1
寧々
最高の演技をって……
2
寧々
そんなことわかってる……!
3
寧々
わたしだってそうしたい!
でも、今のわたしじゃ——!
4
言い訳は聞かないし、
ここで議論をする気もない
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寧々
な……
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寧々が今、壁にぶつかって苦しんでいることはわかっている
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実力を出し切れず、不甲斐なさを感じていることも。
けれど——
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草薙寧々という人間がどういう状態かは、
観客には一切関係ない
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彼らはただ素晴らしいショーを求めている。
僕達はそれに応える
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——そのためだけに、この舞台はある
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寧々
……それは……
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だからなんとしても、どんな手を使ってでも、
最高の演技をしてくれ
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それが君の——主役としての仕事だ
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寧々
あ……
15
えむ
類くん……
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あいつ……!
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あ……!
18
——話は聞かせてもらったぞ!
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寧々
……!
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ふたりとも……!
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類。立ち聞きするような形になってすまない
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だが……聞いたからにはオレ達にも言わせてくれ
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——寧々!
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オレも類と同じ気持ちだ
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お前がここで殻を破らなければ
このショーは不完全なまま終わる!
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だから——何が何でも突破しろ!!
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寧々
司……
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えむ
寧々ちゃん!
29
えむ
今日、いっちばん——
寧々ちゃんのいちばんすごいハート姫を出して!
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えむ
お願い……!!
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寧々
えむ……
32
——もう一度言うよ。寧々
33
君が本当に世界の舞台に立つ俳優になるというならば、
今日、ここで、その責任を果たすんだ
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寧々
そうしたい……そうしたいよ……
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寧々
でも、これ以上どうすればいいのか、わからないの……!
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寧々
……みんなの力も借りて頑張ったけど、
わたしじゃ、もう——
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寧々
……あ……
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寧々
(……なんで?)
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寧々
(どうしてみんな……そんなにまっすぐ見るの?)
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寧々
(わたしはもうできないのに、どうして——)
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寧々
42
このショーの主役は、寧々しかいない
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僕達は——ずっとそう思っているよ
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寧々
(……あ)
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寧々
(……そっか)
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寧々
(みんな——信じてるんだ)
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寧々
(みんな、わたしならきっとできるって思ってるから——)
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寧々
(信頼してるから——こんな風に言ってるんだ)
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寧々
(なら……)
50
寧々
(なら、わたしは——)
51
寧々
(——応えなきゃ)
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寧々
(ここで応えなきゃ——役者じゃない!!)
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寧々
…………当然でしょ
54
寧々
わたしはこれから、
ワンダーランズ×ショウタイムの看板を背負って、
大舞台に立つんだから
55
寧々
主役としてやるべきことを、
絶対にやりとげてみせる!
56
寧々
最高の演技以外——見せる気はない!!
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…………
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——うむ!
ならば、行くとするか! オレ達の舞台に!
59
ああ。
2000人の観客が、首を長くして待っているよ
60
えむ
み~んな、あたし達のショーで
ニッコニコにしちゃおう!!
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寧々
——うん
62
寧々
行こう、みんな!
63
アークランドキャストA
よう、旭!
ワンダーランズ×ショウタイムのみんなとは挨拶できたのか?
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……いや。
みんなやる気満々だったから、
水を差さないようにそのまま戻ってきたよ
65
アークランドキャストB
へえ……。
旭くんにしては珍しいね。そういう時こそ声かけそうなのに
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……ちゃんと見てみたいと思ったんだ
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アークランドキャストB
え?
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——彼らの力を
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レン
『……もうすぐ本番だよね……?』
70
ミク
『わあ、すっごいお客さん……!』
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リン
『本当だ……!
いーっぱいいる!』
72
リン
(寧々ちゃん、がんばって……!)
73
とある青年
『——昔むかしあるところに、
勇敢な王子様と、優しいお姫様がいました』
74
とある青年
『王子様は、魔王に捕まったお姫様を助けるため
たくさんの試練を乗り越え、そして——』
75
とある青年
『ついに魔王を打ち倒しました』
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寧々
(…………不思議)
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寧々
(これまでの練習だとずっと、
『絶対に成功させてみせる』って思ってたのに)
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寧々
(今は——)
79
寧々
(これまでの自分の、全部の演技に勝って——)
80
寧々
(ここを、世界中のどこよりも
笑顔でいっぱいにしたいって思ってる)
81
寧々
(だから、みんな——)
82
寧々
(力を貸して!)
83
王子
『姫! かの魔王を打ち倒し、お迎えに参りました!』
84
『ああ、王子……! 愛しい人!』
85
『あなたとならば、どこまでも行けましょう!』
86
ハート
『ブレスったら……
こんな手紙ひとつで私が喜ぶと思ってるの?』
87
ハート
『どうせまた、やたらと褒め称える言葉ばかり
書いてあるんでしょうけど……』
88
ハート
『……“君という花は、たとえいつか枯れたとしても
永遠に美しく、この心の中に咲き続けるだろう”……』
89
ハート
『も、もう……!
こんなの、なんて返事すればいいわけ……!?』
90
ハート
『はぁ、はぁ……。“愛のパラダイスに行こう”って
走り出すからどこに行くかと思ったら、城の庭じゃない!』
91
ブレス
『構わないだろう?
俺にとってはどこだろうと、ハートと行けば愛のパラダイスだ!』
92
ブレス
『花と触れ合うハートは、まさに花の妖精だな!!』
93
ハート
『なっ……! そういうのいいから!!』
94
ブレス
『ハッハッハ!
いやぁ、このまま時が止まればどれほど良いだろうか』
95
ハート
『え?』
96
ブレス
『国を捨て、ハートとふたり穏やかな場所で暮らせれば、
それはそれは幸福だろう!』
97
ハート
『ブレス……?』
98
ハート
『思い出してブレス!』
99
ハート
『前のあなたなら、民のことをどうでもいいなんて……
そんな風には言わなかった!』
100
ハート
『……っ』
101
(——さすがだ、寧々!
この土壇場で、最も乗りに乗ったハートを出してくるとは!)
102
(オレも、負けてはいられん!!)
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