放課後
1
教師
それじゃあ皆さん、気をつけて帰ってくださいね!
2
子供達
はーい!
3
幼い類
ねえねえみんな!
ちょっといい?
4
男の子A
どうしたの、類くん?
5
幼い類
僕ね、ちょっと面白い遊びを考えたんだ。
みんなでやってみない?
6
女の子A
おもしろい遊び?
7
幼い類
うん。僕、最近ショーが好きになって——。
みんなとお芝居をやってみたいなって思ったんだ!
8
男の子A
お芝居?
それってテレビでやってるみたいなの?
9
女の子B
なになに?
みんなで何やるの?
10
男の子B
類くんが考えた新しい遊びだって~!
11
女の子B
えー、でも類くんの遊びって、
なんだか難しそう
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幼い類
ううん! とっても簡単だよ!
ここを舞台にして、みんなで役になりきるんだ
13
幼い類
それで、お話の内容なんだけど——
14
幼い類
っていう感じで、森の人と町の人がケンカして、
最後は仲直りするっていうお話なんだ
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男の子A
へー! すっごくおもしろそう!
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女の子A
うんうん! やってみたーい!
17
幼い類
……! 本当?
18
女の子B
わたし、森の女の子の役やりたーい!
かっこいいもん!
19
女の子A
えー! わたしもやりたい!
20
男の子A
この悪者の役もおもしろそう!
21
男の子B
え~。ぼくはやっぱり将校さんがいいな~
22
幼い類
ふふふっ
23
幼い類
(よかった!
みんなも気に入ってくれたみたいだ!)
24
幼い類
それじゃあ、将校の役から決めていこう!
25
幼い類
——うん。将校の役は決まったから、次は森の女の子の役だね。
この役は……高いところが大丈夫な子がいいな
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女の子A
木からおうちにジャンプするんだもんね!
27
女の子B
でも……それってお芝居ではどうやるの?
28
幼い類
うん。
——同じように、木からジャンプしてもらおうと思うんだ
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子供達
『えっ?』
30
幼い類
ほら、そこの窓に木があるでしょ?
あそこから教室のベランダにジャンプできると思うんだ
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女の子B
あ……あそこの木から!?
32
男の子A
無理だよ!
ここ2階だし、もし落ちちゃったら……
33
幼い類
大丈夫!
危なくないように、いろいろ調べてみたんだ
34
女の子B
いろいろって?
35
幼い類
あの木の枝からベランダまでは30センチしかないんだ。
だからジャンプっていうより、大股1歩で跳ぶくらいだよ
36
幼い類
それから、僕が木に登って命綱をつけるし、
下にマットも敷いておくから、もし落ちても大丈夫!
37
女の子B
でもそれ、やっぱり落ちるかもしれないんだよね?
だったらやだよ!
38
男の子A
類くん、本当に木からジャンプしなくってもいいんじゃない?
ジャンプしたふりするだけでも……
39
幼い類
でも、実際にジャンプしたほうが絶対面白くなるんだ!
40
幼い類
たしかに危ないかもしれないよ。
けど、それが臨場感につながって
見てるほうもドキドキして目が離せなくなるでしょ?
41
幼い類
それに成功したら、見てる人達も一緒に喜んで感動できる!
ジャンプするふりをするんじゃなくて、
本当にジャンプするところを見せることに意味があるんだ!
42
男の子B
でも……
43
女の子A
……わたし、やってみる!
44
女の子B
えっ!? ほ、本当に!?
45
女の子A
わたし、クラスで一番運動できるし!
46
幼い類
——ありがとう!
じゃあ、早速準備するね!
47
幼い類
よい……しょっと。
ここにロープをかけて……うん、カラビナもちゃんとついてるね
48
幼い類
それじゃあ、跳んで!
落ちそうになったら、僕がこっちでキャッチするから!
49
女の子A
う、うん……!
50
女の子B
だ、大丈夫?
気をつけてね……!
51
女の子A
…………
52
幼い類
僕のほうだけ見れば怖くないよ!
53
女の子A
う、うん!
ちょっとジャンプするだけだし……大丈夫……!
