杏
あ……! 映った!
冬弥
映像と音声は……問題なさそうだな
こはね
『は、はじめまして。Vivid BAD SQUADです』
???
『————……』
社長
『はじめまして。
僕はアラン・カーティス』
僕はアラン・カーティス』
彰人
(この人が社長……想像してたより、若いな。
20代くらいか?)
20代くらいか?)
彰人
(しかも……)
冬弥
『本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます』
社長
『そこまでかしこまらなくていい』
社長
『KEN達から事情も聞いている。
余計な前置きも不要だ』
余計な前置きも不要だ』
彰人
(……表情が全然変わらねえ。
不機嫌だとか、そういう感じでもねえが——)
不機嫌だとか、そういう感じでもねえが——)
彰人
(何考えてんのか読めなくて、少しやりづれえな)
社長
『——まずは、伝えたいことがある』
彰人
…………っ
社長
『……RAD BLASTは、実に素晴らしいイベントだった』
彰人
え……
杏
『あ……ありがとうございます!』
冬弥
『……謙さんから聞きました。
あの時、俺達のイベントを見てくださったと』
あの時、俺達のイベントを見てくださったと』
社長
『ああ。最初は、あのWALKERが
目をかけているチームがいると知って興味を持った』
目をかけているチームがいると知って興味を持った』
社長
『そして実際に、現地で君達の歌を聴いて——』
社長
『その熱に、圧倒された。
あそこまで心が揺さぶられたのは、久しぶりだ』
あそこまで心が揺さぶられたのは、久しぶりだ』
こはね
『そう言ってもらえて、すごく嬉しいです』
こはね
『あのイベントは、私達だけじゃなくて……
本当にたくさんの人の想いでできたものだったので』
本当にたくさんの人の想いでできたものだったので』
社長
『ああ。観客の熱狂も、他のミュージシャンの気迫も
並大抵のものではなかった』
並大抵のものではなかった』
社長
『そして——その中心にいたのが君達だ』
彰人
『……それが、オレ達を契約の候補にしてくれた理由ですか?』
社長
『その通りだ。
しかし、実際に契約の話をする前に見極めておきたい』
しかし、実際に契約の話をする前に見極めておきたい』
社長
『君達がどんな人間で——
どんな想いで音楽に向き合い、歌っているのかを』
どんな想いで音楽に向き合い、歌っているのかを』
杏
どんな想いで、音楽に向き合ってるか——
彰人
たしかに、オレ達を知ってもらうってんなら
それが一番手っ取り早いかもな
それが一番手っ取り早いかもな
こはね
うん……!
冬弥
——最初は、俺から話させてもらってもいいだろうか?
彰人
ああ。任せた
冬弥
ありがとう
冬弥
『では、俺が音楽を始めた理由ですが——』
社長
『——最後は君だ。アキト』
社長
『君はどんな想いで、歌と向き合っている?』
彰人
『オレは……最初はただ、
真剣になれるものが欲しかったんです』
真剣になれるものが欲しかったんです』
彰人
『何やっても中途半端な自分が嫌で、腹が立って……』
彰人
『そんな時に、RAD WEEKENDを見て——
そこから、世界が変わったんです』
そこから、世界が変わったんです』
彰人
『絶対に、これを超えたいって思いました』
彰人
『そのためなら、全部……自分の全部を使って、
犠牲にしてもいいって』
犠牲にしてもいいって』
彰人
『だから…………、っ』
彰人
(——クソ、もどかしいな)
彰人
(英語だと、喋りたいことに言葉が全然ついてこねえ)
彰人
(けど……伝えねえと。
オレが思ってることは、全部)
オレが思ってることは、全部)
彰人
『オレは…………歌に、人生懸けてます』
彰人
『どんなに苦しくても、目指すもんが遠くても——』
彰人
『心臓が動く限り、歌いたいと思ってます』
社長
『…………』
社長
『——君達の想いはわかった』
社長
『ビジネス面でも、個人的にも、
君達の今後の活動を応援したいと思う』
君達の今後の活動を応援したいと思う』
こはね
『それって……』
社長
『本格的に契約を検討したい、ということだ』
彰人
…………!
杏
やった……!
冬弥
『ありがとうございます』
社長
『ただ、その前に——アキト』
社長
『君とは、もう少し話をしてみたい』
彰人
『……オレと?』
冬弥
『彰人だけ、このまま面談を続けるということですか?』
社長
『いいや。できれば——直接会って話をしたい』
社長
『可能なら、アメリカへ来てくれないか?
