ニューヨーク州 公園

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1

彰人

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ローストチキンにキッシュ——
よし、頼まれてたやつは大体買えたな
2

セドリック

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飲み物も、これだけあれば
ひとまずは足りるだろう
3

レベッカ

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足りなくなったら、また買い出しすればいいしね。
じゃあ、そろそろ戻って——

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4

彰人

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ん? メッセージ……杏からか
5

レベッカ

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本当だ。
『また子供達が来たから、5人分お菓子追加でお願い!』だって
6

セドリック

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リクエストを聞くから、少し待っててくれと言ってるな
7

彰人

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ってことは、少し時間かかりそうだな……。
座って待つか
8

セドリック

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そうだな……。
そこのベンチが空いているようだ

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9

レベッカ

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それにしても……本当に大きいパーティーになったよね。
どんどん人が来るから、びっくりしちゃった
10

セドリック

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さっきの時点で、30人は集まってたんじゃないか?
11

彰人

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ああ。地元のヤツらに、子供達……
それに、大会で知ってくれたってヤツも来てたし——
12

彰人

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まさか、こんな盛大に見送られるとはな。
すぐ戻ってくるっつーのに……
13

レベッカ

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あはは、たしかにね!
14

レベッカ

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でも、いいじゃん。
それだけ、アキト達の歌が好きな人がいるってことなんだしさ
15

レベッカ

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——っていうか、あそこに集まってる人達って
もともとはセディ達の歌や音楽が好きで来てる人達だよね
16

セドリック

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ああ、そうだが……
17

レベッカ

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ふふ。そう考えると余計にいいね
18

レベッカ

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なんか——自然に、音楽が好きな人達が
集まってきてるって感じでさ
19

セドリック

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音楽が好きな……か。
たしかに、そうだな
20

セドリック

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……彰人達にもこうして準備を手伝わせてしまったのは
申し訳ないが——
21

セドリック

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結果的に、あの場所でパーティーができてよかった
22

彰人

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……? どういうことだ?
23

セドリック

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あそこを、
音楽が好きな人達が集まれる場所にできている、と思ってな

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24

セドリック

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夢に一歩近づけていると感じたんだ

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25

セドリック

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俺達はいずれここを、音楽が心から好きな連中が
集まれる場所にしたいんだ
26

彰人

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……そういえば、前にそんなこと言ってたな
27

彰人

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しかも、修理も改装もほとんどセドリックがやったってんだから
すげえよな
28

セドリック

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そこまで大変でもなかったさ。
大きなゴミは、ふたりで運び出したりしたし……
29

セドリック

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それに——修理の時間も充実していたよ。
この夢は、もともと俺が言い出したことだからな
30

彰人

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へえ……。
ちょっと意外だな
31

セドリック

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そうか?
32

彰人

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ああ。なんつーか……そういう大勢でどうこうって話は、
スレイドの方がしそうなイメージがあるからな
33

レベッカ

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だね。それにいつもは、スレイドが何かしたい!って言い出して
セディがサポートしてる印象だし
34

セドリック

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それは……実際そうだな
35

セドリック

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ただ、あの場所のことだけは——特別なんだ
36

セドリック

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荒れた倉庫を修理して、
なんとか作業場の形になってきた頃——
37

セドリック

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気づいたら、エマ達が覗きに来てたんだ。
『ここで何してるの?』って
38

彰人

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たしかに、近所の子供からしちゃ気になるか
39

セドリック

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それで……音楽をやっている、と話したら
興味を持ってくれたんだ。
そこから、よく遊びにくるようになった
40

セドリック

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俺達が曲を流すと一緒に歌ったり、
機材をおもちゃ感覚で触ったりしてたよ
41

セドリック

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そしたらいつの間にか、エマの友達や大人達も来て
同じように楽しむようになって——
42

セドリック

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気づいた時には、
いつでも音楽が溢れてる場所になっていた
43

彰人

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へえ……
44

セドリック

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……そこにあるのは、俺達が作る音楽だけじゃない
45

セドリック

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いろんな人の話し声や、楽器を弾く音が混ざって。
それで——

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46

エマ

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『セディ、このCD何?
えっと……ら、だー?』
47

セドリック

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『RADder、俺達の恩人の曲だ。聴いてみるか?』

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48

地元の人

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『お、これ聴いたことある! たしか……』
49

地元の人

♪——————! ♪———————!!
50

ウィル

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『わ、すごーい! どうやって歌うの?』
51

スレイド

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『えっと……こんな感じだよ』
52

スレイド

♪——————! ♪—————————〜〜!!
53

スレイド

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『次、一緒に歌ってみようか』
54

ウィル

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『うん! よーし——』
55

スレイド・ウィル

『♪——————! ♪———————!!』
56

セドリック

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……いい景色だなと、思ったんだ
57

セドリック

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俺達は、ずっとふたりだった。
けど……音楽があれば、誰かとこんなふうに繋がれるんだと

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58

セドリック

Listen

そう思ったら
嬉しくて、今までになく胸が満たされる気がしたんだ
59

セドリック

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それが——夢の始まりだ
60

彰人

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……そうか
61

彰人

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それが、ふたりの夢になったんだな
62

セドリック

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そうだ。スレイドに話したら、
『一緒に目指そう!』と言ってくれてな
63

セドリック

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俺の作った家具にペイントしたり、
イベントで知り合った人達を招待したり……
64

セドリック

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俺の夢を——隣で追ってくれた
65

彰人

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……いい相棒だな
66

セドリック

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ああ。そう言われると、少しむず痒いがな
67

彰人

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……どうした?
さっきから、やけに静かじゃねえか
68

レベッカ

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え?
69

彰人

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買い出しで疲れたんなら、先に戻ってても——
70

レベッカ

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あ……ううん、大丈夫!
71

レベッカ

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いい話だなって、思ってさ。
聞き入っちゃってたんだよね
72

レベッカ

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それに——
73

レベッカ

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……スレイドの気持ち、ちょっとわかるなって
74

セドリック

Listen

え?
75

レベッカ

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そうやって……相棒と一緒に夢を叶えたい、
そのために何かしたいって気持ち?
76

セドリック

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ああ……なるほどな
77

レベッカ

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っていうか、アキトにもそういうのあるんじゃない?
トーヤのためにー、とかさ!

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セドリック

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たしかに、気になるな
79

彰人

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ん?
あー、そうだな……
80

彰人

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(冬弥のために、か……)

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81

彰人

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……なくはねえかもな
82

レベッカ

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やっぱり! ねえ、アキトの話も聞かせてよ
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彰人

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いや、つってもそんな大した話じゃ……
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彰人

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……仕方ねえな
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彰人

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いろいろあるが……
んじゃ、中学で組み始めた頃の話にするか
86

彰人

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あの時、オレは自分の実力が足りねえことばっかに
目がいってたんだが——
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