宵崎家 キッチン
1
(もし、まふゆのために曲を作らなくてもよくなったら……)
2
(そうしたら、きっとまた、前の生活に戻る)
3
(誰かを救える曲を、作り続けるだけ——)
4
(……それだけのはずなのに、なんでだろう)
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(胸が————)
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まふゆ
……奏、セカイに行ってたの?
7
あ、まふゆ——
8
……うん、ちょっと考えを整理したくて
9
まふゆ
そうなんだ
10
…………
11
まふゆ
……何か、あったの?
顔色がよくないけど
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え? あ……
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…………ううん、なんでもないよ
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まふゆ
そう……
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まふゆ
……それなら、今日は休んだほうがいいよ。
体調が悪いのかもしれないし
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え、そこまでは——
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まふゆ
みんなには私が言っておくから、休んで
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……わかった
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まふゆ
じゃあ、もし何か欲しいものがあったら言って
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うん。あ——
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まふゆ
どうしたの?
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…………ごめん、なんでもない
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今日はちゃんと休むから、安心して
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まふゆ
……うん
奏の部屋
25
(もし——)
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(まふゆに曲を作らなくてよくなったら……)
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(わたしの曲で、ちゃんとまふゆを救うことができて)
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(家族みんなで、わかりあえて、幸せになって……)
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(……まふゆが、心から笑顔で過ごせるようになって……)
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(わたしは、まふゆに曲を作らなくてもよくなる)
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(作らなく、ても——いいんだ)
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(……なんだろう、これ)
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(どうして————)
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ナイトコードの通知……
もう、みんな作業してるのかな
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絵名のメッセージ
『K、起きてる? 寝てたらごめん』
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……えななんと、Amia?
どうしたんだろう
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絵名のメッセージ
『もし体調がよかったら……なんだけど。
さっきのことで、ちょっと話したいんだ』
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絵名のメッセージ
『まふゆのために、どうしたらいいのか……
って言っても、今はそうするしかないのかもって話なんだけど』
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まふゆの、ために……
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(——そうだ、自分のことばかり考えてちゃだめだ)
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(わたしは、まふゆを——救わなきゃいけないんだから)
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『わかった。DMで通話しよう』——っと
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絵名
『——ごめん、K。
突然声かけちゃって』
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『ううん、大丈夫。それより、さっきの……』
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瑞希
『うん』
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瑞希
『……ふたりで、ちょっと考えてたんだ』
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瑞希
『まふゆのために、どうすればいいんだろうって』
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絵名
『……それでね、私達なりの答えは出たんだけど……』
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『——聞かせて』
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