翌日
ニューヨーク州 街中
杏
ふん、ふ~ん♪
こはね
ふふ。杏ちゃん、ご機嫌だね
彰人
ったく、朝からずっとこうだな
杏
別にいいじゃん!
本当に楽しみなんだから
本当に楽しみなんだから
杏
エレナ達に会うのも、久しぶりだしさ!
冬弥
みんなとの待ち合わせ場所は、この辺りだな
彰人
けど約束の時間には早いし、さすがに来てない——
???
——おーい!
杏
……あ! あそこ!
スレイド
みんなー! 久しぶり!!
エレナ
RUSH BEATS出場、おめでと~!!
レベッカ
もう……お姉ちゃんもスレイドも、声が大きすぎるよ
セドリック
まあ、こうなる気はしていたがな
こはね
皆さん……!
お久しぶりです!
お久しぶりです!
杏
っていうか、早くない?
まだ集合時間まで30分くらいあるよ!
まだ集合時間まで30分くらいあるよ!
レベッカ
お姉ちゃんが朝からずっとソワソワしてるから、
少し早めに来たんだ
少し早めに来たんだ
セドリック
こっちも似たようなものだな
スレイド
だって、次に会うならRUSH BEATSだと思ってたからさ!
こんな早く会えるなんて、びっくりだよ
こんな早く会えるなんて、びっくりだよ
エレナ
アタシもアタシも! ていうかベッキーだって、
みんながこっちに来るって連絡もらってから
ずっと機嫌良さそうだったじゃん
みんながこっちに来るって連絡もらってから
ずっと機嫌良さそうだったじゃん
レベッカ
それはそうだよ。
私だってみんなに会いたかったし
私だってみんなに会いたかったし
冬弥
みんな、変わりないようだな
彰人
……そうだな
杏
あはは、私達も会えて嬉しいよ!
話したいこととか報告したいこと、いっぱいあるんだよね!
話したいこととか報告したいこと、いっぱいあるんだよね!
エレナ
え、ホント!? なんだろ、気になる!
セドリック
それなら、落ち着いて話せる場所へ移動するか
レベッカ
そうだね。
このままだと、ずっと立ち話しちゃいそうだし
このままだと、ずっと立ち話しちゃいそうだし
スレイド
じゃあ、パーティーの会場に案内させてもらっちゃおうかな
彰人
そういや、詳しい場所聞いてなかったな。
どこの店でやるんだ?
どこの店でやるんだ?
セドリック
——いや。今回は、店じゃないんだ
スレイド
オレ達の、とっておきの場所だよ
冬弥
とっておきの……?
???
彰人
……おい。ここって、何かの倉庫じゃねえのか?
こはね
私達が入っちゃって、大丈夫かな……
スレイド
大丈夫! 不法侵入とかじゃないから
セドリック
少し待ってくれ。今、電気つける
冬弥
……これは……
スレイド
——ようこそ! オレ達の『秘密基地』へ!
彰人
秘密基地……?
スレイド
うん! オレ達の好きなものばっかりを集めたんだ
杏
うわあ、機材とか楽器がたくさんある!
こっちの棚は——
こっちの棚は——
杏
あ! この写真って、子供の頃のスレイドとセドリック?
杏
後ろに写ってるの、父さんと大河おじさんだよね
スレイド
そうだよ! 昔、RADderに歌を教えてもらってた頃——
ナギさんがカメラで撮ってくれたんだ
ナギさんがカメラで撮ってくれたんだ
杏
へえ……。ふたりとも、若いなあ
杏
ふふっ、スレイド達もいい笑顔じゃん!
こはね
素敵な場所ですね。
なんだか、本当に秘密基地みたいで……
なんだか、本当に秘密基地みたいで……
セドリック
そう呼び始めたのはスレイドなんだが——
ここは本来、俺達の作業場なんだ
ここは本来、俺達の作業場なんだ
セドリック
作曲をしたり、歌の練習をするときなんかに使ってる
彰人
なるほどな。
それでパソコンやら楽器があるのか
それでパソコンやら楽器があるのか
エレナ
すっごいクールじゃん!
も~、どうして早く連れてきてくれなかったの!?
も~、どうして早く連れてきてくれなかったの!?
レベッカ
びっくりしたな。
外からは、古い倉庫にしか見えなかったから
外からは、古い倉庫にしか見えなかったから
スレイド
もともと、本当にただの倉庫だったんだよ。
本格的に音楽をやり始めた時に、
自分達の作業場が欲しくなってさ
本格的に音楽をやり始めた時に、
自分達の作業場が欲しくなってさ
スレイド
でも、その頃は全然お金もなかったし、
借りれるところもなくて
借りれるところもなくて
セドリック
そんな時、たまたまイベントで俺達の歌を聴いて
気に入ってくれた人がいて——
気に入ってくれた人がいて——
セドリック
使っていない倉庫でよければと、
譲ってもらえることになったんだ
譲ってもらえることになったんだ
彰人
譲ってもらったって……すげえな
セドリック
まあ、タダ同然で譲ってもらったのもあって、
最初は少し……なんというか、荒れていたけどな
最初は少し……なんというか、荒れていたけどな
スレイド
一番最初は、屋根の雨漏りをふさぐとこからだったね!
