秘密基地
セドリック
みんな、飲み物は持ったか?
杏・エレナ
『オッケー!』
セドリック
それでは、Vivid BAD SQUADの
RUSH BEATS出場を祝って——乾杯
RUSH BEATS出場を祝って——乾杯
スレイド
乾杯! みんな、おめでとー!
冬弥
ありがとう。
それにしても、すごいご馳走だな
それにしても、すごいご馳走だな
スレイド
へへ。全部オレ達のおすすめの店で買ってきたから、
味は保証するよ!
味は保証するよ!
エレナ
アタシ、ピザもらいっ!
レベッカ
もう、まずは主役からでしょ?
コハネ達は、どれ食べたい?
コハネ達は、どれ食べたい?
こはね
えっと、この箱に入った麺が気になってて……
杏
私も! たまに映画とかで見るから、気になってたんだ~
彰人
そこのナゲットもらっていいか?
スレイド
取ってあげるよ! ポテトもおまけね
彰人
サンキュ
セドリック
そういえば、今はこっちのイベントに出ているんだったか。
感触はどうだ?
感触はどうだ?
冬弥
そうだな……。
やはり、いろいろと課題は多いと実感した
やはり、いろいろと課題は多いと実感した
冬弥
日本と違って、思うように場の空気を温められなくて
悔しい思いをしたりもしたが——
これが俺達の今の実力だとわかったのは大きい
悔しい思いをしたりもしたが——
これが俺達の今の実力だとわかったのは大きい
冬弥
ここからの活動で経験を積んで、
RUSH BEATSを戦い抜くだけの力をつけるつもりだ
RUSH BEATSを戦い抜くだけの力をつけるつもりだ
スレイド
いいね、そうこなくっちゃ!
杏
残りの日程もハードだけど、気合い入れていかないとね!
杏
特に最終日のイベントは、かなりレベルが高いらしいし。
たしか——『COUNT X』だっけ?
たしか——『COUNT X』だっけ?
エレナ
COUNT X?
アン達、あれに出るんだ……!
アン達、あれに出るんだ……!
レベッカ
あのイベントでいい結果を残した若手アーティストって、
音楽関係者の間でも注目株として扱われるんだよ
音楽関係者の間でも注目株として扱われるんだよ
こはね
そうなんですね……!
エレナ
いいなあ。
みんなが出るなら、アタシ達も出たかったよ~
みんなが出るなら、アタシ達も出たかったよ~
スレイド
エレナ達はその日、別のイベントがあるんだっけ?
エレナ
そうなんだよね……せめて見に行きたかったなあ
スレイド
セディ。オレ達は空いてるし、見に行こっか!
エレナ
えー! ふたりだけずるくない?
セドリック
別にずるくはないだろう
こはね
あはは……
スレイド
そういえば、COUNT Xで前回優勝したチームって、
去年メジャーデビューしたんだよね
去年メジャーデビューしたんだよね
スレイド
この間出たアルバムがめちゃくちゃ良くてさ。
たしか、オレのノートパソコンに音源が入ってたはず!
たしか、オレのノートパソコンに音源が入ってたはず!
スレイド
スピーカーに繋いで、っと——よし!
こはね
わ、かっこいい曲……!
彰人
へえ……かなり独特なサンプリングだな
スレイド
だろ? 最初聴いた時、なにこれ!?って思ってさ
冬弥
たしかに、かなり実験的で興味深いな
冬弥
(ピアノの生音や、会話を短くカットしたような人の声……。
一見アンバランスな要素が、不思議と調和していて面白い)
一見アンバランスな要素が、不思議と調和していて面白い)
冬弥
(こういった音作りもあるのか——)
冬弥
(この音源は……モノラル?)
冬弥
(——違うな。恐らくは、機材側の設定だ)
セドリック
冬弥、どうした?
冬弥
……ああ、いや。
たいしたことではないんだが——
たいしたことではないんだが——
???
『セディ、スレイドー! いる~?』
???
『ドア開けて! 荷物がいっぱいなの!』
冬弥
今の声は……?
