、主役の寧々ちゃんに変化があったからだ)
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(どうしてそうなったのかはわからないけど、
せめて、何かの役に立てれば——)
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えむ
もうすぐ本番だから、
類くん、きっと今お話してるんだよね……
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ああ。
どんな話をするのかはわからないが、
うまくいくことを願うしか……ん?
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旭さん!
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ああ……よかった。
みんなを探してたんだ
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え? オレ達を?
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うん。リハを見た時に少し気になって——
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寧々の声
——大事な話って、何?
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ん? この声は……
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今日はワンダーランズ×ショウタイムの演出家として、
言わせてもらうよ
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寧々。この舞台の成功は——主役である君にかかっている
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寧々
え……
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今日の公演、ここで必ず、
最高の演技を見せてほしい
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そうでなければ——ここに君がいる意味は、ない
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寧々
…………っ!