奏の部屋
1
……このフレーズは良さそうだな
2
(柔らかい空気感が伝わるし、ちゃんと表現できそう)
3
……でも……
4
(この前から、ずっと違和感がある)
5
(……本当に、このままで救えるの?)
6
(だって、まふゆは——)
7
???
『——奏』
8
ルカ、どうしたの?
9
ルカ
『そろそろ曲が完成するんじゃないかと思って
見に来たのよ』
10
あ……
11
……もう少しかかりそう、かな
12
ルカ
『あら、そうなの?』
13
……うん
14
本当にこれで、まふゆを救えるのかわからなくて
15
ルカ
『どういうこと?』
16
……今、まふゆが感じた『お母さんのあたたかさ』を
落とし込んだ曲を作ってるでしょ?
17
まふゆが『あたたかい』って言ってくれる曲は、
お母さんの愛情を感じた記憶と似てるからって
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ルカ
『ええ、そうだったわね』
19
うん、でも——
20
……まふゆのお母さんと会って、あたたかさを感じたんだ
21
今でも——まふゆを心から愛してるんだなって
22
まふゆも、まふゆのお母さんも、
お互いが想い合ってたように、わたしには見えた
23
それなのに……
24
そんなふたりが一緒に暮らしても、
うまくいかなかったから……
25
この曲を作っても、まふゆを救えないような気がするんだ
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ルカ
『そう……』
27
ルカ
『それであなたは、どうすればまふゆを救えると思っているの?』
28
…………わからない
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どうすれば、救えるんだろう
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……それに……
31
……どうして、ふたりはうまくいかないんだろう
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ルカ
『…………』
33
電話だ、誰かな……
34
はい、もしもし宵崎です——
35
あ、おばあちゃん。
どうしたの?
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え? あ……
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——うん、……うん
38
……わかった、じゃあ今週末に
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