数日後
宮益坂
咲希
えへへ、今日もいい天気〜♪
咲希
(いよいよ、明日はワンマンかあ……!)
咲希
(ミクちゃん達に聴いてもらってから、
みんなすごく調子がいいんだよね)
みんなすごく調子がいいんだよね)
咲希
早く本番にならないかなあ……
咲希
って——その前に学校だよね!
今日は英語の小テストもあるし、頑張らなきゃ!
今日は英語の小テストもあるし、頑張らなきゃ!
宮益坂女子学園 2年B組
咲希
みんな、おはよー!
クラスメイトA
あ、来た来た。おはよう、咲希!
クラスメイトB
待ってたよ〜!
はいこれ、咲希にプレゼント!
はいこれ、咲希にプレゼント!
咲希
わ、お菓子だ! でも、プレゼントって……?
クラスメイトB
明日はワンマンライブでしょ?
私達からの応援の気持ちってことで♪
私達からの応援の気持ちってことで♪
クラスメイトA
私達も客席から応援してるからさ。
頑張ってね、咲希!
頑張ってね、咲希!
咲希
……うん! ありがとう!
咲希
ふたりも応援してくれてるし、
100パーセントフルパワーで頑張っちゃいますっ♪
100パーセントフルパワーで頑張っちゃいますっ♪
咲希
(……嬉しいな)
咲希
(みんなも、こんなに楽しみにしてくれて……)
クラスメイトB
それにしても、すごいよね。
TONE BASEシブヤでワンマンなんて!
TONE BASEシブヤでワンマンなんて!
クラスメイトB
SNSで見たけど、チケットも完売したんでしょ?
咲希
そうなの!
アタシ達も、聞いた時びっくりしちゃった
アタシ達も、聞いた時びっくりしちゃった
クラスメイトA
すごい勢いだよね。
これから、もっと有名になってくんだろうなあ
これから、もっと有名になってくんだろうなあ
クラスメイトA
いつかは武闘館とかアリーナで
ライブやっちゃったりして!?
ライブやっちゃったりして!?
咲希
あはは、できるかはわかんないけど……
でも、いつかやれたらいいな!
でも、いつかやれたらいいな!
クラスメイトB
お、やる気だね〜!
クラスメイトA
あーあ。でも、ちょっとだけ寂しいな~
咲希
え?
クラスメイトA
今より忙しくなったら、遊ぶ時間とかも減っちゃうかもだし?
クラスメイトB
たしかにね。
芸能人みたいに、遠い人になっちゃうのかな~
芸能人みたいに、遠い人になっちゃうのかな~
咲希
……もー、そんなことないってば!
咲希
もしすーっごく忙しくなっても、
絶対アタシの方から誘いにいっちゃうんだから!
絶対アタシの方から誘いにいっちゃうんだから!
クラスメイトB
ふふ、言ったな? 絶対だからね!
数時間後
咲希の部屋
咲希
タオルは入れたし、着替えもちゃんと用意したし……
咲希
うん、これでワンマンの準備はオッケー!
咲希
えへへ、楽しみだなあ。
クラスの子達も見にきてくれるって言ってたし……
クラスの子達も見にきてくれるって言ってたし……
クラスメイトA
今より忙しくなったら、遊ぶ時間とかも減っちゃうかもだし?
クラスメイトB
たしかにね。
芸能人みたいに、遠い人になっちゃうのかな~
芸能人みたいに、遠い人になっちゃうのかな~
咲希
……遠い、か
咲希
(SNSでお客さんの反応を見た時も、そうだったけど……)
咲希
(なんでだろう。
ああいう風に言われると、胸がぎゅってする)
ああいう風に言われると、胸がぎゅってする)
咲希
音楽で想いを伝えようって、いっちゃん達と決めたのにな……
???
『——こんばんは、咲希。
今、ちょっといいかしら?』
今、ちょっといいかしら?』
咲希
え?
咲希
ルカさん! どうしたんですか?
ルカ
『ふふ。みんなのところを回っているのよ』
ルカ
『明日のライブが成功するように、
元気をお裾分けしようと思って』
元気をお裾分けしようと思って』
咲希
ルカさん……
咲希
(……ルカさんは、いつも優しいな。
アタシ達の気持ちを考えてくれて……)
アタシ達の気持ちを考えてくれて……)
ルカ
『……咲希、もしかして緊張してるの?』
咲希
え? えっと……
緊張ってわけじゃないんですけど……
緊張ってわけじゃないんですけど……
ルカ
『……もしよければ、聞かせてくれないかしら。
話すだけでも、気持ちが落ち着くかもしれないし』
話すだけでも、気持ちが落ち着くかもしれないし』
咲希
あ……
咲希
ありがとうございます。
じゃあ……ちょっとだけ聞いてもらってもいいですか?
じゃあ……ちょっとだけ聞いてもらってもいいですか?
ルカ
『……そう。
“遠い”と言われると、モヤモヤしてしまうのね』
“遠い”と言われると、モヤモヤしてしまうのね』
咲希
はい……
コメントを見た時も、友達から言われた時もそうなって
コメントを見た時も、友達から言われた時もそうなって
咲希
なんでこんな風になっちゃうのか、
自分でもわからないんですけど……
自分でもわからないんですけど……
咲希
どうしても、うまく切り替えられなくて
咲希
……こんな気持ちで演奏して、
ちゃんとアタシ達の想いを届けられるのかなって、思っちゃって
ちゃんとアタシ達の想いを届けられるのかなって、思っちゃって
ルカ
『咲希……』
ルカ
『——それなら、一緒に考えてみましょうか』
ルカ
『どうして咲希が、モヤモヤしてしまうのか……
その原因を』
その原因を』
咲希
え……
ルカ
『答えが出るかはわからないわ。
でも、ひとりで悩む咲希を放ってはおけないもの』
でも、ひとりで悩む咲希を放ってはおけないもの』
ルカ
『少しでもできることがあるなら、手伝わせてほしいの。
もちろん、咲希がよければだけれど』
もちろん、咲希がよければだけれど』
咲希
ルカさん……ありがとうございます
咲希
それじゃあ、一緒に考えてもらってもいいですか?
ルカ
『ええ、もちろんよ』
ルカ
『そうね、まずは……
咲希が感じるモヤモヤがどういう感じなのか、
もう少し聞いてもいいかしら?』
咲希が感じるモヤモヤがどういう感じなのか、
もう少し聞いてもいいかしら?』
咲希
はい。なんていうか……
胸の辺りがぎゅって締め付けられるみたいなんです
胸の辺りがぎゅって締め付けられるみたいなんです
咲希
上手く言えないけど、少し苦しいっていうか……
ルカ
『苦しい……』
ルカ
『それなら……』
ルカ
『“遠い”という言葉が、咲希にとって
嫌なことやつらかったことに関係している……とかはないかしら』
嫌なことやつらかったことに関係している……とかはないかしら』
咲希
え……?
ルカ
『モヤモヤしたり苦しいと感じるということは、
ポジティブな感情とは結びついてないと思うの』
ポジティブな感情とは結びついてないと思うの』
ルカ
『何か、思い当たることはない?』
咲希
つらかったこと……
咲希
あ……
咲希
(……そっか)
咲希
(『遠い』って、あの頃の——)
ルカ
『咲希?』
咲希
ありがとうございます、ルカさん。
……たぶん、わかりました
……たぶん、わかりました
咲希
アタシ……寂しいんだと思います
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