COUNT X 会場
彰人
とりあえず、本番まではステージ袖で休んどけよ
冬弥
ああ……
冬弥
小豆沢と白石も、心配をかけてしまってすまない
こはね
……ううん
こはね
練習中の青柳くんを見てたら、
絶対に……出たいだろうなってわかるから
絶対に……出たいだろうなってわかるから
杏
でも、本当に無理な時はちゃんと言ってよ?
冬弥
……ああ。そうさせてもらう
杏
じゃあ、音響チェックと打ち合わせ行ってくるね!
こはね
あ、でも青柳くんがひとりになっちゃうし……
誰かいたほうがいいかな
誰かいたほうがいいかな
冬弥
いや、大丈夫だ。
車の中でも休ませてもらって、体調は落ち着いている
車の中でも休ませてもらって、体調は落ち着いている
冬弥
俺が言うのもおかしな話だが……
普段通り万全の状態でステージに臨むためにも、
みんなで行ってきてくれ
普段通り万全の状態でステージに臨むためにも、
みんなで行ってきてくれ
彰人
……わかった。
何かあったら、すぐ連絡しろよ
何かあったら、すぐ連絡しろよ
冬弥
ああ
冬弥
(…………頭が、ぼんやりする……)
冬弥
(朝よりも、熱が上がっているのかもしれないな。
だが……不思議と、気分は悪くない)
だが……不思議と、気分は悪くない)
冬弥
(むしろ——高揚している感覚がある)
冬弥
(今は、早く歌いたい)
冬弥
(今の俺ができる力すべてで、ぶつかってみたい——)
彰人
——冬弥。ちゃんと休んでるか?
冬弥
彰人……? 白石と小豆沢はどうしたんだ?
彰人
あとは自分達だけでやれるからって、
先に戻されたんだよ
先に戻されたんだよ
彰人
ついでに水買ってきた。
冷えてるし、首筋にでも当てとけば多少マシだろ
冷えてるし、首筋にでも当てとけば多少マシだろ
冬弥
……ありがとう。助かる
彰人
解熱剤飲んだって言っても、
そんなすぐに下がるもんじゃねえだろうしな
そんなすぐに下がるもんじゃねえだろうしな
冬弥
ああ。だが、今のところ気分は——
???
——トーヤ?
冬弥
スレイド、セドリック……
セドリック
本番前に挨拶をしたいと思って、探していたんだが——
セドリック
すまない。
さっきの会話が、聞こえてしまった
さっきの会話が、聞こえてしまった
スレイド
トーヤ……具合が悪いの?
冬弥
いや……大丈夫だ
冬弥
ステージには、出られるからな
スレイド
でも、大丈夫って顔じゃないよ!
無理しないほうがいいって……!
無理しないほうがいいって……!
冬弥
……たしかに、万全の状態ではないな
冬弥
だが、歌うことはできる。喉も問題ない
冬弥
——だから、安心してくれ
スレイド
だけど……
セドリック
……俺達が、全力で戦いたいと頼んだからか?
セドリック
だから、そこまで——
スレイド
違うよ、トーヤ!
たしかにオレ達は、みんなと戦いたいけど——
たしかにオレ達は、みんなと戦いたいけど——
スレイド
それは、今じゃなくても叶うよ!
セドリック
ああ。いずれ、RUSH BEATSで対戦することになる
セドリック
今、無理をする必要はない
冬弥
……そうだな
冬弥
俺もセドリック達の立場なら、同じように考えたと思う
冬弥
だが——
冬弥
今は、早くステージで歌いたいんだ
スレイド
なんで……
冬弥
スレイドが言ったんじゃないか。
優しさも、気遣いも欲しくないと
優しさも、気遣いも欲しくないと
スレイド
え……
冬弥
俺も同じだ。
ただ本気で……全力でぶつかってきてほしい
ただ本気で……全力でぶつかってきてほしい
冬弥
こんなにも音楽を愛していて、歌に熱を感じられる——
そんな相手と、本気で競い合うのは……
そんな相手と、本気で競い合うのは……
冬弥
きっと、どんな瞬間よりも楽しいはずだ
スレイド
(……心配されるのも、気遣われるのも、嫌だった)
スレイド
(オレはただ、“音楽”がやりたいだけだって……
ずっと、そう思ってたのに)
ずっと、そう思ってたのに)
スレイド
(オレ……自分がされたくなかったことを、
トーヤにしようとしたんだ)
トーヤにしようとしたんだ)
スレイド
——わかった。
それなら、これ以上は止めない
それなら、これ以上は止めない
セドリック
俺達も、全力でいかせてもらう
冬弥
ああ…………望むところだ
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