セドリック
近くに住んでいる子供達だ。
少し待っていてくれ
少し待っていてくれ
スレイド
『はーい、今行くよー!』
スレイド
『ウィル、エマ。どうしたの? 大荷物だね』
ウィル
『これ、クッキーとブレッドプディング。
ママが持って行ってって』
ママが持って行ってって』
エマ
『あと、ジュースもあげる。
スレイド達のお友達が来てるんでしょ?』
スレイド達のお友達が来てるんでしょ?』
スレイド
『えー!? こんなに貰っちゃっていいの?』
ウィル
『いいよ! みんなも食べるしね』
セドリック
『ん……? “みんな”というのは——』
子供達
『遊びにきたよー!』
子供達
『やっほー!』
スレイド
『え、うわ……!?』
彰人
な——
子供達
『お兄ちゃんとお姉ちゃん達、どこから来たの?』
杏
わ、かわいい!
『私達は日本から来たんだ! よろしくね!』
『私達は日本から来たんだ! よろしくね!』
子供達
『そうなんだ! お姉ちゃん達も
セディとスレイドみたいに歌を歌う人なの?』
セディとスレイドみたいに歌を歌う人なの?』
子供達
『ねえねえ、日本ってどんなところ?』
こはね
え、えっと……!
エレナ
おお~。みんな、積極的だねえ
セドリック
……すまない。
あまりここへ街の人以外が来ることがないから、
物珍しいんだと思う
あまりここへ街の人以外が来ることがないから、
物珍しいんだと思う
杏
あはは、全然いいよ!
パーティーなんだし、賑やかなほうが楽しいって
パーティーなんだし、賑やかなほうが楽しいって
杏
『そうだ、みんなの名前教えてよ!
私は杏っていうんだ!』
私は杏っていうんだ!』
彰人
切り替えが早えな——っておい!
いきなり背中登んな、危ねえだろ!
いきなり背中登んな、危ねえだろ!
セドリック
……子供達の分の食器がいるな
冬弥
俺も手伝おう。
向こうの棚にあるものを使って大丈夫だろうか?
向こうの棚にあるものを使って大丈夫だろうか?
セドリック
ああ、助かる
エマ
『…………』
スレイド
『あれ? エマはみんなのところ、行かないの?』
エマ
『うん……。ねえ、スレイド。
ちょっとしゃがんで』
ちょっとしゃがんで』
スレイド
『ん? 何かナイショの話?』
エマ
『えっとね……あれ?
こっちじゃなかったっけ……』
こっちじゃなかったっけ……』
冬弥
(どうしたんだろう。何か戸惑っているようだが……)
エマ
『スレイド、こっち側の耳で合ってる……?』
スレイド
『うん、大丈夫。ちゃんと聞こえてるよ』
エマ
『よかった! あのね……』
冬弥
(…………今のは……)
スレイド
『……あはは、そっか。
ウィルと仲直りできたんだ』
ウィルと仲直りできたんだ』
エマ
『うん。スレイドも、話聞いてくれてありがと』
スレイド
『どういたしまして。
じゃあ、みんなのところで遊んでおいで』
じゃあ、みんなのところで遊んでおいで』
エマ
『うん……!』
冬弥
(この音源は……モノラル?)
冬弥
(——違うな。恐らくは、機材側の設定だ)
冬弥
(……俺の考えすぎかもしれない)
冬弥
(だが、もしかしたらスレイドは——)
セドリック
——冬弥
冬弥
…………っ!
スレイド
え? あ……!
トーヤ、そこにいたんだ……!?
トーヤ、そこにいたんだ……!?
冬弥
ああ。
子供達の食器を用意しようと思って……
子供達の食器を用意しようと思って……
スレイド
あはは、そっか。ってことは——
スレイド
さっきの、聞こえてた……?
セドリック
…………食べ物が足りなくなりそうだな。
少し買い足しに行こう
少し買い足しに行こう
セドリック
冬弥、手伝ってくれるか?
冬弥
——ああ、わかった
数分後
スレイド
……急にごめん。
パーティーの最中なのに、連れ出しちゃって
パーティーの最中なのに、連れ出しちゃって
スレイド
でも、あの感じだと……
トーヤは気づいたんじゃないかなって思って
トーヤは気づいたんじゃないかなって思って
冬弥
(子供が、しゃがみこんだスレイドに
耳打ちをしようとして——戸惑っていた)
耳打ちをしようとして——戸惑っていた)
冬弥
(左右のどちらから話しかけるべきか、悩むように)
冬弥
(恐らく、あれは……)
冬弥
——もし間違っていたら、すまない
冬弥
だが、機材の設定や……
さっき子供と会話しているところを見て、思ったんだ
さっき子供と会話しているところを見て、思ったんだ
冬弥
スレイドは、どちらかの耳が不自由なのかもしれないと
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