No.9レコード オフィス
彰人
熱を……
社長
僕の思い違いなら、謝罪する
社長
だが、あのイベントの後……
君達が配信する歌を聴いていて、かすかな違和感があった
君達が配信する歌を聴いていて、かすかな違和感があった
社長
君も恐らく、自覚があったんじゃないか?
彰人
……燃え尽きちまったのか……?
スレイド
なんで、何も言わないんだよ
スレイド
手加減なしって言ったじゃないか。ちゃんと歌ってくれよ。
あのイベントで歌ってたキミの歌は、
そんなんじゃなかっただろ……?
あのイベントで歌ってたキミの歌は、
そんなんじゃなかっただろ……?
彰人
…………っ
彰人
(面と向かって言われたのは……これで2度目だな)
彰人
……たしかに、そういう時期はありました
彰人
世界を獲るって決めて、
そのために走り続けなきゃならねえのに……
そのために走り続けなきゃならねえのに……
彰人
いくら歌っても、前みたいに熱くなれなくて——
彰人
なんでこうなってんのか、自分でもわかんねえまま……
燻ってたことがあります
燻ってたことがあります
社長
……プロのアーティストやスポーツ選手でも、
そういったことは起きる
そういったことは起きる
社長
目指すもののために、
ストイックに自分自身を追い込み続けて——
ある日突然、燃え尽きてしまうことが
ストイックに自分自身を追い込み続けて——
ある日突然、燃え尽きてしまうことが
社長
その状態から回復できず、
そのままキャリアが絶たれてしまうことも少なくない
そのままキャリアが絶たれてしまうことも少なくない
彰人
…………
彰人
……たぶんオレも、そうなりかけました
彰人
けど、今は違います。
本気で世界を目指してる
本気で世界を目指してる
彰人
前以上に、熱くなれてる——そう思います
社長
そうか……
社長
その言葉を信じたいが——それなら、証明してもらえないか?
社長
君が燃え尽きてはいないことを
彰人
(——だから、オレだけが呼ばれたのか)
社長
君が本当に、世界を獲るだけの熱を持っているか——
社長
僕の目の前で、その炎を見せてくれ
彰人
炎を……
彰人
(……自分が蒔いた種だ)
彰人
(ここで、絶対に証明してみせる)
彰人
——オレは、何をすればいいですか?
???
彰人
ここは……
彰人
(オフィスがあった辺りとは、だいぶ雰囲気が違う)
彰人
(グラフィティアートが多いし……
なんとなく、ビビッドストリートにも似てんな)
なんとなく、ビビッドストリートにも似てんな)
ミュージシャンA
♪————! ♪————!
ミュージシャンB
♪——! ♪———!
♪————————!
♪————————!
社長
ここは昔から、音楽好きが集まる場所だ
社長
街の中心ほど人通りが多くない代わりに、
耳の肥えたオーディエンスが多い
耳の肥えたオーディエンスが多い
彰人
へえ……
彰人
(たしかに、今歌ってるチームだけでも
かなりレベルが高いな。けど——)
かなりレベルが高いな。けど——)
彰人
(オーディエンスがめちゃくちゃ
盛り上がってるってわけでもねえ)
盛り上がってるってわけでもねえ)
彰人
(……これが、この辺りの『普通』ってことか)
社長
アキト。君には、今からここで歌ってほしい
社長
オーディエンスをどれだけわかせられるか、見せてくれ
彰人
……わかりました
社長
車から機材を持ってくる。少し待っていてくれ
彰人
…………
彰人
(——腹の底が、熱い)
彰人
(あの時……全力で歌えなくて、
それをわかってんのにどうにもできねえで……)
それをわかってんのにどうにもできねえで……)
彰人
(そういう自分に、死ぬほどムカつく)
彰人
(けど——)
彰人
(この悔しさも、熱さも、全部歌に込めろ)
彰人
(覚悟を見せるには、それしかねえ)
彰人
——やってやる
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