勿論、費用は全てこちらで出す』
勿論、費用は全てこちらで出す』
彰人
な——
杏
アメリカに来て、って言ってたよね?
こはね
ど、どうして東雲くんだけ……?
彰人
…………
彰人
(なんでオレだけが呼ばれんのか、全然見当もつかねえが……)
彰人
(冗談とか、気まぐれで言ってるわけじゃねえのはわかる)
彰人
(それに、これで契約を前向きに考えてもらえるなら……)
彰人
『——行きます』
冬弥
彰人……
社長
『ありがとう。スケジュールについてはまた別途連絡しよう。
では、また』
では、また』
こはね
え、あ、あの……!
…………切れちゃった……
…………切れちゃった……
杏
とりあえず、契約は考えてもらえそうでよかったけど……
杏
最後のあれ、どういうこと?
彰人
さあな。向こうで話聞けばわかるだろ
冬弥
……本当にひとりで行くつもりなのか?
彰人
ああ
彰人
あっちも先行投資込みで
契約するなら、納得いくまで見極めてえだろうしな
契約するなら、納得いくまで見極めてえだろうしな
杏
もー……だからって、即決しすぎでしょ
冬弥
すぐに戻ってこられるといいが……
学校を休むようなら、その間の授業は俺が解説しよう
学校を休むようなら、その間の授業は俺が解説しよう
彰人
あー……。
助かるけど、程々でいいからな
助かるけど、程々でいいからな
杏
あはは! 冬弥、ビシビシやっちゃえ!
こはね
わからないところがあったら、私も手伝うよ、東雲くん
冬弥
一緒に行けないのは、もどかしいが……
冬弥
気をつけて行ってきてくれ、彰人
彰人
——ああ。行ってくる
数日後
アメリカ 空港
彰人
——っし。スーツケースも回収できたし、行くか
彰人
(意外と、ひとりでもなんとかなるもんだな)
彰人
(けど……ここからが本番だ)
彰人
まずはNo.9レコードに行って、アランさんと面会だったな
社長
『いいや。できれば——直接会って話をしたい』
彰人
(どんなことを聞かれるかわからねえが……
これで、契約できるかが決まるかもしれねえ)
これで、契約できるかが決まるかもしれねえ)
彰人
(——オレも、気合い入れていかねえと)
No.9レコード オフィス
彰人
『失礼します』
社長
『アキト、よく来てくれた。無事に到着できて何よりだ』
彰人
『はい。空港までの迎えも、あー……』
彰人
『準備、手配……?してもらえたんで。助かりました』
社長
『こちらが無理を言ったのだから、当然だ』
社長
ああ、それと……会話は日本語で構わない
彰人
……日本語、わかるんですか?
社長
KEN達もそうだが……日本人アーティストとの交遊もあるし、
日本の音楽シーンには注目しているんだ。
ビジネス上でも話せるほうが有利でね
日本の音楽シーンには注目しているんだ。
ビジネス上でも話せるほうが有利でね
社長
面談は、最低限の英語力があるか確認するために
英語でやらせてもらったが——
ここからは、君が楽なほうでいい
英語でやらせてもらったが——
ここからは、君が楽なほうでいい
彰人
……じゃあ、日本語でお願いできるとありがたいです
彰人
こっちのほうが、本音で話しやすいんで
社長
わかった。では改めて——アキト
社長
君は、僕が直接会いたいと申し出た時、
ほとんど迷わず頷いたな
ほとんど迷わず頷いたな
社長
アメリカへ単独で来ることに、抵抗はなかったのか?
彰人
それは——
彰人
……なんでオレだけなのかは、気になりました
彰人
けど、オレ達は何がなんでもRUSH BEATSに出たい。
協力してもらうために必要なら、迷う理由はないです
協力してもらうために必要なら、迷う理由はないです
社長
……良い目だ。
音楽への情熱も、本物だと感じる
音楽への情熱も、本物だと感じる
社長
————今は
彰人
(今は……?)
彰人
それって……
社長
僕も昔、音楽をやっていた。
そちらの方面では芽が出なかったが、聴く力には自信がある
そちらの方面では芽が出なかったが、聴く力には自信がある
社長
アキト。君は、RAD BLASTの後——
社長
自分の歌が、熱を失ったと感じたことはないか?
彰人
…………っ
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