こはね
雨漏り……
エレナ
それは……かなり大変そう
冬弥
そこから、ここまで整えるのは相当大変だったんじゃないか?
スレイド
うん。セディがめちゃくちゃ頑張ってくれたんだ
こはね
セドリックさんが?
スレイド
お金はかけられなかったから、
遠くまで廃材を貰いに行って……
それを綺麗にして使ったりとか
遠くまで廃材を貰いに行って……
それを綺麗にして使ったりとか
スレイド
この棚とか机も、拾ってきた廃材で作っちゃったんだよ!
杏
え、ほんとに? 普通にお店のやつかと思っちゃった!
冬弥
こんなものまで作れるとは……本当に器用なんだな
セドリック
完全に独学だったから、
最初はかなり失敗も多かったんだ
最初はかなり失敗も多かったんだ
セドリック
サイズを測ったはずが、テーブルや椅子が
斜めになったり……何度か作り直すうちに、
少しずつマシになっていったが
斜めになったり……何度か作り直すうちに、
少しずつマシになっていったが
冬弥
そうだったのか……
冬弥
(家具も、置かれている機材も……
全てが丁寧に扱われているのがわかる)
全てが丁寧に扱われているのがわかる)
冬弥
(……本当に、大切に作り上げられた場所なんだな)
スレイド
ここ、一応機材とかもあるし、
普段は鍵をかけてあるんだけど——
普段は鍵をかけてあるんだけど——
スレイド
オレ達に連絡もらえたら、
いつでも開けるから遊びに来てよ!
いつでも開けるから遊びに来てよ!
セドリック
俺達が作業をしている間も、自由に使ってもらって構わない
こはね
え……!?
冬弥
自由に、と言っても……
ここは、ふたりが作業するための場所なのでは?
ここは、ふたりが作業するための場所なのでは?
スレイド
うん、でも気にしなくてもいいよ。
もともと、街の人達もよくここ使ってるからさ。
お茶したり、楽器弾いたりして
もともと、街の人達もよくここ使ってるからさ。
お茶したり、楽器弾いたりして
エレナ
へえ……! なんか楽しそう!
スレイド
——うん。そういう、楽しそうな場所にしたいんだ
スレイド
それが、オレ達の夢だから
彰人
夢……?
セドリック
まだ、いろいろと考えている最中だが……
セドリック
俺達はいずれここを、音楽が心から好きな連中が
集まれる場所にしたいんだ
集まれる場所にしたいんだ
冬弥
(音楽が、心から好きな……。
それは、もしかして——)
それは、もしかして——)
杏
それって……WEEKEND GARAGEみたいだね!
スレイド
そうそう、そんな感じ!
セドリック
……俺達は音楽のおかげで、人生が変わったからな
セドリック
未来に何の期待もできない、
どん底のような境遇から
抜け出すことができたのもそうだが——
どん底のような境遇から
抜け出すことができたのもそうだが——
セドリック
音楽は、俺達の心を変えてくれた。
一生をかけてでも叶えたい夢を与えてくれたんだ
一生をかけてでも叶えたい夢を与えてくれたんだ
スレイド
大好きなものがあるのって、すっごい幸せだし……
そういう気持ちで繋がれる場所があったらなって
そういう気持ちで繋がれる場所があったらなって
スレイド
だから、それをオレ達で作ることにしたんだ
スレイド
世界を獲るのと、もうひとつ——
絶対に叶えたい夢なんだ
絶対に叶えたい夢なんだ
杏
……音楽を好きな気持ちで、繋がれる場所かあ
杏
それ、すっごくいいね!
冬弥
……それでは遠慮せずに、足を運ばせてもらおう
エレナ
アタシ達も入り浸っちゃうかもよ~?
セドリック
いつでも歓迎する
スレイド
いろいろ語っちゃったな。
じゃあ、遅くなったけどパーティー始めよっか!
じゃあ、遅くなったけどパーティー始めよっか!
レベッカ
そうだね。食事と飲み物、テーブルに並べるよ
杏
あ、じゃあ私も手伝うよ! 行こ、こはね!
エレナ
アンもコハネも主役だからダメー! 座ってて!
杏
え~! もう、別にいいのになー
冬弥
これは……俺達も手伝わせてもらえないだろうな
彰人
だな。大人しく待っとくか
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