54
女の子A
で、でも……もし足がすべっちゃったら……
55
女の子A
……っ
56
女の子A
やっぱり……こ、こわいよ……。
足が……
57
幼い類
あ……
58
幼い類
……大丈夫! 平気だよ!
もし落ちちゃっても……ほら!
59
幼い類
えいっ!
60
男の子A
あ——類くんが落ちた!?
61
女の子A
え!?
62
男の子A
類くん!!
63
幼い類
——ほらね! 大丈夫でしょ?
64
幼い類
体育で使ってるみたいな薄いマットじゃなくて、
ちゃんと安全マットを使ってるんだよ!
65
幼い類
だからどれだけ落ちても——
66
男の子達
…………
67
女の子達
…………
68
幼い類
みんな、どうしたの?
69
男の子A
類くん、急にこんな危ないことしようとするなんて
ヘンだよ……
70
幼い類
え?
71
男の子B
そうだよ!
そんなことみんなできないよ!
72
幼い類
で、でも……!
73
寧々の母
ちょ……ちょっとふたりとも何をやってるの!?
ビショビショじゃない!
74
類の母
ビニールプールなんてひっぱりだして何するのかと思ったら……。
こら、類! 寧々ちゃんに危ないことさせないの!
75
幼い類
(たしかに、危ないことかもしれないけど、
でも……!)
76
幼い寧々
いいの!
わたし、やりたいの!
77
幼い寧々
わたし人魚姫だから、泳いで王子さまに会いにいかなきゃ!
78
幼い類
(あの時できたシーンは、本当によくなって……。
寧々もすごく喜んでくれたんだ)
79
幼い類
(みんなともあんな風に——)
80
男の子A
類くん、なんでそんな危ないことまでしてやりたいの?
81
幼い類
——面白いショーを作りたいんだ!
82
幼い類
一緒に面白いショーが作れたら、
みんなもきっと——!
83
男の子A
こんなのおもしろそうってだけでやれないよ!
84
男の子B
そうだよ! 類くん、おかしいよ!
85
女の子達
うん……
86
幼い類
あ…………
シブヤの公園
87
幼い寧々
あ、類ー!
おかえりなさい!
88
幼い寧々
今日は何のショー……あれ?
89
幼い類
…………
90
幼い寧々
類、どうしたの?
なにか、悲しいことあったの?
91
幼い類
寧々……
92
幼い類
ううん。違うよ。
僕が、僕のショーを押しつけて、
みんなを困らせちゃったんだ
93
幼い寧々
そうなの?
94
幼い類
……うん
95
幼い寧々
そう、なんだ……
96
幼い寧々
……でも……
97
幼い寧々
わたしは……類のショー、好きだよ?
98
幼い類
……ありがとう、寧々
99
幼い類
……そうだね。
寧々みたいに、僕のショーを好きだって
言ってくれる人もきっといるよね
100
幼い類
僕は、僕のショーを作ろうと思うよ。
今はまだ——難しいかもしれないけど
101
幼い寧々
類……
ワンダーランドのセカイ
102
——とまあ、こういったことがあったのさ
103
リン
そうだったんだ……
104
それは……苦しかったろうな
105
ずっと昔のことだから、
今はもう気にしていないけれどね
106
ただ——自分がやりたいことは、
多くの人の嫌がる、理解されないものだということは、
その時強く実感したよ
107
だから今まで、このショーは封印していたんだよ
108
寧々
類……
109
でも今は、あの日夢見たショーをもっといい形にすることが
できると思うんだ
110
ここにいるのはみんな、面白いショーのためなら
どんなことでもやってやろうと思っているメンバーだからね
111
えむ
……うんっ!
あたし達ならきっとできるよ! 類くん!
112
そうとも!
何も出し惜しむことはないぞ、類!
113
ネネロボ
ドーンとヤリマショウ!
114
リン
そうだよー!
みんなでがんばろーっ♪
115
ふふ。ありがとう、みんな
116
それじゃあもう少しアクロバティックな演出も
考えてみようかなあ?
117
えむ
わーい! あたしも司くんも、シュパシュパーって
忍者さんみたいに動くよ!
118
……オレにも限度はあるからな!?
119
寧々
スターになるなら、忍者くらいは動けないとじゃない?
ファイトファイト
120
くっ……! 雑な応援をしおって……!
121
……ふふっ